求人広告メディアは時代遅れである。
気がつけば、20年近く求人広告を作ってきました。採用コピーライターとしての僕を育ててくれたのは求人広告制作という仕事だったと思います。求人広告制作の仕事は今も好きだし、求人広告をこだわって作りたいという思いもあるのですが、その一方で「求人広告メディアは時代遅れの産物だなぁ」とも思っています。正確には、「今や求職者の期待に応えられるものではなくなってきた」というべきでしょうか。
こんにちは、採用コピーライターのオヤマダです。
今回は、タイトルに書いた通りなのですが、「求人広告メディアが時代遅れの産物になってしまった理由」と、「そんな求人広告メディアを自社採用で上手く活用するには何が必要なのか」について、僕の見解を述べさせていただきます。
求人広告メディアが時代遅れである理由
それは、「点」の情報しか載せられないからです。
どういうことなのか説明します。
いくら求人広告に載せる情報を増やしたからといって、募集するポジションについての情報だけが書かれているのが求人広告です。これは「点」の情報でしかありません。
でも、実際の仕事って、目の前の仕事だけでは完結しませんよね。前工程があって、後工程がある。仕事で関わる仲間たちがいる。お客様がいる。そして、会社が向かっていこうとしている未来がある。これらはすべて繋がっている情報です。
就職や転職というのは、「新しい仕事を始めること」でもありますが、「新しい生活を始めること」でもあります。「新しい生活」をイメージするために「仕事だけ」の情報ではあまりにも少なすぎるのです。仕事探しはお部屋探しに似ています。部屋を選ぶときに部屋のスペックだけでは決めませんよね。立地、日当たり、景色、近くにどんな施設があるかなど、部屋につながる情報を集めて探すはずです。仕事探しも同じです。
仕事の魅力を伝えるためには、募集している職種の仕事以外のことも求職者に伝える必要があります。
なぜか。
世の中にあるほとんどの仕事は、その仕事単体では魅力的ではないからです。いや、正確にはその魅力が伝わりにくいものなんですね。キラキラしていて魅力が分かりやすい仕事ばかりではないわけです。
つまり、この仕事がどんなふうに人の役に立っているのか。誰かの笑顔につながるのか。どんな未来を創るのか。そういった仕事の意義を伝えなければ、仕事の魅力って、求職者には伝わらないものなのです。募集職種の仕事という「点」の情報だけでなく、その仕事が何につながっているのかという未来の情報である「点」の情報とつなげた「線」の情報こそが、求職者が仕事の魅力を感じる情報になります。
ところが、求人メディアは前述した募集職種の仕事という「点」の情報しか載せられません。これが、僕が「求人広告メディアが時代遅れである」と考えている理由です。
仕事探しに求められているのは「線」の情報
近年、採用ブランディング、採用広報の必要性が叫ばれています。
何が起きているかというと、求人票や求人広告だけの情報では、会社の魅力、仕事の魅力を伝えられない(=応募が集まらない)と、多くの企業の採用担当者が感じていて、採用ブランディング、採用広報というものに期待を寄せているわけです。
でも、採用ブランディングも、採用広報も、自社採用の援護射撃であるわけですが、その本質は「線」の情報です。
応募をある程度集めたい求人の情報の補完として、会社がどんな未来を描いているのかというMVVを伝えたり、思いを実現するための事業戦略を伝えたり、実際に働いている先輩社員の声を伝えたり……。これらはすべて、求人を中心に「線」でつながっている情報です。
何が言いたいのかというと、「転職を考えている求職者も、就職活動を頑張っている学生も、求人という募集情報だけでは仕事先を判断しない時代になっているということ」なんですよ。
で、
求人広告メディアは、この求職者のニーズに応えられていない。もともとのビジネスモデルが「広告枠という点の情報を売るもの」であるからこそ、「求職者のニーズに応える形に変えられないジレンマに陥っている」のかなぁと思います。
もう少しくわしく書くと、
求人広告メディアは、「点」の情報である求人広告を書くための取材と撮影は出来るのですが、「線」の情報を作るための取材と撮影はコストに入っておらず、作成する場所もありません。これが、「求職者の期待に応えられるものではなくなってきた」と僕が考えている理由です。
まとめ
この記事で言いたかったことをまとめると、
・求人広告メディア単体での採用は難しくなってきた
・求職者は、仕事選びに「線」の情報を求めている
・しかし、求人広告メディアは「線」の情報提供が苦手
ということです。
誤解してほしくないのは、求人広告メディアを用いて、noteやオウンドメディアを使って「線」の情報提供体制を作ることは可能です。しかしその場合、一貫して制作を依頼できないため、連携を上手くやらないと採用に効果がある「線」の情報提供にならなかったりします。これは結構難しい仕事だったりします。
なので、
僕のような採用コピーライターの活躍の場は広がっています。求人広告制作だけでなく、トップインタビュー作成、社員インタビュー作成、採用広報記事の作成だけにとどまらず、クライアントや募集職種をどう見せていくのか?というブランディングしていける仕事が求められています。なぜなら、日本の人手不足は加速しており、採用難易度は年々上昇していく傾向にあるからです。
採用担当者の方は、求人広告だけに頼る採用という意識をアップデートしたほうが良いと思います。求職者は、仕事選びのためにいろんな情報を求めており、求人広告だけよりも、企業ホームページ、採用ホームページも見て、自分に合った仕事を探しています。求職者に出せる情報が少ないということは、仕事選びの選択肢に乗らない可能性が高くなるということです。
では、採用に効果がある「線」の情報提供とはどう考えていけばよいのか……という話になるのですが、これはまた別の機会(有料コンテンツ)でお話ししましょう。
この記事が、採用広報のお役に立てれば幸いです。御社の採用活動が上手くいくことを願っております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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