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#1389 読んでよかった本2023

2023年は紙の本を再び読むようになった。ここ10年くらいデジタル一辺倒だったけれど、図書館を使わない手はないなと考えを改めた。図書館はいわばアナログのKindle Unlimited。

そして、読んでよかった本もそんな図書館で借りた本から(後にKindle版も購入)。

『冒険の書 AI時代のアンラーニング』孫泰蔵 著

10代向けの本だが、もう40代も折り返してしまったおじさんが読む。

ざっくりとした感想はインスタに書いたのでそちらから。

「なぜ学校に行かなければならないの?」という問いを考え直す一冊。今の教育の目的が「労働者を育てるため」であるならば、AIが労働者にとって変わる近い将来、本来の目的を見失ってしまう。
だったら好きなことやった方がいいじゃん。
そして、労働者AIに出来ないこと=「問を立てる」ことをやり続けた方がいいじゃん。
超ざっくり言うとそんな内容。
なので、リスキリングじゃなくて「アンラーニング」

ポイントはリスキリングじゃなくアンラーニング。

今の世の中、「AI時代のリスキリング・リスキリング」とうるさいのでそのアンチテーゼとしてやはりアンラーニングが有効だろう。

というのも、アンラーニングは「そもそも何故?」と問を立て、考えることができるから。

折しも、個人的な歴史ブームが来ていることも読んでよかった要因の一つ。

それは「自分のアタマで考えよう」じゃなく「他人のアタマで考えよう」ができる本だから。歴史上の様々な思想家が何故そう考えた?のエッセンスがこの一冊で学べる。

AI時代にブレイクスルーを起こすには、アンラーニングが必要ということも強く思える。

以下は別の本からの引用だが、そのことが端的にわかる。

蒸気機関車は「ああいうかたち」をしている、ということを私たちは少しも疑いません。しかし、ワットの蒸気機関を運輸手段に応用するとき、多くの技術者がまず考えたのは「馬のように地面を蹴って前進する機関」でした。それまでの運送手段はすべて「何かが車を引く」という構造でしたから、因習的な想像力が「鉄の馬」の設計に向かったのは少しも怪しむに足りないのです。スティーヴンソンは「何かが車を引く」のではなく、「車輪それ自体が自転する」機関車を構想しましたが、これは「コロンブスの卵」的な発想の転換だったのです。

内田 樹. 寝ながら学べる構造主義 (文春新書) (pp.69-70). 文藝春秋. Kindle 版.

AIはこれまでに他人のアタマで考えた最大公約数的答えしか返せない(学習元がそうだから)。やはり、コロンブスの卵的な発想は難しいだろう。

やはり、他人のアタマで考えつつブレイクスルーが出来るのは、やはり自身で問を立てることが出来る人間ならではなのだろうと信じたい。

ただ、冒頭にも述べたように、自分『耳をすませば』のおじいさんのように「私は、すっかり年をとってしまったよ。」状態。

というわけで、未来の天沢聖司や月島雫にAI時代のアンラーニングを託したいという思いなのである。


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