太陽トーク《若手同世代編》 vol.1|同世代の絆。全ての映像制作フローを社内で完結できる強み
連載【太陽トーク】では、映像制作現場の話を中心とした太陽企画の社員インタビューを紹介しています。
「現場をまとめているのってこんなに若い人なんだ!」。
映像制作の現場では若い力が大活躍しています。入社3、4年の若手チームが、部署を横断しながら取り組んだ一大プロジェクトについて、そして社内における同世代のつながりについて語ってくれました。社内に映像制作の各部署と専門家が揃う環境の強みとは?
(※このインタビューは当社リクルートサイトで公開している記事を展開したもので、2021年1月に実施しました。)
映像制作に必要なリソースが揃った社内環境
ーーみなさんは同世代だと伺っています。簡単に自己紹介をお願いします。
櫻井:
私は入社4年目、制作部に所属していて、PMチーフをしています。仕事内容は、主にCM制作のスケジュールや予算の管理です。作品ごとに作り方はそれぞれで、正解が一つではないのがこの仕事の特徴です。日々スタッフと相談をしながら一歩一歩前に進んでいく、そんな日々を送っています。
波多野:
僕は3年目です。太陽企画の+Ring(リング)でオンラインエディターをしています。+Ringは「ポストプロダクション」と言われる、撮影後の映像制作をする部署です。オンラインエディターがどういう仕事かというと、撮影素材がつながった一本の映像に対して、最終的な画作りをしていきます。例えばCGと実写を合成したり、写ってはいけないものを消したり、映像の最終的なトーン調整をしたりします。他にも、映像制作のワークフローの最終出口を担っているので、放送するメディアに合わせて映像フォーマットを整えるのも仕事。テレビ放送なら、放送用の基準値に色や輝度のレベルを収めたり、無事に放送されるための最終仕上げをする、すごく責任がある仕事なんです。
福田:
櫻井と同期の4年目です。演出部に所属していて、プランナー/ディレクターとして、映像コンテンツの企画を考えたり、映像を演出するのが仕事です。
ーーここに映像制作のワークフローを説明したチャートがあります。この図で言うと、みなさんはどのフェーズに主に携わるのでしょうか?
櫻井:
制作部は基本的に全ワークフローに携わっていきます。
福田:
プランナーの場合は企画から全工程に関わります。ディレクターとして参加する時は「演出コンテ制作・スタッフィング」から関わっていきます。
波多野:
僕は撮影後の「編集」からオンラインエディターとして関わっていきます。ですが、最近は「撮影」から立ち会うことも増えています。というのも、合成やポスプロ(*ポストプロダクションの略)で特殊な作業を前提とした撮影が多くなり、撮影のやり方次第で、その後のポスプロ作業の効率化、もしくは失敗を防げるかどうか大きく影響してきます。そのために撮影からアドバイスをしながら関わっていくことが増えています。
ーー固定したワークフローに捉われず、柔軟にワークフロー全体に関わっていく事が、今の映像制作には大切なんですね。
櫻井:
入社した時は波多野がやっている、オンライン編集という存在を知らなくて、先輩からの「その編集ってオフライン?オンライン?」って聞かれて、質問そのものが理解できていなかった時代もありました(笑)。
波多野:
僕も技術系の専門知識はあっても、CM制作の流れは知らなかったです。やっと理解して自分で考えて仕事ができるようになったと実感しています。
同世代のプロが集結して作り上げた世界規模のプロジェクト
ーーみなさんそれぞれ違う部署に所属しながら、同じプロジェクトチームとして携わった某グローバル企業のCMについて教えて下さい。
福田:
「インパクトがある」「印象に残る」CMというのがクライアントからの要望でした。「無重力空間を舞台に」という強いアイデアを提案したところクライアントにインパクトを残すことができました。じゃあ、このアイデアをどうやって映像に落とし込んでいくかというところが挑戦でした。ハイスピードカメラPhantom(ファントム)というスーパースローな撮影ができる特殊なカメラと、カメラワークをコンピュータ制御した撮影ができるモーションコントロールのBOLT(ボルト)という機材を使った演出を考えました。
櫻井:
PMチーフに昇格し初めての案件でした。しかも規模は自分がこれまで携わった案件の中で一番大きいし、初めて使う機材ばかりだし、わからないことだらけ。大変だったけど、それをみんなでやりきったことは、すごくいい経験になりました。
福田:
僕にとってもキャリア史上最大の規模でした。撮影スタジオに入って「あっ!めちゃくちゃスタッフがいる!セットがデカい!!」って(笑)。もちろん事前に知識としてはあります。でも目の当たりにすると迫力!プレッシャーもありましたが、スタッフが同世代のチームだったので、みんなでいいものにするぞって気持ちのほうが強かったですね。この案件はプランナー兼ディレクターとして担当したので、先程のワークフローで言うと「企画」からプランナーとして、その後ディレクターとして「演出コンテ制作・スタッフィング」から引き続き関わりました。
波多野:
撮影の準備から関わったプロジェクトでした。演出コンテを作る段階から「こういう演出がしたいんだけど技術的にどうかな?」と言った議論をしながら取り組めたことは、すごく達成感があったし楽しかったですね。撮影現場では、最終的なCGとの合成を見据えて、撮影方法をアドバイスしたり、CGでできることとできないことの判断をします。その分責任はあるんですけど、やりがいがあります。
櫻井:
