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書けなかったのに恐怖

今日はいつもみたいに言葉が浮かんでこない。書こうとしていることがちゃんと降りてこない。いくら呼んでもこっちまできてくれない。おーい、おーいと声を張り上げる。声を出すのが下手くそな自分だ。どんな声色を出そうとしても、いつも現れるのはどんよりと暗い色のボイス。色で例えるなら濃い緑色と茶色を混ぜたような色。それが何色というのかは知らない。多分調べたら出るのだろうけれど、調べない。そんなこといちいち調べていたらキリがない。わからないことなんて数えれば無限にある。一生を費やして情報を集めても、全てを理解するのは不可能だ。だからわからないことはわからないと、開き直るしかない。じゃなければいつも何かをググってばかりのググり野郎になってしまう。それだけはどうしても嫌だ。特に今は強くその気持ちが表れている。


いつも何かとスマホを頼りにしている生活に、もううんざりしてきているのだった。やれyoutubeだ、instagramだ、いい加減に飽き飽きしている。それをそう思わせないインターネットの策略にハマり続けて、なおのことイラつきが生じる。どういうことかというと、インターネットがこの世の全てを網羅してきているおかげで、ずっとインターネットに身を費やすのがいいことだと思い込みそうな自分にむかついてきているのだ。どれだけインターネットが普及しても、現実世界そのものがインターネットに変わるわけがなかろう。youtubeは画面の向こうで行われていることが現実だ。僕たちのできることは、せいぜいそれを観て、僕たちの側にある現実世界に反映させることしかない。youtubeはyoutubeという動画サイトそのものが現実なのであって、あくまでそれはコンテンツで、森羅万象のうちの僅かな一つでしかない。それが世界の全てに取って変わるわけではない。自分達の世界は、環境は、そのyoutubeを消したあとの沈黙に存在している。そこに自分達は生きている。それなのに、みんなはいつでもどこでも、もうスマホの向こう側にある世界に夢中だ。どこまでも深く入り込んでしまう。娯楽も、コミュニケーションも、芸術も、性行為も、アクティビリティも、そのスマホ一つでおしまいだ。そりゃスマホに夢中になるわけだ。当然の結果だ。


でもそれでどうなる。幸せは近くに来てくれるだろうか。なんて言い方をすればキザに振る舞っているみたいで我ながら不快であるが、実際のところどうだろうか。もう現実とか仮想とか考えないほうがいいのか。何が賢い選択で、何をすれば愚かな行為にあたるのか、その自覚を持つことなく楽しめばそれで勝ちか。判断を狂わせて、みんな一緒に狂ってしまえば、みんなまともな人たちか。もはやこのまま世界はどこにだって進んでいく。それが怖くもある。こんなに未知で怖いのに、どうしてみんな当たり前のように希望を持つのか。誰が希望の道までエスコートしてくれるのか。どうして口を開けているだけで餌が降ってくると思い込んでいるのか。それが怖くて仕方がない。


怖いことだらけなのは、それだけ今が未知の世界だからだ。何を知ろうとしたって、それぞれの世界の広さ、奥深さについていけない。今こうしている間にもきっと科学は進歩して、AIは未来と仲良くなっていく。この世に当たり前なんてものはない。けれどどうしても人は当たり前を信じて生きるしかない。盲信がどんどん積み重なって、元がどういう形をしていたかも覚えてはいない。これだけ感情があって、価値観があって、信じることができるのに、どうして踏み進む道は愚かなのか。どうして賢い選択ができないのか。悪ぶるのはそんなにかっこいいか。弱く見せるのは作戦か。詐欺師がいて、マジシャンがいて、政治家がいる。もう少しマシな世界を作ることはできなかったのか。



インターネットは世界を作っている。それは確かだ。世界を作るなんて、現実では誰だってできたことがない。そして世界に食い込んできている。人類が進歩して侵略してきたように、AIだって同じようなことをし始めている。その意志があるのかもわからない。どうやらインターネットには意志がなく、人間が命令して動いているそうだが、そんなことも信じられないくらいに影響力が大きくなっている。意志のあるなしが問題ではなさそうだ。これからどんどん人間はAIに脳みそを預けるように生活して、考える力をなくしていって、反面AIは学習能力を高めていって賢くなっていく。そうなるのではと想像をしてしまう。少なくとも自分はそんなことを考えて、別に誰に話すことなく、胸のどこかにしまって日常を送る。


もし、世界が変わってしまって、自分の信じていたものとか、好きだったもの、仲良くなりたかったもの、希望を感じていたこと、取り戻したかったこと、それらが全て壊されてしまった時、その時が自分の死ぬ時だと思う。そんな空想を抱いて、今日も寝る。

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