マガジンのカバー画像

正負の数の加減

48
代数和形式を優先しています。教科書通りの進め方ではありません。なぜその方がいいかの説明も。
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

答えもこの後は+をつけないのがデフォルトだし、文字式では( )のない代数和方式、なんならカッコがあれば外すのがデフォルトである。意味として2項演算からスタートするため符号付きの数を()に入れて、というより、代数和の標準形を「演算ルール」込みで教える方がいい、という信念。

減法を説明するための闘い(1)|G社の試行錯誤

減法を説明するための闘い(1)|G社の試行錯誤

 加減の説明の方法として、教科書は
パターン1)Kr社
パターン2)T社・S社・D社・Ky社・N社
パターン3)G社
の3つのパターンに大別できる。
 パターン1では○より△大きい数/小さい数で加減を説明し、T社に代表されるパターン2では数直線上の矢線の操作で説明する。
 これに対してG社は独特の説明をする。

独自の説明をするG社 G社が正負の数の加減で他の教科書と異なるのは、1つは、減法の答の

もっとみる

★★ 「符号を変えて」加法になおすってことは、位置の符号を変えるってこと? 原点に対称な点に移動する?

その後加法として計算する=「位置+(反転位置)」という計算をしている? 

確かに位置という意味世界を持ったまま求答操作を当てはめると、モヤモヤするしかない。ここは抽象化。

★これを、加法になおして計算、と意味解釈世界と、その世界ではない求答操作をごっちゃにしてしまうと、いつまで経っても数学が自分のものになった気がしない。
★★に続く

増加量は、変化後-変化前で計算する。公式に当てはめて自動的に計算してしまえばいいのだが、この減法の計算のしかたを意味づけしてしまうと、つまり、位置−位置だ。ベクトルと言う異質な量が出てくる計算なのだ。

★に続く

このあとのことを考えてみる。
加法は、異質なものをつなぎあわせてひとまとまりにしておくこと(n 次の整式など)

一方減法を使うのは1つはキャンセル( 移項や連立方程式の消去法)、1つは今までのひき算とは異質に感じるかもしれない「増加量Δ」の計算である。か?

●ー3のようにーのついた数を負の数といい、負の数も含めて数とし、数直線をつくり、負の数も含めた数の大小関係を整理し、最後に「負の数は0より小さい数」とまとめる。(東京書籍)
一見「0より小さい」を避けているように見えるが、負の数も大小関係に合めて考える時点で論点先取になる?

●ー3℃のー3は0より3小さい数であると、しれっと書いちゃうパターン(啓林館、学校図書、数研出版)

●+と−で反対の性質を持った量を表せて、+3は0より3大きな数なんだから、ー3は‥わかるよねパターン(教育出版、大日本、日本文教)

どうして右に行くほど大きいことになるかというと、欧米では文字を左から右に書いていくから、という説がある。実際に今1から1ずつ大きい数を順に書き並べると 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415‥と。これを順に線に載せれば、はい数直線の出来上がり。

と言うか大小を持ち込むしか思いつかなかっただけかも知れない。0より小さいって違和感あるわーと、パスカルだの、色んな人に言われていたのに、ま、小さいってことでいいか、と数学者が受け入れる。まあ計算もできて便利だし。
しかしその途端、複素数体には大小関係は定義できないとする。あれま。

ここで、非負数で大小関係として成り立ち、負数でも成り立つように拡張した、不等号によって示される順序関係を、大小という表現を捨て、新たな表現に置き換える、と言う方策もあっただろう。数学者は本を書くのにその策を取らなかった。

負の数でも大小って使うよ、悪いね、便利だからこのまま使い続けるよ、って約束と言うか、言い訳をしないといけないのだ。

この数学者の言い訳を受け入れることが、静かに密かに日常の数感覚から「0より小さい数」のある数学の概念世界へのジャンプ、飛躍することなのである

負数の大小関係、もっと言うと非負数を扱う日常感覚を前提とした表現を負数でも言い換える事なくそのまま使う事に、誰も何も異議を唱えることなく「まあ便利だから」でそのまま使い続ける、と約束するのだ。約束だ、と言わないので「0より小さい」が違和感のまま残る。

マイナス×マイナス=プラス が、納得できないとよく言及されるが、それが証明・説明で「ハイ論破」されたところで、納得いかなさ、ハラオチのしなさは変わらない。