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雨粒が斜めに窓を叩くのを見て傘の柄を強く握った/音羽凛

2022年4月29日(金)のうたの日19時部屋の題「強」の短歌。

雨風が強いと、「雨粒が斜めに窓を叩く」ことがある。瞬間的に風が強くなると、その雨粒が窓で弾けるのがはっきり見えることだろう。

窓は建物のものだろうか、それとも自家用車や公共交通機関のものだろうか。建物の窓だとすれば、住宅街やオフィス街という場景となる。自家用車やバスの窓なら、道端の場景である。電車の窓なら、駅のホームや線路沿いといった場景である。

雨粒が見えたのだから、時間帯は日中であろう。作中主体は雨の降る屋外で傘をさして歩いている。そんなに遠くないところにある窓に雨粒が叩きつけられた。それを見て、自分の持つ傘が風に煽られないようにと思ったのか、強く握りしめた。

「心を開く」とか「心を閉ざす」とか言うが、心にも窓などがあるのだろうか。心理学の自己分析の手法にも「ジョハリの窓」というのがある。作中主体は心の窓を閉ざしていなかったか。そこに今、雨粒が斜めに叩きつけられていないだろうか。場景と心理とが一致していたとすれば、反射的に傘の柄を強く握るという行動につながったかもしれない。

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