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「風花日和」
古い蔵の二階にあがってびっくり
屋根うらの棟木に墨でくろぐろと
「 明治9年4月13日 第13代 常野與兵衛 建造」
147年まえに建てられた木造二階建て土蔵造り
![](https://assets.st-note.com/img/1716753676075-4YSJKP9CiF.jpg?width=800)
この土蔵は、ペリーが箱館に上陸した22年後に
松前藩と会談を行った場所近くに建てられた
建て主の常野與兵衛は
大町にひらいた茶舗を拠点に
茶業、書店などをひろく営んでいた
![](https://assets.st-note.com/img/1716753957449-kem1IxJlPS.jpg?width=800)
さらに大火事が頻発する
この地で防災に力をそそぎ
函館公園の開設、さらにコレラ予防に
上水道の計画をすすめるなど
そのころの街の顔役であった
今の市長にあたる初代区長に
開拓使より任命され
それから常野正義と名乗った
思いもかけず由緒ある建物を買った今の持ち主は
この建物の由来とその魅力にほれこみ
使える部分はできるだけ生かし
次の世代にのこせるものにしたい
との思いを強くした
再生作業を担ったのは
京都の黒木裕行さん
京都丹後・伊根浦の舟宿など
全国あちこちで古民家のリニューアルに
たずさわっている
![](https://assets.st-note.com/img/1716927015038-CVIpX1udkO.jpg?width=800)
函館では
持ち主が快適な暮らしを楽しめるよう
建築当初の完全なる復元は避けた
そこで、いったん解体して
基本的な構造の復元と
使える部材を再利用することに
当初の箱の形はのこしながら
間取りと外観をかえて
工事に3年かけて2022年
個人住宅
コーヒー屋
イベントスペースに
生まれかわった
![](https://assets.st-note.com/img/1716925613403-KSZZnUp4gX.jpg?width=800)
持ち主と設計者の思いが
ぴったり合って
旧市街の街並みにふさわしい
見事な再生となった
三度の大火と150年ちかくの
時の移ろいを
のりこえた「風花日和」
風花とは「晴天にちらつく雪」
さらに日和とは「よい天気」のこと
素敵なネーミングだ
旧市街の
ランドマークとなっている
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