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焙煎の楽しいところと難しいところ


コーヒーが好きになると、自然とコーヒーの焙煎(ばいせん)について触れる機会があると思います。

「ここのお店は自家焙煎だから美味しいよ」
とか

「こちらのコーヒーは焙煎度が浅いので爽やかな酸味が美味しいですよ」

とかよく聞くのではないでしょうか?


そもそも焙煎についてよく知らない方がほとんどだと思うので簡単に言えば
コーヒーの生豆(種子)に火を通す工程のことを指します。

焙煎度とは、どのくらい火を通したかを示す目安です。
一般的に焙煎度が浅いものは酸味が強く、深いものほど苦味がでます。


よく焙煎コーヒー豆を粉にする工程だと勘違いしている方がいるのでご注意下さい。
ちなみにそれを単純にグラインド(粉砕)と言います。


僕は自家焙煎を始めてから7年くらい経ちますが、未だに新しく知ることや改良する所が多く
試行錯誤しながら日々焙煎を楽しんでいます。

焙煎をやってみると奥が深く、飽きがこない良い趣味だな〜とよく思うので

この記事を読んで興味が出たら是非チャレンジしてみてください!



焙煎は良い趣味

自分でコーヒーを焙煎できるって何だかカッコよくないですか?

いつでも自由に専門店で飲むような美味しいコーヒーを自宅で味わえるのですから魅力的ですよね!


もちろん、コーヒーを淹れることもカッコいいのですが
焙煎はより専門的な感じがして、できたら凄いと言われがちな趣味になると思います!


ただ、焙煎はコーヒーについてより深い知識や経験、またそれなりの機材を必要とするので中々ハードルは高いかもしれません。


大抵の人は焙煎するよりも買った方が早いと思って手を出すのを躊躇ってしまうのですが

一歩前に踏み出せば、今まで表面的にしか見えなかった世界が一気に広がるような貴重な経験になると思います!


コーヒーの抽出は、コーヒーのサプライチェーンのほんの一部の最後の工程に過ぎません。

(サプライチェーン→物流の一連の流れのこと)

焙煎ももちろん最後の方なのですが、ここは大抵その道のプロ(焙煎士)が携わっているところになります。


なので一般の消費者がそこまで居ない領域になっていますが、近年は自家焙煎を趣味として楽しむ人が増えつつあり

中にはプロ顔負けの焙煎技術を持つ人も沢山います。

もちろんそこからプロになる人や、プロになる目的で焙煎を始める方も沢山います。


僕はまだプロなんて名乗れませんが、それなりには長く経験を積んでいるので
趣味の一環として日々腕を磨きつつ販売をしてます。


焙煎の楽しさ


焙煎の楽しいところは何と言っても

自分の思い通りに焙煎が進行した時の達成感でしょう!

しっかりと狙い通りのプロファイルに沿って焙煎が進行して、狙ったタイミングで1ハゼや2ハゼが来て、狙ったタイミングで焙煎が終えられた時

もうたまりませんね!

(プロファイル→焙煎の温度変化をグラフにしたもの
ハゼ→コーヒー豆は大体2回激しくハゼるタイミングがあり、焙煎度のある程度の指標となる)


もちろん、最終的にはカッピングやテイスティングをして
コーヒーの風味や味を評価しないと分からないのですが
何度か繰り返して調整していくうちに、ある程度の専用プロファイルが出来上がってきます。


それを誰かに飲んでもらって美味しい!と言ってくれた時が
焙煎士にとっては最高の喜びになりますので積極的にどう美味しかったかフィードバックを下さい笑

いつもお世話になってるGood Rest Coffeeさんの投稿より

Good Rest Coffeeさんのショップはこちらから



そして次に楽しいことは
コーヒーを自分で焙煎して飲めることですね!


誰かが作った料理を食べるよりも
自分で頑張って作った料理の方が美味しく感じた経験はありますか?

まさしくそれと同じことで、自分で焙煎したコーヒーは美味しさが倍増する気がするんですよ。


ただ、焙煎士にとってはそれはちょっと危ういところで
その時自分が美味しいと感じていても、冷静になって飲んでみたら

酸味が強過ぎたり、苦味が強過ぎたり、バランスが悪かったり、風味特性が活かしきれて無かったり

様々なネガティブなポイントを無視してしまいがちなのです。

僕も良くやってしまうので、日を跨いで改めて再評価したり、友達や知り合いの同業者の方に飲んでもらってフィードバックを貰ったりしてます。


こちらもいつもお世話になってるanacoffeeroasterさんの投稿より

anacoffeeroasterさんのショップはこちらから



ただ、焙煎を楽しむと言う目的のためだけなら全く問題ないです!

