記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画「花束みたいな恋をした」を観た感想

「花束みたいな恋をした」をAmazonプライムビデオで鑑賞した。
ポルノグラフィティの晴一さんからも好評価だったし、坂元さん脚本の「カルテット」が好きで、前から気になっていたのだ。
今回の記事は冒頭からネタバレ多めでいくので、今後観るつもりがある方は注意。


世間で話題になっていた映画のため、若干の予備知識を持っていた。
「菅田さん演じる麦が、パズドラ(ゲームアプリ)にしか楽しみを見いだせなくなる映画」という程度の知識。
これは鑑賞し終えた後に「パズドラにも楽しみは見いだしてないぞ…」という感想に変わった。

冒頭から麦と絹が別れる結末なのは分かるので、そこに至るまでのお話が繰り広げられる。
出会いから同棲当初までは幸せオーラが凄まじく、ふたりが別れてしまうことをすっかり忘れて観ていた。

印象的だったシーンはいくつかある。
「人生は責任」といったワードの鋭さも、坂元さん脚本ならではだと感じた。

社会人になったふたりがデートで書店に寄り、絹が見つけた本を麦に見せようとするシーン。麦は学生時代では読まなかったような本を読んでいて、絹は声をかけるのをやめてしまう。
趣味嗜好が似ていることで繋がったふたりだからこそ、このシーンはふたりの間に生じた壁の大きさを感じてつらかった。

また、終盤でふたりが別れ話をするシーン。

手紙の文面のように語る麦と対照的に、きっぱりと別れを告げ、引っ越しなど事務的な話を淡々と行う絹が、どうしようもなくリアルだった。
そこまではリアルだったのに、出会った頃のふたりを彷彿とさせる若い男女が現れ、幸せだった頃を思い出し涙するシーンはドラマチックすぎて少しだけ興ざめしてしまった…。

「あなたと付き合っていた期間は楽しかった」と告げ、笑顔で別れられるカップルはどれだけいるのだろうか。一時は好き好かれていた者同士なのに、忘れてしまいたいくらい嫌な過去になることもある。麦と絹も綺麗な思い出ばかりではないはずだが、それでも「終わりよければ全てよし」と爽やかに別れたのが良かった。

この映画を通して、恋愛の賞味期限や夫に対する気持ちについて思いを馳せた。

夫に対する気持ちは、もう家族愛だと思う。恋愛感情が消えたからではなく、恋愛感情の先に「唯一無二の家族だから、惜しみなく愛を注ぎたい」という気持ちが芽生えた感じ。
子どももいるのに、いつまでも自分だけを見てもらいたいとは思わない。
夫にも、家族として子どもと私を愛してもらえていたらいいな、と思う。
これがふたりだけの生活なら、また違ったのかもしれないけれど。
恋愛感情ではなくなったとしても、人として尊重し合えないと結婚生活はうまくいかないだろう。麦と絹を見ていて、そう感じた。

全体的には面白く、普段映画をろくに観ない私でも2時間集中して楽しめた。
有村さん演じる絹がとにかく可愛いので、興味がある方にはおすすめしたい。
私にはない学生時代だったが、どことなく「そんな時代もあったな~」と思わせてくれる作品だ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?