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奥浅草の交流の拠点「SNAP」訪問レポート&インタビュー

台東区今戸に誕生した交流の拠点「SNAP」が、2022年9月9日に正式オープンしました。先日ご招待いただいたので、レポートしたいと思います!

また、SNAP設立の経緯を(株)クオーターバックの代表取締役の山田さん、取締役の大島さんがお話してくださいました。ぜひ、最後までご覧ください!

SNAPとは?

株式会社クオーターバックのブランドコンセプト「つながりのデザイン」を体現する場所として台東区今戸に誕生した複合型施設。同社のオフィスエリアと、交流の拠点となるコネクトエリア(期間限定ショップのイート・棚貸しエリアの奥浅草百貨店(仮称))から成っています。
⇒ SNAPへの想いがつづられたnoteはこちら

REPORT レポート

場所は浅草駅から歩いて約13分。台東リバーサイドスポーツセンターの目の前です。隅田川もすぐそばにあります。

それでは、中にお邪魔します。

建物の中

扉を開けると、天井が高く開放感のある空間が広がります。

すぐ横にはイートインスペース。

反対側には、奥浅草百貨店(仮称)になるスペースがあります。
木をふんだんに使った温かみのあるディスプレイで、とても素敵です…!ここに商品が入ったらどんな風になるのか楽しみです。

撮影時はSNAPのフラワーディスプレイを担当している、Ree Flowさんの花で飾られていました!

座り心地の良いソファがレイアウトされた小上がりスペース

オレンジのビビットな配色が目を引くバーカウンター

小上がりスペースにある梯子を登ってみると…

暖炉がありました!
火をたくことができ、焚火の音を流して本物の焚火気分が味わえるそうです。

▼ 火を焚いたときの様子 ▼


そして今回特別に、オフィスエリアの中も見せていただきました!コンクリートと緑を基調としたインテリアで、コネクトエリアとは異なる雰囲気です。

外観・周辺

入口の右側には、イートの商品を購入できるカウンターがあります。

イートの出店者の飲食経験は問わないそう。今後、飲食業にチャレンジしてみたい方の後押しにもなりそうです。

台東区でお店を出してみたい方、お待ちしてます!

イートの出店第一弾は「mash iro(マッシロ)」さん。以前吉祥寺で2年限定で営業をしていたことのあるお店です。

外には椅子やベンチがあります。
天気がいい日に、ここでコーヒー片手にくつろぎたい…!

敷地内にレンタル自転車のポートがありました。調べてみると、台東区にも返却ポートがいくつかありました。帰りにサイクリングをしても楽しそう。

目の前にはスカイツリーとリバーサイドスポーツセンターがあります。夜になったらスカイツリーが綺麗に見えそうです。

INTERVIEW インタビュー

台東区に移転しSNAPという場所を作った理由や、こんな場所にしていきたいという思いを(株)クオーターバックの代表取締役の山田さん、取締役の大島さんがお話してくださいました!

(左)代表取締役山田さん (右)取締役大島さん

オフィス移転の理由

――なぜオフィスを移転することにしたのですか?

山田:そうですね。実はコロナ禍をきっかけに自社のブランドコンセプト「つながりのデザイン」が誕生したのですが、以前のオフィスではそれが体現できなかったというのが大きいです。それと、コロナ禍を乗り越えた先の「チャンスの拡大」。そして「コストの削減」が主な理由ですね。

これらを叶えるため、移転先の物件選びの柱としたのが、

  • 偶然の出会いを生み出しやすい1階であること

  • 空間デザインに幅を持たせやすい倉庫物件のような天井の高い物件であること

  • 東東京エリア

でした。

――東東京を選んだのは、なぜですか?

山田:東東京は、古くからの文化が残るエリアだからです。歴史はコピーできませんから、その土地固有のものがたくさんあるというのも大きな魅力です。固有の魅力があるというのは、僕らがふだんやっているブランディングの仕事と文脈的にもマッチします。

青山や代官山など、西東京エリアもファッショナブルで魅力的なのですが、東東京エリアに流れる、歴史を大切にしながらクリエイティビティを取り入れて「ここにしかないもの」を作り出す感じが面白いなとずっと思っていたんです。それで東東京エリアにいい物件がないかと清澄白河や馬喰町をはじめ、いろんなまちを回りましたが、最終的にはここにたどりつきました。

――この場所にした決め手はありますか?