そこまで小難しく考えてると段々楽しく無くなってくるので
日々綺麗にコーヒーが焼けることだけをまず目指して見てください!

見た目が綺麗なコーヒーは大体美味しいです。

そこから先は経験で培うしかありません。


焙煎の難しいところ


それはつまり焙煎のやり方に明確な正解がないという事です!


僕も最初は上手な焙煎のやり方を調べたり、人に聞いたりしていましたが
すぐにその事実に直面しました。


使う焙煎機によってやり方が全く異なるからです。

例えば僕が長年愛用しているユニオンには、デフォルトでは排気装置が付いていません。

それどころか温度計やガス圧計すらありません。

しかも業務用焙煎機よりも容量が小さく、蓄熱力も違います。

なので、業務用焙煎機のプロファイルをそのままユニオンに当てはめても意味がなく
温度だけ合わせても全く違ったプロファイルになってしまうのです。


初めはじゃあどうすりゃ良いんだよ!と思って本気で業務用焙煎機を買おうとしていた時期がありましたが


色々試行錯誤しているうちに気がついたことがありました。 

グラフの概形と、ボトムの温度、ハゼの時間はどの焙煎機でもある程度共通だと言うことです


(ボトム温度→別名は中点、余熱状態から豆を投入した際の最低温度を指す。)


プロファイルは味の方向性を決めるのにかなり重要なのですが
その方向性によってグラフの形は変わります。


例えば酸味を強調したいのであれば、ボトム温度を高くして短時間で焙煎を終わらせるようなプロファイルに設定します。

なので、グラフの概形はそのままに
まずボトム温度を設定し、余熱温度を逆算して設定し、1ハゼのタイミングを決めることが大事と言うことに気がつきました。


例えばユニオンの場合、200g投入した際には約15〜20度ほど温度が下がるので
ボトム温度を80度に設定したら余熱温度を100度程度にすると良い感じになります。

また、1ハゼを9分程度に設定した場合、ドライの状態にもよりますが、大体185〜200度程度で1ハゼがくるので
良い感じのRoRになるように逆算して調節します。

(ドライ→通称水抜き、蒸らし
生豆からある程度水分を飛ばしてメイラード反応を起こせる状態にする工程です。ドライエンドは約150度程度ですが、ちゃんと水分が抜けないと中々終わりません。この時の生豆の色は黄色く変化するためゴールドと言います。

RoR→1分間の温度変化量のこと)



このように、実際にグラム数によって下がる温度を記録しておいて

ボトム温度から逆算して余熱温度を決めると言う工程を踏めば大抵上手くいくことが分かりました。

無論使う生豆によっても違うのでより複雑なプロファイルの使い分けが必要になります。


これはさっき言った通り使う焙煎機によって違います。

もちろん手網焙煎などの余熱ができないタイプには使えないのでそれは自身で調節するしかありません。

また、与える火力や、排気の有無などによっても細かいところが違ってくるので

焙煎機を何度も使い倒して、焙煎機ごとのクセを掴むことが大事です。


焙煎が難しいのはこう言う複雑で慣れが必要なところです。


ただ、それさえある程度掴めれば焙煎の成功率は日増しに上がっていくので楽しいですよ!


さて、小難しい話が続きましたが
コーヒー屋さんはこうやって皆様に召し上がって頂くコーヒーを日々考えて焙煎しています。

世の中には沢山の焙煎のやり方がありますが、それは
焙煎士の好みや考え方、焙煎機の違いやその経験によって変化するものなので

これと言って決まった焙煎のやり方はありません!

ただ、良い焙煎のポイントはあります!


それは焙煎をある程度コントロールできることです。

自分が思った通りに焙煎が進められて、思った通りのコーヒーになった時

それが良い焙煎ができたな〜と思える大事なポイントだと思います!


あくまでもこれは僕自身の考え方なので、絶対とは言いませんが
どの焙煎士も良い焙煎が出来たと言う時は決まって狙い通りの焙煎が出来た時です。


そうやって成功体験を重ねるごとに上達していくのが焙煎だと僕は思っているので

僕は日々、コーヒーを皆様にご注文頂いて練習させて貰っています。

最近は自作の排気装置をつけて、ようやくほぼ業務用と遜色のないコーヒーが焼けるようになったので是非お試しください!


また、オリジナルのネルドリッパーも好評発売中ですのでこちらもどうぞ!


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