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押しては返す波のよう。

36歳を超えてサーフィンを始めました。45歳になった今は子供が小さいので、なかなか行けなくなりましたが、以前は毎週のように太平洋側や日本海側の海に行っていました。サーファーは、もちろん波がある場所を選んでそのビーチに行くんですが、車で片道3時間の道のりなんか平気な訳です。雨の日も、雪の日も、台風が近づいてきたときも、毎週毎週、海に行く。そんな風に海という大自然の中で遊んでいると人生や仕事に相通じる一つのことを学びました。

先ほども言いましたが、45歳の中年になって、職場でもある程度ベテラン域に達してきて、仕事も生活も毎日がルーティン化されてきます。仕事が辛いとか、人間関係がどうのこうのとか、いちいち悩まなくなり、というより、目の前の状況をあるがままに受け止めて、自分がどう振る舞っていけば良いのか、というように考えられるようになってきました。

20代のピチピチだった頃の私は、周りがどう言おうが自分はこう生きたい!こうしたい!みたいな生意気な所があって、時には人と衝突したり、ストレスを溜めてやけ酒飲んだり、上手くいかないことを人の性にしてみたり、あるいは社会の性にしてみたり。まあ、それはそれで、若いんだから血気さかんでいいんじゃんと受け止められない訳でもないですが、やっぱり思い上がった青い不完全燃焼の若者がそのまま年をとって30代にもなると、誰にも相手にされなくなるのがオチで、出る杭も出せない頭打ち感のようなモノを感じ始めていました。

ちょうどそんな時、友達が海外留学にいくからというのでオーストラリアで買ったというサーフボードを置き土産で貰ったのです。以前からサーフィンをやっていたくて、海も好きだったので36歳でサーフィンを始めました。

それから、遅咲きながらサーフィンにどっぷりハマってしまい、サーフィン仲間もできて毎週のように海に行っては、波乗りを楽しんでいました。片道3時間以上もかかるような海まで行くので、夜中の1時に出発して、朝一番でサーフポイントを探して、夜明けと共に海に入る。波に揺られていると気持ちがいいし、上手くサーフィンができると嬉しくて、またやりたくなる。それの繰り返しで、だんだんとサーフィンから抜け出せなくなるわけです。

そんなサーフィンにもルールがあって、例えば、ローカルと呼ばれる地元の人に対してはリスペクトしなければいけません。私のようなビジターサーファーは、良い波が来てもローカルサーファーがその波に乗ろうとアプローチし始めたら競ってはいけません。ローカルサーファーに良い波を譲ることがルールとしてあるのです。海の上で30分待ってやっときた一本!それがすこぶる良い波でもです。そうなるといつまで経ってもサーフィンなんかできないじゃないかと思われるでしょうが、ここからが学びのテーマに繋がるポイントで、波に乗るための方法はいくつかあるのです。

ひとつは、頻繁に顔を出してローカルサーファーと仲良くなること。

または、みんながやらない時間までサーフィンをやること。

最後は、そもそもローカルサーファーのポイントでやらず、ちょっとずれたところでやること。

この3つの中で一番大事と思うのは、やっぱり最後のちょとずれたポイントでやることだと思います。

これの何が、学びのテーマ、仕事や人生に相通じることなのかと疑問を持つ人もいるだろうけど、ひとつずつ、説明していきます。

まず、ローカルサーファーと仲良くなると言うことは、おこぼれ波を貰うと言うこと。仕事では地元の競合相手におこぼれなんか貰うことはできないと思いますが、地元の人と仲良くなって、少しアプローチを変えて関連商品で勝負してみるとかの工夫はできるかもしれません。これはちょっと難しいですね。私のようなビジターサーファーは毎回ポイントを変えるし、いつも同じようなポイントでサーフィンをしているローカルサーファーの人と仲良くなるのは無理があるかなと思います。

二つ目は、みんながサーフィンをやらない時間、つまり日が暮れて波が見えなくなるような時間までサーフィンをやります。ただ夜の海に入り続ける事って結構勇気がいります。海底も不気味で怖いし、周囲に人が見えなくなるとやっぱり急に不安を感じて多少なりともストレスが掛かる。仕事に置き換えると、皆が仕事をしない時間まで働くことで、夜遅くまで誰よりも働くというのはやっぱり仕事に追われてる感があるので、ストレスを感じますよね。あまりオススメしません。

そして最後が、ローカルサーファーのポイントは確かにそのビーチで一番良いポイントであることには間違いないけれど、よく海を観察してみると他にも良い波が立っているところがあります。そこを見つけることです。仕事でもローカルの人が時間をかけて築き上げてきた信用を打ち崩して、競合として仕掛けるのは無謀に近いですよね。そこで、しっかりその場所で誰がどんな役割で仕事をしているのかを観察することで、まだ開拓されていない隙間の部分が見えてきたりします。またはその想像を膨らませていくんです。そんな風にして自分の物事の見方のスキルが身についてくる、自分が変化して対応しないといけないなと気付くようになる。これまで「オレが、オレが」と生きてきたのが、周りの環境に合わせていく必要があるんだということが分かるようになってきたわけです。そうなると世界を見る視野が広がってきて、波も1番で良い波を求めなくても2番、3番の波でも十分にたのしめるようになってくるのです。時には誰も行かないような波にもチャレンジすることによって、自分のスキルや経験値が上がっても行き、そうなるとサーフィンの波にも人生という波にも乗りやすくなってくるのです。

波は、地球がある限り次から次にやってくきます。今日は無くても明日良い波が来るかもしれません。悪い波の時にでも、努力して自分の腕を磨く。そんな風に努力をしていれば、実力がついてきて、上手なサーファーになっていきます。大事なことは、「オレが、オレが・・・」ではなく、周囲の環境に自分が合わせていく。変化させないのは、ボードの上に立った時のサーフィンのスタイルであって、波そのものをキャッチするためには、様々な創意工夫、日々の努力と経験が必要だということです。サーフィンでも人生でも仕事でも、誰かが良い波乗っていて、そのポイントに行けないからとあきらめるのではなくて、とにかく自分が輝けるかもしれない場所を探して、創意工夫をしながらチャレンジしてみる。波は次から次にやってきます。人生にも、押しては返す波のように、いろんな波がありますから、頑張りましょう。

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