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メンタライズ力はステップアップするものではなく、心理状態によって変化しうるもの『 メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服』⑥

                 

こちらの記事の続きです。

前回の内容はメンタライゼーションと「表象」と「象徴的につながる」=健康なメンタライジングが育つ、でした。今回はその健康なメンタライジングが育つまでのステップについてです。

メンタライジング発達段階

「心的現実のモード」とは心の中での外的現実と心理表象のつながり、「お城」と「ジオラマ」の関係についての認識の成長段階です。
「目的論的モード」は必ずしも全ての子どもが通る段階ではないけれども、BPDを理解する上では非常に重要なモードと著者は解釈している、とのことです。私も同じように思います。
また、メンタライズ力は一度手に入れたからいつでも使えるものではなく、状況によって変化していく能力ということが強調されています。モードはステップアップするものではなく、そのときの心理状態によって変化しうるもの、特にピンチの時には健康なメンタライジングが難しくなり、3つの原始的モードに逆戻りしてしまう、そのことも強調されているところです。

※「目的論的」はアドラーのいう目的論とは別の意。

上記二つが統合されて4歳以降に健康な「メンタライジングモード」ができるようになっていく。
心的等価モード。城とジオラマの区別がつかない。乳児〜3歳ごろまで。
ごっこ(プリテンド)モード。プリテンドは〇〇のフリをするの意。2歳から見られる。
目的論的モード。他と違い病理性を含むモード。他者への期待は物質世界に限定。試し行動につがなる。

ここまで、メンタライズ力の発達、メンタライゼーション理論をつかった心の発達を見てきました。
ここでメンタライゼーション理論と精神分析の比較です。

表は参考程度。精神分析は諸派によって考え方が異なる場合もあります。

メンタライゼーション理論は対象関係論の影響も多々見られます。 実際の治療においては育て方が原因か本人の気質が問題か、どちらが正しいか結論を出そうとするのは不毛です。 ここまで述べたメンタライゼーションと愛着を中心にした心の発達論だけが正しいと考えるのではなく、さまざまな理論を勉強してさまざまな見方ができるようになることが大切だと思う、と書かれています。

これで最初に予定していた3章までの内容を終えました。反響がもしあれば続きを書くかもしれません。見てくださった皆さんありがとうございました。

対象関係論
自分以外の人やものとどうやって関わっていくかについて考える
ものなのだそうです。ここではリンクを貼るに留めておきます。


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