山田:物件がよかったのはもちろんですが、誰もが知っている「浅草」というブランドとつながりが持てるのは面白いなと思ったからです。浅草は、海外、日本全国とのつながりがあり、地域のつながりも強い場所です。SNAPは浅草駅から歩いて13分ぐらいと、立地的には恵まれていません。しかし、この場所にわざわざ足を運んでくれる人は、多分、僕らと波長が合うというか、価値観が近しい人なんじゃないかと。それらを考慮して、ここを選びました。

まちに開いて、新しい出会いを作って、これまでにない価値を作る

――SNAPのオープンと浅草エーラウンドのキックオフ交流会(※)、タイミングぴったりでしたね。もしかして狙っていましたか?
 
山田:いえいえまさか、狙っていません。想定外です(笑)。

大島:工期がコロナ禍の影響もあって延びましたもんね。長らく工事をしていたので、建物の前を通る人から「何ができるの?」とよく聞かれました。僕らとしても早く出来てほしかったんですが、長い工期が逆に宣伝になりました(笑)。

(※)浅草エーラウンド
150年近く続く革靴の生産地であるという浅草の意外な一面を、楽しみながら知ってほしいという、工房や地域のお店のみなさんの想いから始まったイベント。
 2022年10月14~16日に開催された浅草エーラウンドでは、SNAPがキックオフ交流会の会場や、ツーリストインフォメーションとして、旅の出発点となりました!

山田:コロナの影響で工期が伸びるなど、狙い通りにいかないこともありましたが、今は効率化によって失われてきたような「偶然の出会い」を取り戻すことが大切なのかなと思っています。例えばカーナビゲーションを使うと最短ルートで目的地に行けますが、迷いながら進んで「こんなお店あるんだ」という発見が無くなってしまいましたよね。

人間は、いろいろな移動をしている方が幸福感を感じるそうですが、そうなると、想定外のことが起こるような状況を生む方が幸せにつながるのではないかと思っています。だから、人が出入りする場所を作って「こんな面白いところがあるんだ」って知ってもらえるとそれもまた人の幸せにつながるんじゃないかと。

工事期間中、よく「何ができるの?」と話しかけられたのですが、逆に「すぐそこで民泊やってるんだ」と教えてもらうこともありました。そのような、検索ではなかなかたどり着けないまちの魅力を掘り起こせているのも、SNAPの可能性なんじゃないかと思っています。
 

山田:今、人とのつながりを作る場所が全国に生まれていて、大きく言えば僕らもこの流れの中にいるのではないかと思っています。僕らはBtoB(企業間取引)の会社ですが、まちに開いて、新しい出会いを作って、これまでにない価値を作るようなビジネスが創造できれば、この場所を作ったかいがあります。

確信はないけど「何かが起こりそうだな」ということを計画的にやる。「偶発性を計画する」というのが今回の挑戦です。ただ、最初は社内でいろいろ議論がありました。

――社内でも色々な意見があったのですね。

山田:今までの僕らのオフィスは普通のオフィスビルに入居している「閉じたオフィス」だったんですよね。誰かが入ってきたら「アポイントはありますか?」と聞くような感じだったので、オフィスを開いていくのはこれまでの価値観からするとだいぶ違和感がありました。セキュリティ面でも、「変な人が入ってこないか」「怖い」という声があがりました。いろいろな理由で2年ぐらいかかりましたが、時間をかけた分、会社の中では、かなり対話を重ねることができました。

現在のオフィスは扉の奥にある

SNAPの今後の展望

――あちらが奥浅草百貨店になる場所ですか?

