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「地元で迷子になる」の災難。

ネットで評判の良かった「DAHON(ダホン)」というメーカーの折り畳み自転車を購入した。


生憎、自転車について詳しくは知らないのだが、ダホンというからには、ホンダさんが作った自転車なのだろう。
とにかく機能やら乗りやすさどうこうよりもこの自転車の見た目のデザインセンスに惹かれたのだ。

さてさて、そんな自転車を買ったはいいものの乗る前に防犯登録が必要だったため、近所のホームセンターに行ってきたのだが、私がいかにもお金を持ってなさそうな容姿をしていたためか「やれやれ、とんだ貧乏ボロ雑巾顔面野郎が来たもんだ」と言わんばかりに店員からひどく適当な接客をされ、とても気分を害した。

絶対に許すべからず。
私が大変な名誉と膨大な力を得た暁には、ここにいる店員すべての職を奪い取り、富を末裔まで凍結してやろうと思った。


そんなことがありつつもどうにか防犯登録が済んだので、続いてこの自転車に慣れるためにも少しばかりサイクリングをすることにした。

サイクリングとは言いつつも特に目的とする場所もなかったため、小道を見つけては、そこを進み、また小道を見つけては、そこを進み・・・ということを繰り返していたら、いつしかまったく知らない場所に行きついていた。

「やべえ」

その後、進んでも進んでも知っている道に出ないうえ、次第に夕刻が近づき、辺りも少しづつ暗闇に包まれてきた。

「すごくやべえ」

こんなときに役に立つスマホなのだが、残念ながら自宅の机の上だ。
これではいくら文明の利器と言えどもお手上げである。

まさかこの年になって、ましてや地元で迷子になるとは思いもしなかった。
漕いでも漕いでも目に入るのは知らぬ風景だ。

「もうこのまま一生、この自転車と共にさまよい続けるんだ」と、泣きそうになりながらも必死にペダルを漕いでいると、どうにか知っている道に出ることに成功した。


本日、「折り畳み自転車に乗った涙目でオロオロしたとても可愛らしいまるで天使のような人を目撃した」という方、それが私です。
もしくは「貧乏ボロ雑巾顔面野郎をみた」という方、それも私です。



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