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私の2005年。SAKEROCKのこと

SAKEROCKというインストバンドを初めて聴いたのは2004年に発売されたフィッシュマンズトリビュート「SWEET DREAMS for fishmans」の「いかれたBABY」のカバーだった。

「bounce」だったか何の媒体だったかは忘れたが、あの名曲「いかれたBABY」のメロディーをトロンボーンが歌うと表現されていて、気になっていたのだ。だが、実際に聴いてみるとファーストインプレッションはあまりピンとはこなかった。

ただ、バンド名がサケロックというのはイカしているなとは思った。モンド本読者なら誰でも知っているマーティン・デニーのSAKE ROCKからとったんだろうな、と思ったことを覚えている。

ピンとこなかったのに彼らのファーストアルバム「LIFE CYCLE」を買おうと思ったきっかけはレーベルがカクバリズムだったからだ。当時の私はカクバリズムばかり買っている時期であり、その中に「LIFE CYCLE」があった。

カクバリズムを知ったのは2004年に出た「YOUR SONG IS GOOD」のファーストアルバムだ。ユアソンのことを初めて知ったのははクボタタケシさんのMIXCD「NEO CLASSICS」に収録されていたから。そして当時、通販でよく利用していたレコ屋さん「JET SET」がカクバリズムを猛プッシュしていたのもあった。

この「LIFE CYCLE」の良さは「生活」や「穴を掘る」、「OLD OLD YORK」やハマケンの「京都」など彼らの代表曲ともいえる名曲揃いなことや、一発録りのライヴ感だろう。だが、なんといっても衝撃的だったのは、ほぼ全編に渡ってフィーチャーされている過剰なくらいのハマケンのスキャットだった。

当時、私は就職して3年目で仕事に悩んでいたのだと思う。通勤時にカーステレオで聴くハマケンのスキャットが心の癒しだった。2005年の後半はこればっかり聴く毎日で、通算100回以上は聴いたな。当時の私はこのアルバムに救われていたのだ。

その後、彼らは何枚かアルバムをリリースする。2008年の「ホニャララ」や2010年の「MUDA」がリリースされた当時は地元にもツアーで来てくれたのでライヴにも足を運んだ。しかし、ハマケンのスキャットはアルバム毎に徐々に影をひそめて、寂しい思いをしたなあ。どれも良いアルバムだったしバンドがどんどんビッグネームになっていったが、私にとっては「LIFE CYCLE」を聴いた衝撃には敵わなかった。そしてSAKEROCKは2015年に解散した。

現在、彼らの楽曲はYou Tubeはおろかサブスクも解禁されていないので寂しい限りである。「LIFE CYCLE」、というかSAKEROCK全般サブスク解禁してくれないかなあ。

松永良平さんの著書「ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック」を読んでいて、そんな2005年のことを思い出していた。


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