このプロジェクトの肝は、撮影自体もそうですが、別々に撮影した素材を一枚の画に合成して仕上げるところ。ですから、合成の時にトラブルが起きないように、撮影するものの色や素材を選択する必要があります。例えば布が出てくるのですが、合成する時に不都合な色や素材というのがあり、そういった確認が無限にありました。撮影までの2~3ヶ月の準備期間中は、「時間が足りない!」と毎日走り続けていた記憶しかありません。でもオンラインエディターの波多野と、同世代チームという距離感だからこそ、気負うことなく疑問をすぐに投げることができた。福田もそうですが同世代っていうだけで、すごく心強かったです。
波多野:
それは相談される側としてもメリットでした。撮影の相談や画作りに必要な素材とか、しょっちゅう電話がきます(笑)。もし僕が別会社のオンラインエディターだったら、こんなに迅速なやりとりはお互いできなかっただろうと想像します。
福田:
このようなポスプロ作業がヘビーな企画において、ほぼ社内のスタッフで構成できたことも、クオリティを高められた要素だと思います。
櫻井:
映像制作の各部署が寄り集まって、ベストな撮影方法を議論できたのは大きかったです。この撮影はかなり特殊なケースで前例もなく、通常よりも打ち合わせの回数を重ねました。撮り方を議論して、各自持ち帰りシミュレーション、次の会議でその結果を持ち寄って課題を整理、というのを通常の三倍は繰り返し、全員で作り上げていった企画だったと思います。
福田:
経験のないことをしているので、正解がわからない。そんな状況でもそれぞれの知見から、誰かが何かしらの方法を見つけてくれる。だから壁にぶち当たっても楽しいというか。そんな一つひとつの蓄積が成長につながっていくんだなって、この仕事で改めて思いました。
ーー社内に映像制作に必要な各専門部署が揃っていること、同世代チームだったことが、コミュニケーションを円滑にして成功に導いた大きな要素のようですね。
櫻井:
みんな基本姿勢が協力的。ちょうどコロナウイルスで第一回目の緊急事態宣言が出た時でもあったので、在宅スタッフも多い中、気軽にすぐに連絡を取り合える関係性というのは大きかったです。
波多野:
納品が4Kという高解像度だったので、実際の作業はそれ以上のサイズで作っているんですね。そうするとデータ量がものすごく大きくなって、通常の機材やワークフローでは対応できない場面も多かった。それも+RingのCGチームが同じフロアにいるからこそやりきれたところはあります。
ーー社会に出てからも信頼できる仲間ができるというのは心強いですね。
櫻井:
はい。同期のLINEグループでは、雑談から、仕事の「これどうすればいいの?あの人の連絡先教えて」という仕事の相談まで、なんでも助け合うカルチャーです。年に一度は同期全員で必ず飲みに行きます!
福田:
2020年の4月に緊急事態宣言が出た時は、同期のみんなで自宅からZoomを使った映像を作って、全社員にエールを送りました。撮影も延期やキャンセルが続き、何かを作りたい気持ちが溜まっていたし、映像制作の会社にいて色んな部署のプロが揃っている。だったら作ろうぜって。
未来のビジョン
太陽企画だから出来ること
ーー今回のプロジェクトや、これまでのキャリアを振り返って、どのような気づきがありましたか?
福田:
このプロジェクトを通して、何よりも「伝える」ことの重要性を再確認しました。CMが「伝える」ための映像であるように、作る過程も同じなんですよね。映像は伝え合いながら、チームで作っているということを実感しました。
波多野:
いろんな場面で挑戦だったこの企画を乗り越えたことで、自信がつきました。自分史上最高に大変でしたが、そうやって経験値を積み重ねることでしか、自信って育たないのかも。今回はじめて取り組んだ合成の技術もあり、今後の仕事でぜひ活かしたいです。
櫻井:
入社して驚いたことの一つが、現場をまとめているのってこんなに若い人なんだ!ってことでした。てっきり大ベテランがやっていると思っていたんです。このプロジェクトでもPMチーフとして、何十歳も年上のカメラマンやライトマンの意見をまとめないといけない。正直、初めはビビりました。スタッフが20名もいる全体会議でマイクで説明しなきゃいけないなんて怖い!と思ったんですけど、福田の言うように、誰かしら答えを持っているし、多少見当違いのことを見当違いの人に聞いてしまっても、聞き直せばいいだけだったんです。当たって砕ける勇気がつきました。その瞬間は失敗だったとしても、結果的に正解になればいいんだって。
ーー最後にみなさんが目指している将来のビジョンを教えて下さい。
櫻井:
今はPMチーフとして、着実に撮影を進行できることを目標としています。トラブルが発生したり、ちょっとしたつまずきに「はぁ、大丈夫かな…」って、まだ不安になってしまいます。周りに安心感を与えられるPMチーフになることが目下の目標です。
波多野:
独り立ちしてプロジェクトを担当しはじめたのが今年から。少しずつですが指名をいただけることも増えてきました。これからは「波多野に任せておけば大丈夫」と信頼されるエディターを目指したいです。ゆくゆくは、VFXスーパーバイザーとして撮影部やCG部を横断したアドバイスができるように成長していきたいです。 (※VFX…ビジュアル・エフェクツ(視覚効果))
福田:
TVコマーシャルの基本の長さって15秒。先人たちを見てると15秒に原点があると感じるし、TVCMの醍醐味だと思うんです。僕はまだ30秒や長尺しか演出したことがないんです。15秒という短い時間軸の中で、伝えるべきメッセージを届けられるということを証明してみたい。緻密なカット割にカメラワーク、間や音を計算して、削ぎ落としてたどり着ける領域だと思うんです。そしてその先は、やっぱり映画を撮りたい。その時に、こうやって仕事で一緒にやってきた仲間と作れるとしたら最高だなって。今から共に積み重ねていける…そういうことを考えられる事自体がすごく楽しいです。