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【未完の大作】セラフィム 2億6661万3336の翼 感想 

もしこの作品が完結していたら大友克洋のAKIRAを超えていたのではないかと(個人的に)思わされる

今敏渾身の作画から繰り出される退廃的世界観

押井守による壮大なストーリー展開と緻密な設定

二人の巨匠がタッグを組んだこの作品の魅力に迫ります!


※以下ネタバレ注意

【作者について】

この作品作者が二人いてどちらも超ビッグネームなわけなんですよ。
そんな最強タッグを軽く紹介しますね。


今 敏(こんさとし)
1963年10月12日生まれ。北海道出身。
マンガ家、アニメーション監督で主な作品は

  • パプリカ

  • パーフェクトブルー

  • 千年女優

  • 海帰線

押井 守(おしい まもる)
1951年8月8日生まれ。東京都出身。
映画監督、アニメーション演出家
で主な作品は

  • GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊

  • イノセンス

  • うる星やつら

知ってる方、聞いたことある方多いと思います。

両作者ともあの有名なAKIRAの作者大友克洋さん
影響を受けており
その影響は数々の作品に現れているかと思います。

ここで挙げた作品以外にも色んな名作ありますのでよかったら是非。

【あらすじ】

21世紀初頭、ユーラシア大陸最深部より発生した天使病(セラフィム)と呼ばれる疾病。

瞬く間に大陸全体に広がった天使病は肉体の一部を変容させ人々に強烈な幻覚を見せるとともに死に導く奇病だった。

天使病の猛威により崩壊する国家

感染を逃れようとする難民達を前に先進国群は国境を閉鎖

それによる浄化という名目で行われる虐殺

国境地帯で起こる武装難民との紛争はやがて戦争になり混乱の渦の中世界は暗黒時代へと突入する__


天使病(セラフィム)の完全変異体


いわゆるパンデミックによって崩壊した世界の中で天使病(セラフィム)の謎に迫っていくわけなんですが
とにかくもう神話的スケールなストーリー設定がすごい!!
その辺をちょっと語っていきたいと思います。

【聖書の預言まるで黙示録?】

まず登場人物の名前なんですが生物学者の老教授、国連難民高等弁務官、バセットバウンド犬
とそれぞれバルタザル、メルキオル、ガスパルの名をこの世界における権力者集団WHOから与えられます。

これ、元ネタはキリスト教における東方の三博士(マギ)とよばれる新約聖書に登場した人たちで、
キリストの誕生時にやってきてこれを拝み祝福したとされています。

そんな三人と行動を共にする謎の少女セラを擁し中央アジア、タクラマカン砂漠を目指すわけなんですが、

そんな彼らが道中訪れるのが旧中国の華南(かなん)
これはかの有名な約束の地カナンと同音ですね。


こういった感じで黙示録が現代になぞられていくようなストーリー展開なわけで読んでいると
一体天使病とは?セラの正体は?

この巨大なストーリーをどう集束させるんだろうとワクワクしてくるわけなんですよ。

東方三博士の礼拝 アブラハム・ブローマート

そういった展開の中で連載は中断、
今敏さんも2010年に逝去しこの作品は未完で幕を閉じます。

2011年には押井守さんが続編を小説化するとの発表があったのですが
それから12年が経ちなんの続報もないため望みは薄いです、、、

謎の少女セラ

【無限の可能性を感じる超作】

結果としては未完で終わってしまったものの
散りばめられた伏線やキャラの設定から
生み出される無限の考察は他の作品を超えてくるものがあります。

でも続きが気になって寝れねーーー!!!ってなる人多そうで
おすすめできるかと言われると
難しいところですね(笑)

セラフィムってなんだよ!

セラは一体何者なんだ!

メルキオルは間に合うのか!

空白のストーリーを残された情報から想像し脳内で補完する。
これほど考察のスケールが大きい作品もそうそうないです。

そういった楽しみ方が好きな人
二人の作者のファンならなおさら必読の
セラフィム 2億6661万3336の翼

よかったら感想、考察教えてほしいです^_^


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