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玄関に12センチの靴ならべ春の大地へ踏みだすひかり/春ひより

2022年4月11日(月)のうたの日13時部屋の題「並」の短歌。

「12センチの靴」といったら、1歳ぐらいの歩き始めの子が履くもので、売られている種類が少ない。下限が12.5センチの靴もあるためだ。歩き始めるのが比較的早かった子が外出中に歩けるようにと、何とか探し出してきた靴。また、幼い子の足はすぐに大きくなってしまうので、「12センチの靴」が使われるのは、ほんの束の間のことだ。

そんな靴を玄関に並べて置くのは保護者だ。春生まれの子だろうか。

生まれて一年の間の成長は著しい。授乳や夜泣きなど、保護者が悩まされることは多々ある。しかし、日中のひととき、特に外出するときというのは、多くある悩みも忘れさせてくれるような楽しみや喜びがある。

玄関から出て「春の大地へ踏みだす」のは、12センチの靴を履いた子である。場合によっては、抱っこなどされたまま外に出るかもしれない。

いずれにせよ「ひかり」とは春の外光を浴びた、前途洋々たる幼い子のことだ。花々や鳥たち、虫たちにも生命の光があふれる季節であるが、その中で引けを取らない輝きを放つ光が幼い子のものだ。

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