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【映画レビュー】「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」(2022年 アメリカ)~昨今のマーベル・シネマティック・ユニバースシリーズが抱える問題点が露見した問題作~

【注意】
 本作はマーベル・シネマティック・ユニバースシリーズの作品である性質上、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021年)の重要なネタバレが含まれております。
 上記の作品を未見の方は、ご注意下さい。

【タイトル】
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」(2022年 アメリカ 126分)
原作 スタン・リー、スティーヴ・ディッコ 「ドクターストレンジ」
監督 サム・ライミ
脚本 ジェイド・バートレット、マイケル・ウォルドロン
出演 ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ソーチー・ゴメス、パトリック・スチュワート


※本作には、グロテスクな表現が含まれております。


【解説】
 マーベルコミックが原作の実写映画シリーズ『マーベル・シネマティック・ユニバース(略して、MCU)』の一つであり、アベンジャーズの一人として参戦した魔術を操るヒーロー『ドクター・ストレンジ』を主人公にした単独映画第二弾である。
 初登場となった第一弾『ドクター・ストレンジ』は2016年に公開され、その後、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)に参戦し、アベンジャーズの一員として戦う。

 本作は「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021年)にて、数々の並行世界『マルチバース』の扉を開いてしまったことから物語は始まる。
 

【あらすじ】
 とある事情※からマルチバース(無数のパラレルワールド)を開いたことで、ドクター・ストレンジこと、スティーヴン・ストレンジはマルチバースに存在するもう一人の自分の夢を見るようになる。
※「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」参照。

 ある日、無数のパラレルワールドを行き来出来る少女、アメリカ・チャベスと出会うストレンジ。
 彼女の力を狙うマルチバースからの侵略者を倒すため、アベンジャーズの一員である超能力者のワンダに協力を求めるのだが、ある理由でワンダの心は暗黒面に堕ちていた。
 ワンダは少女の持つマルチバースを渡り歩ける力を奪おうと禁断の魔術を使う。


【感想】
 正直言って、本作は問題だらけだ……。
 ただでさえ、MCU映画シリーズは作品数が増えすぎて長期化しているのに、スピンオフでのドラマシリーズも増え続け、ワンダの闇堕ちした理由がスピンオフのドラマを観ないとわからないと言う本作までの道のりが非常に長くなっている。
 なおかつ、この作品単品で観れるような設計にはなっておらず、予備知識がないとサッパリ。
 実際、スピンオフのドラマシリーズを観てなかった私にはワンダの闇堕ちが急すぎて困惑した。


 MCU映画シリーズは「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)でリーダー的存在だったキャプテン・アメリカとアイアンマンが脱退してしまい、更に人気ヒーローのスパイダーマンまで離脱したためか、その穴埋めとして、スピンオフのドラマシリーズを増やしたり、新たなマーベルヒーローたちの映画が続々と公開されたりと、ただでさえ多い情報量が更に増加されてしまい、もはや一見さんお断り状態である。

 本作は長くなりすぎたMCUシリーズを土台に新たな試みを行なっているのだが、今回、その新たな試みは残念ながら上手く行かなかった。
 スパイダーマン実写映画シリーズを監督した経験のあるサム・ライミを監督にしたが、彼は元々ホラー映画出身の監督だったためか、何故か本作はMCUシリーズにしてはグロテスクだったり、残酷、暴力的なシーンが増え、ほぼSFホラー映画になっている。
 そのため、非常に胃もたれがする内容となってしまった。

 必要以上に多すぎる情報量。
 本作を観るために観ておかなければならない映画、ドラマシリーズが多すぎる。
 更には過度なホラー演出など、今のMCUシリーズの迷走っぷりが露見してしまった映画ではないかと思った。

 内容面では、とにかくワンダが救われなさすぎる。
 なにがあったのかはわからないが、アベンジャーズとして戦った彼女がヴィランになり、あんな哀しい最期を迎えてしまうとは……。

 更にパラレルの存在ということで、サプライズゲストとして実写X-MENシリーズに登場したパトリック・スチュワート演じるプロフェッサーがゲスト出演したが、扱いが悪すぎる。
 別の映画会社で制作されたマーベルヒーローとはいえ、あんな扱いでは失礼だ。


 現在のMCUシリーズは柱を失ってしまい、どうすべきかわからなくなっている時に、更にどうして良いかわからなくした問題作だと思う。


 ちなみに、サム・ライミ監督だからか、サム・ライミ作品の常連であるブルース・キャンベル(死霊のはらわたシリーズで主人公を演じた俳優)がゲスト出演している。
 この二人、確か死霊のはらわたのTVドラマシリーズで意見が食い違い、喧嘩したと聞いていたのだが、まさかこの映画に出演してくれるとは……仲良いな

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