【台北駅前】普通のオフィスビルが、修復されて華麗な洋館に大変身
台北駅前を歩いていると、場違いなほど美しい建物が目に入ってきます。
台湾が日本の統治下だった1937(昭和12)年に、大阪商船台北支店として建てられたもので、今は写真の美術館「國家攝影文化中心臺北館」になっています。
修復前は黄色いどこにでもあるようなオフィスビルに改装されていて、こんなに華麗な建物だったことは忘れられていました。
このビフォー・アフターを見比べてください。まったく別の姿に変身してびっくりしますね。
私はいつもこの前を通っているのですが、突然美しい建物が出現したので、とても驚きました。
2021年3月にオープンしたばかりで、出来立てほやほやの博物館です。
今回は、この建物について紹介してみます。
私は建築の専門家ではないので、間違っていることがあればご指摘ください。
西洋風の外観ですが、角の目立つところはお城などでよく見かける切妻屋根にし、屋上の塔は日本的なデザインの和洋折衷にしているので、親しみを感じます。
冷暖房完備、避雷針も設置するなど、当時の最新の技術を導入していました。
設計者は渡辺節で、大阪商船神戸支店(今の商船三井ビル)、日本興業銀行本店などを設計しました。
渡辺節の作品で台湾にあるのは、この大阪商船台北支店1か所のみなので、修復の参考にできる建物がありません。そのため、修復を担当した建築士はわざわざ日本まで行って渡辺節が設計したビルを観察してきました。
細かいところまで再現されているのは、このような努力があるからなのですね。
完成当時の写真を見ると、右側の道路がありません。都市計画でここに道路をつくることが決まっていたので、角が目立つように豪華に造っています。
上から見ると、直角ではなく数字の7のような形になっています。
すでにある道路と、計画中の道路の角に建てたので、このような形になりました。
台北の街の基礎は清の時代にできました。風水では、北に山があることを重視しますが、真北には風水的に最適な山がありません。そこで北東にある七星山を基準にして13度傾けてまちづくりをしました。
日本統治時代になり、日本人は風水には関心がないので、新しくつくる道路は風水とは関係なく南北に設置しました。そのため、古い道路と新しい道路の角に建てると、どうしても直角にはなりません。
東端の部屋はひし形になっています。(上の館内見取り図の右側)
オフィスとして使用するには不便だったのか、戦後政府機関のオフィスとして使っているときに、東の端が壊され隣に9階建てのビルが建てられました。
修復では、壊された東端の部分も再現されました。
下記の写真の左側に、ガムテープを上から下へ貼ったように見えるところがあります。これより左側が一度壊されて再現した部分です。
日本時代の写真を見ると、1階の柱は道路に沿って8本ありますが、戦後黄色いオフィスビルになったときの写真を見ると、柱は7本しかありません。このことから、東端部分が壊されたことがわかります。
修復して柱が以前の8本に戻りました。
道路を見てみましょう。
写真ではわかりにくいのですが、右側が下がっていて地面がアスファルトではなくタイルになっています。
修復時に日本時代のタイルが発見されたので、そのまま使用しています。周りの歩道より低いので、雨水が溜まらないように排水にかなり苦労したそうです。
今度は頭をあげて屋根の上の看板をみてください。
今は「國家攝影文化中心 臺北館」になっていますが、日本時代当時は右から「大阪商船」と書かれていました。看板を再現するにあたり、大阪商船時代についていた「大」の字も復元しています。
日本統治時代から写真の美術館になるまでの歴史と修復の様子は、2階の一番奥に展示されています。
台湾では、このように古跡を多目的に利用しながらも、建物の歴史もしっかり紹介するパターンが増えています。
1階はカフェになっています。大阪商船時代、ここは日本や海外へ行く船のチケット売り場になっていました。
ここで、ゆっくりコーヒーを味わいながら、遠くへ旅立つ人になった気分で時空を旅を楽しんでみてください。
國立攝影文化中心 臺北館 ホームページ(中国語と英語のみ)
住所・・・・台北市中正區忠孝西路一段70號
開館時間・・毎週火曜日~日曜 10:00~18:00
休館日・・・毎週月曜日 旧暦12月31日 旧暦1月1日
入場料・・・無料
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<参考にした資料>
・國立攝影文化中心 臺北館 ボランティアガイドさんの説明(中国語)
・國立攝影文化中心 臺北館 常設展パンフレット(中国語)
・還原歷史軌跡的模樣 ——古蹟修復建築師 | 信傳媒 (cmmedia.com.tw)
台北畫刊2021-04-18 15:00 (中国語)
・【經典重現】建築貴公子獻給台灣的禮物・充滿東方趣味的經典建築|大阪商船|台北|建築|文化資產|凌宗魁 (中国語)
・TTV台視新聞節目 熱線追蹤 - 百年古蹟 修復全紀錄 (中国語)
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