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明日、春が来たら

「走る君を見ていた 白いボールきらきら」
これは、松たか子『明日春が来たら』の冒頭歌詞である。
数十年前に大ヒットし、春をテーマにした名曲の一つだ。

春の曲と言えば、桜や卒業、旅立ちなど、定番の風物を描いた名曲が多い。
その中でも『明日春が来たら』は、決して有象無象に埋没しない春歌であると、僕は思う。

それは、この曲のテーマが『高校野球』であるからだ。
歌詞の中にも野球を彷彿とさせる用語が出てくる。
白いボール、スタジアムの歓声、スパイクの足音、ウィニングボール。

これらの要素を織り込んだ歌詞は、
”ボールを追いかける野球部の彼氏と、そんな彼を見守る彼女の可憐な姿”
を描いた物語性のあるものに仕上がっている。
さすが、坂元裕二が作詞をしただけある。

気がついたら、春の高校選抜野球が始まっていた。
昨年と同じくコロナ対策により、
観客の入場制限、ブラバン応援や声援は規制され、
試合の興奮の半分以上を形成する熱狂的なBGMは鳴りを潜めている。

「スタジアムの歓声 夢の中で繰り返す」
テレビ前で鑑賞している甲子園ファンは、
偶然にもこの歌詞と同じ状態であろう。

今、世界情勢は混迷を極めた状況にある。
大国周辺では膠着状態ながらも依然戦火は灯り、
隣国からは、またもやミサイルが発射された。
コロナウイルスの終息も、予断を許さない。

歌詞中に「永遠の前の日」という言葉がある。
今日という日が、永遠の平和の前の日でありますように、切に願う。

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