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クラスでは目立たない子が顔を上げとろとろ渡る横断歩道/古川柊

2022年4月21日(木)のうたの日15時部屋の題「上」の短歌。

小学校か中学校か高校、または高等教育機関でのクラス。内気で目立たない子というのは必ずと言っていいと思うが、いる。

作中主体は教員の視点か、それとも同級生の視点か。教員の視点なら、児童・生徒、または学生を教育的な観点で観察するということになる。同級生の視点なら、「クラスでは目立たない子」への興味から来る観察だ。

そんな子だって、顔を上げるし、横断歩道を渡る。しかし、渡るときは「とろとろ」である。あまり生気の感じられない雰囲気で、ゆっくりと歩む。

目立たない子の行動を詠んでいるだけのような歌だが、その子を取り立てて主役にしたところがこの歌の肝。何かコトが起きそうな、プロローグのような情景を捉えて、目立たない子の生態の一角を切り取った。

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