山田:はい。ここではメンバーが「良い!」と思った商品・作品の作り手に出店してもらう場所にしたいと思っています。将来的にはここに人が来てモノを買ったり、コミュニケーションが生まれたりするような場所にしていきたいですね。

――ここに作家さんが来る機会があったら面白そうですね。

山田:そうですね。「実はここに「小さなお店」を出しているんだよね」と作家さんが人を呼んでくれたら、また新しいつながりが生まれるかもしれないですね。

―――SNAPに行けば何かあるって認識されると、人が来てもらえそうですね。

大島:一方で難しい部分もあって、「ここって何ですか」と聞かれたときに、説明が長くなってしまうんです。「ブランディングを行っている会社で、このスペースはこんな使い方をしてお店が…」みたいになるともう説明するのに1分はかかりますね。

山田:最初から「こういう使い方です」と言うのではなく、例えば「ここで毎週金曜日でのイベントをしている」みたいな場所になってくると、見え方が変わってくるかと思います。僕らは普段、お客さまのブランディングをするときに「分かりやすくする」ということをしていますが、自分たちは真逆を行っている(笑)。

大島:実はSNAPは看板にも特徴があるんです。普通、ロゴデザインはひとつの決まった形があって看板に掲げられますが、SNAPでは決まった形のロゴは作っていません。来ていただいた方書いてもらった「SNAP」という文字をロゴとして看板に掲げています。毎月一度看板をかけかえているので、毎月一度来る人がいたとしたら、来るたびに看板のロゴが変わっているようなイメージですね。

山田:「自分が書いたものが飾られているんだよ」って言ったら、それがまたつながりになるじゃないですか。SNAPは「つながりのデザイン」というクオーターバックの理念を体現する場所なので、オフィスというよりは、オフィス機能がついたブランドルームとして運営していくつもりです。

訪問時の看板

山田:SNAPの空間は、「どんな時につながりが生まれるか」を考えて作られています。例えば、カフェはこの空間に入るきっかけです。来てくれたお客さんに声をかけたことから何かが始まるかもしれませんよね。ほかにも、この空間にはいろんな機能があります。セミナーとかアコースティックライブもできますし、バーカウンターを使えば、お酒を飲みながらちょっとデリケートなことの相談会だってできたりする。梯子の上にはバイオエタノール暖炉が置いてあるお座敷があって、焚火の音をバックに流すことで本物の焚火気分が味わえます。キャンプで焚火を囲んで話すと深い仲になると思うのですが、そんなことができる場所を作りました。

使う人によって機能が変わる空間

―――こういう人と組んで、こんなことをSNAPでしたいという希望はありますか?

山田:特にこだわりはありませんが、人との出会いを演出することができる人と企画をしかけていきたいですね。SNAPから情報が発信されて、「奥浅草面白いな」と思った人が集まってくるというのが、一番僕らが望んでいる展開です。

また、この近辺は空き家が多いと聞いています。うまいこと、クリエイティブな発想を持っている人と空き家がマッチングして面白い店ができていけばまちもにぎわっていきますよね。このエリアは、toC(対顧客)のお店が少ないので、カフェや物が買えるお店が増えていくと面白いことになりそうです。あとは、うまく遊休不動産と志がある人をつなげられるような仕組みが作れればよさそうですよね。
 
台東区としても課題意識をもって北部地域を活性化する動きもあると聞きました。ただ、いきなり盛り上げるのはなかなか難しいので、僕らが浅草方面からのハブというか、中継地点になれたらいいなと思います。

特にSNAP周辺は面白い人が多いので、彼らをつないでまちの魅力を編集して、「もう浅草わかっちゃったよ」という人たちにも、まちの魅力をさらにお伝えできたらいいですね。エリアを盛り上げて価値を上げたとなると、また新しい仕事ができると思っています。これからは地域とのつながりから生まれた仕事もしていきたいですね。


クォーターバックのみなさま、お忙しいところありがとうございました!

山田さんは地域の場所や人にとても詳しく、私たちも取材中色々なお店や場所、人のことを教えていただき、「そこ面白そう!」「今度行ってみたい!」という言葉が飛び交っていました。
また、詳しいのみならずまちとのつながりをすでに作られており、言葉どおり「つながりのデザイン」を体現されているなあ…と感じました。

SNAPに行けば、いままで知らなかった地域の面白い場所や人を再発見できるかもしれません。

施設概要

名称 :SNAP
所在地 :東京都台東区今戸1-2-10 JKビル1F
企画・運営 :株式会社クオーターバック

🚩note https://note.com/snap817/m/md91b5fefa3c2
🚩Instagram https://www.instagram.com/snap_okuasakusa/
🚩web  https://q-b.co.jp/(株式会社クオーターバックwebサイト)


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この記事は台東区産業振興事業団 中川が担当いたしました。