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人生の再スタート

2023年10月10日。性別適合手術を受けた。
僕は社会的には男性として生きているが、戸籍は女性である。
本来の性別に戻すためには手術が必要だ。
約3ヶ月前に手術日は決まった。本音は手術はしたくない。それはなぜか。以前に経験した開腹手術が、ものすごく辛かったからだ。今回も同じ傷に触れるのではないかと不安が大きく、単純に怖かったのだ。他には、埋没生活が出来ているのでそこまで困ることはなく、高いお金を払ってまでリスクを背負う必要性を感じなかったからだ。
そうはいいつつも決断した理由は1つ。
身分証を求められた時の本人確認にかかる時間やストレスから解放されるからだ。
「この人、性別が女性になっています。」
「ここ間違っていますよ。」
「ご本人様ですか?他に証明できるものは?」
「あなたの性別は男性ですよね?」
国内外問わず身分証を求められる場面でこういった場面はよくある。何が嫌かって周りにも人がいる前でやりとりがされることだ。
『この人女だって。ふふっ』と指をさされて笑われたことだってある。
1度や2度なら我慢できるが、毎回これだと気が滅入る。相手の印象も悪くなり、こちらもついつい強く当たってしまうのだ。言葉は時にものすごく心に刺さる。いつもより感情がマイナスな時にこういう場面になると生きるのが辛くなる。これを一生我慢して生きる人生とリスクはあってもストレスなく生きられる人生を天秤にかけた時、僕には治療が必要だと感じた。だから僕は手術を受けた。

いろんな感情を背負いながら迎えた当日。早く終わって解放されたいという思いからとても待ち遠しく感じた日であり、同じ傷をえぐるかもしれない、また同じ痛みを経験する恐怖から来てほしくないと感じた日でもある。これで楽になれると思った。本当にこれだけ。

実際に手術を終えて3日たった今の正直な気持ちはやって良かったではなく、ああ終わったんだって感じ。だけど、これからの人生の中で男性としてできる可能性が広がったことに対する期待とワクワクは止まらない。
そして、今はまだ出来ないけど、いつかこの日の自分の選択を正解にできるような人生をこれから歩んでいきたい。人生一度きりなのだから。

僕はそう思えたけど全員に当てはまることではないはず。だからこそ、ここに書き留めた。同じ状況で悩んでいる人の助けになれたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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