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【ベンチャー企業研究#1】株式会社ユーザベース

※本記事は2019年10月15日時点の情報をもとに作成しております。

ベンチャー企業研究では、今後世界がどのように変化していくのかをいち早く察知するためにその最先端でビジネスをしているベンチャー企業やスタートアップ企業にフォーカスを当ててその企業の事業内容や将来性について調べた結果をまとめたものをお届けしています。

ベンチャー企業研究の第一弾として、今回はNewsPicksなどを運営している会社「株式会社ユーザベース」を調べてみました。

私はよく NewsPicksの動画コンテンツを妻と一緒に見ており、この会社のビジョンやNewsPicks新規事業責任者の佐々木さんのビジネスの能力の高さに興味を持ったことと、なぜ株価がこんなにも低いのかについて知りたかったので記念すべき第1回目に本企業を選びました。

■企業情報(2019年10月現在)

社名    :株式会社ユーザベース / Uzabase, Inc.
創業    :2008年4月1日
本社所在地 :〒106-0032 東京都港区六本木7-7-7
経営者   :代表取締役社長(共同経営者) 稲垣裕介、梅田優祐 
従業員数  :567人(連結)    
関連会社  :株式会社ニューズピックス / NewsPicks, Inc.
       Quartz Media, Inc.
       株式会社FORCA など

■決算情報

売上高   : 93.4億円(2018年通算 連結)
        56.6億円(2019年上期 連結)
経常利益  :  5.3億円(2018年通算 連結)
       ー10.0億円(2019年上期 連結)
資産    :182.9億円(うち、のれん評価額86.4億円)
負債    :132.2億円

また、損益計算書をみていると2019年1月1日から2019年6月30日までの売上高が約57億円なのに対し、売上原価が約25億円、販管費が約41億円とかなり投資効率・営業効率が悪い気がしますね。

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ちなみに販管費の内訳は以下の通りです。

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給与・手当ての額がかなり増大しており、「人」への投資を強化しているようですね。求人サイトでの現在募集しているポジションの給与レンジは大体500万円前後からとなっているのでそれほど高い金額ではありませんが、恐らく一部の超優秀な人材や買収したQuartzのエンジニアには高額な給与を支払っていると思われます。

また、福利厚生についてもかなり充実させており、副業OKやフレックス制度・リモートワーク制度の導入、休暇制度や子育て支援関連制度の充実化など社員が働きやすい環境づくりにかなりの投資をしています。
正直ここまで制度が整っている会社はあまりみたことはないですね。

■主な事業

(1)SPEEDA事業
企業・業界情報プラットフォーム。業界分析や競合調査などに必要とされる「情報」を集約し事業企画・法人営業・経営判断などの業務に迅速に利用できるようにしたサービス。ソニーやセールスフォース、三菱電機など名だたる企業が本サービスを利用し、業務効率化や提案資料の品質向上を実現している。
また、中国版の提供も開始しており、利用者数は2019年6月末時点で2,878 ID(国内2,540 ID、海外338 ID)である。売上高は約21.5億円で前年同期比26.8%増加し、利益は約7億円(前年同期比79.0%増加)と急速に伸びてきている。

(2)NewsPicks事業
経済ニュースに特化したソーシャル経済メディア。スマートニュースなどとは異なり、動画コンテンツや自社コンテンツにも力を入れており、会員ユーザー数は約400万人でそのうち有料会員ユーザは約10万人である。また、売上高は約19億円(前年同期比51.3%増加)で利益は1.6億円(前年同期比228.4%増加)と非常に好調である。

(3)Quartz事業
世界トップクラスの経済ジャーナリストによって作られた米国のオンライン経済メディア。ユーザベースが海外事業展開を加速されるために昨年7,500万ドル(約82.5億円)で買収した。Quartzはすでに全世界の若手ビジネスリーダ層を中心に2000万人のユーザを抱えており、そのユーザをメインターゲットに2023年までに有料会員ユーザ数100万人を目指しているため、その主軸となるサービスである。

(4)その他事業

その他事業においては、スタートアップ企業の情報収集を効率化するためのデータベースのentrepedia(アントレペディア)やB2BマーケティングプラットフォームFORCAS(フォーカス)などがありますが、現在は数千万円程度の赤字となっているようです。

■株価の推移

 公募価格:2,510円
   初値:2,908円
上場来高値:5,650円(17/05/23)
 現在価格:1,837円(19/10/16)
2019年 高値:3,310円
      安値:1,592円
2018年 高値:4,170円
      安値:1,285円

■評価・所感

注目度   :★★★★☆
経営の健全性:★★★☆☆
事業の将来性:★★★★★
総合評価  :★★★★☆

事業内容としてはオンライン経済ニュースメディアというそこまで新規性がないものの、日本国内においては現状まさに働き方や企業のあり方の変革期になっているため、今後このようなビジネス戦闘力を高めるためのメディアは伸びていくと思っています。

健全性については、現在の売上高に対してコストがかかりすぎているため不採算事業や行き過ぎた人材投資などがある場合は事業の撤退やコストカットなどで経営状況を見直していく必要があると思います。しかし、現在は投資フェーズであることも確かなので、この程度の赤字であればこれからQuartz事業を伸ばしていくことで黒字化できると思います。

また、私は成長する企業に欠かせない要素として以下の4つの要素が必要だと考えています。
・明確なビジョンがある
・従業員を大切にしている
・自社開発に固執せずに、戦略的な買収を行える
・積極的に挑戦しながらも、出口戦略を明確にしている

株式会社ユーザベースは「世界で最も影響力のある経済メディアになる」という明確なビジョンもあり、そのビジョンをもとに戦略的買収を行っており、人材への投資もしっかりとしているため、とても有望な企業であると思います。

※この評価は私の独断と偏見による評価です。


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