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似非思想家の目論見


『人をケムに巻く書』=新たなる宇宙の始りについての説


さて、友愛コミュニティを祖先にもつ国土に住む人たちがいた。


競争アソシエイツを祖先にもつ多くの陣営の国々はこの国が眼の上のタンコブであった。


ある言葉巧みな思想家がこの国に世界統一政府のアイデアを持ち込み、この国の人のいい単純な人々は
「世界がひとつになったら、平和な世界が達成される」
と熱狂的に支持した。


それは確かに、平和な世界ではある。だが、支配の行き届いた忍従と収奪され放題の世界であることに気づく人はそんなにはいなかったのだろう。


一見よさそうな考えの裏にあるものを見通す眼を持つことが肝要である。


此処に於いて、ある男は昔、自身が属していた宗教コミュニティが世界統一政府を目指していたことを想い出した。

「あの宗教組織は現在どうなってるだろう」

あの時、男は若く、その考えの裏にある真実を見通す眼を持ち合わせてはおらなんだ。

そう言えば、あの似非思想家を支持している多くの者は比較的若い男女である。


「あの時、君は若かった」
という歌がある。


完全平和な被忍従と被収奪の世界に生きることを望むのか否か。


以上の問いは「人間としての性向」が質されている。

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