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埼玉県共学化。高校生、3万4000人が共学化反対の署名提出

日本一男女別の県立学校が多い埼玉県で、県立学校の共学化が話題だ。私立で男女別はあっても県立でしかも県内トップクラスの進学校が男女別なので、色んな人の色んな思いが混在しているのだろう。

男女の機会平等という視点で共学化を進める動きと、
男女別だったから自分らしさが保たれたという共学化反対の動き、
どちらも一理ある。

こども家庭庁が発足し、あらゆる政策・制度で子どもの声を聞くということが大きな目玉となっているが、ほとんどの国民が知らないだろう。今回のトピックは、まさに子どもたち当事者の声を広く聞き、みんなで考えていくのに絶好のものだと感じる。

私が今参加しているある自治体の高校生の居場所作り検討会では、5人の高校生と1人の大学生が検討会に入り、どんな居場所を自分や友達のために作って欲しいか高校生たちの声を聞きながら進めている。

既存の児童館のような場所に、高校生スペースを作るのはどうか?という案に対して、「中学生以下と高校生は分けて欲しい。中学生以下は活発に場所を使うけど、高校生はもっと静かな場所を求めている。」という発言や、「僕たちはその場によってどんな自分でいるか、使い分ける。どれも本当の自分だけど、場所によってキャラクターは違う」等の発言が印象的だった。

高校生は思春期ど真ん中で、思春期発達の観点でも友達や異性等にとても敏感な時期だ。その中で自分自身のアイデンティティを模索し、いくつもある自分のキャラクター、自分らしさを見つけていく。それは1つである必要はなくて、たくさんあっていいし、どれも本当の自分だ。大事なことは、安心して迷えることが、この時期はとても大事だと思春期発達の専門家はいう。

私の周りには、女子校出身の友達が多いが、女子校だったことで、異性の目線にさらされず、また男女という性別による社会的な役割にとらわれず、自分らしさを身に着けていったという声をたくさん聞く。私の高校も入学の男女の定員がない学校で、女性が男性の8倍ほどいる高校だったが、そうすると「女だから〇〇」「男だから〇〇」は通用しなくて、力仕事も女の人がやるし、演劇の男役だって女の人がやったりする。男女で別れていたら見つけられない自分の得意なもの、好きなものを見つけられたりする。

一方で、男女が一緒だから身につくものもあるだろう。社会は男女ともに生きている。

もっと言うと、今回県立学校、それも進学校なのにどっちかの性別しか選べないので不公平を感じる層が一定数いるということが、論点なのだろう。私立だったらあまり問題にならなかったのだと思う。また、性別で分けると、多様な性の在り方がある中で、どこまでを男性、女性として認めるかも大きな論点だ。

いずれにしても、現代の社会の在り方を学び、多様性について考えるとても大事なトピックだ。是非、当事者である高校生世代を巻き込んで(声をあげやすい子たちだけでなく、本音を聞く工夫はとても必要だ)や、未来の高校生世代を巻き込んで、議論してほしいものだ。避けて欲しいのは、高校生の親世代の思いで議論が進んでいくことだろう(もちろん障害や声をあげづらい当事者に代わって声を代弁するという動きは必要だ)。そういう意味で、今回高校生自ら署名を集めたことは、とても良い動きだと思う。

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