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お堀のヴァイオリン
ここは、ヘンデルが「水上の音楽」を演奏した
英国のテムズ河でもなければ
平安貴族が舟遊びを楽しんだ京都の大沢池でもない
ここは、僕がガキのころ橋の上から
とびこんで遊んだ五稜郭公園のお堀なのだ
ヴァイオリンの音がひびき、ギターの弾き語り
ソプラノの高く澄んだ歌声が
浮かんだ舞台のボートから響きわたった
![](https://assets.st-note.com/img/1697968660990-FEtZ75dCl3.jpg?width=800)
さらに、バラードをつま弾く津軽三味線
函館の今と昔を語るに語る講談……
2020年夏、コロナショックで
生の演奏に飢えていたアーティストと
お堀をかこんだ市民、観光客も
![](https://assets.st-note.com/img/1697968739943-cyQEbcQsZp.jpg?width=800)
密をさけ思いきりライブを楽しんだ
モーツ・アート(Moaťs Art)
モート(moat)とは、城などに巡らされたお堀のことで
それにアートをかけあわせた造語
アーティストがボートに乗って演奏する
どこにもない舞台表現だ
毎夏、おこなわれてきた「はこだて国際民俗芸術祭」
「函館野外劇」などのイベントが
軒並み断念を余儀なくされた
そこで、既成概念をこえた企画が浮上
多くの応援のもと
内外のアーティストが参加して
2020年の暑い夏に開催された
先導する手漕ぎボートが、
アーティスト、動画撮影係
さらに機材を乗せた1台のボートを曳く
ときには、2台となるボートを引っ張ることもある
追い風だけでない、向かい風もある
漕ぎ手には腕力とオールさばきが求められる
![](https://assets.st-note.com/img/1697756579643-5eP1VqwKmp.jpg?width=800)
20回ほどのイベントの全てをたった一人で先導したのは
英国人のイアン・フランク
縁の下の力持ちで
今回のイベントの仕掛け人の一人でもある
函館に住んで20年となるイアンは
大学でAI(人工知能)を教えている
長身で腕が太い
学生のころ、ボート部の選手だったとか
オールさばきに水音もしなかった
![](https://assets.st-note.com/img/1697756610526-MUASKz2gCA.jpg?width=800)
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