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採用ブランドと採用ブランディングについて、超・分かりやすく説明する

こんにちは、採用コピーライターのオヤマダです。
最近は、採用コンサルタント、求人広告コピーライター、企業の採用担当者の方から、「採用ブランディングって、分かるようでよく分からない」という声をよく聞きます。ネット上ではいろんなサイトが採用ブランディングについて語っていますが、どれも同じような説明の仕方で分かりにくくなっており、「書いている人は本当に分かって書いているのか?」という思うような説明も散見されます。

てなわけで、今回はオヤマダ流に分かりやすく、「採用ブランドとはどういうものなのか」「採用ブランディングとは結局何をやればいいのか」についてお話ししたいと思います。
 

「採用ブランド」とは何か?

「ブランド」とは、「顧客との約束」と考えると分かりやすいです。

高級バッグのブランドだったら、「最高級のデザインと肌ざわりで、持っていることがあなたのステータスになる体験を約束する」というものだったり。セレクトショップのブランドだったら、「この店に来ると、トレンドの最先端に触れられることを約束する」というものだったり。

「ブランド」とは、それを思い出した時に、プラスの心象イメージが湧いてくる信頼のことでもあるわけです。

例えが少し変ですが、コーラを見たら「飲んだらゲップが出る」ということが誰でも予想できますよね。これは、コーラという飲み物の約束であり、反対に飲んでもゲップが出ない、炭酸の弱いコーラが出てきたら消費者は怒るわけです。「こんなのはコーラじゃないぞ」って。

コーラがブランドか否かは一旦置いておいて、「約束事が想起される」というのが「ブランド」では大切だったりするわけです。

では、「採用ブランド」とは何でしょうか。

「ブランドとは何か」の文法に当てはめて考えてみると、「今所属している社員、これから入社する社員が働くことで得られる約束事」と考えることができます。

そう、「約束事」なのです。
 

「採用ブランディング」とは?

では、「採用ブランディング」とは何なのでしょうか。

それは、自社の「採用ブランド」である「今所属している社員、これから入社する社員が働くことで得られる約束事」を、「今所属している社員、これから入社する社員に意識づけしていく活動」のことを指します。

採用ブランディングというと、既存社員の紹介とか、社員インタビュー記事とか、トップインタビュー記事とか、コンテンツの話になりがちですが、それはあくまで発信していくための「手段」の話でしかありません。

大切なのは、「どんな約束事を伝えていくか」です。

「約束事」を無視した情報発信は、採用ブランディングでもなんでもありません。むしろ、本来伝えなければならない「約束事」が既存社員・求職者に分かりにくくなるノイズになる可能性も秘めています。

もし、「採用ブランディングが上手くいっていない」と悩んでいる経営者様、採用担当者様がいらっしゃいましたら、「約束事を伝えられているか」を思い返してみてください。採用ブランディングが上手くいかない理由の大半は、「約束事が伝えられていない」「約束事が何か分かっていない」「約束事がイメージできないほど曖昧」「約束事がメリットになっていない」ということだったりします。

大切なのは、「どんな約束事を伝えていくか」という話をしましたが、「約束事の中身を考えていくこと」も大切なのです。

つまり、まとめると、

採用ブランディングとは、社員の採用と定着のために「今所属している社員、これから入社する社員が働くことで得られる約束事」を、「今所属している社員、これから入社する社員に意識づけしていく活動」のことを指しているわけですが、その活動の中には、「約束事を考えていくこと・創っていくことも含まれている」ということです。

カンのいい方はすでに気づかれているかもしれませんが、採用ブランディングというのは、やることは多いし、パワーはかかるし、採用市場における相場観がないと正しい判断がないと、採用成果につなげることができない結構難しいことなのです。

なんとなく、Wantedlyにトップインタビューや社員インタビューや社内イベントの記事を書いてアップしていくのは、採用ブランディングの表面的な仕事を真似ているだけで本質的な仕事ではありません。そういう仕事は一時の成果は出ても、作り手になぜ成果が出たのかを分析する力がないので、再現性がなく、改善も出来なかったりします。

素人が手を出しやすいけど、継続的な成果を生み出しにくい理由がこのあたりにあります。なので、採用ブランディングはプロに任せたほうが、お金はかかってしまうかもしれませんが、短期間で成果が出ると思います。

ただし、採用ブランディングのプロを謳っていても、採用ブランディングの本質を分かっていない業者はすごく多いです。本当に多いです。
 

採用ブランディングのやりかた・考えかた

求職者が「知らないこと」は、求職者にとっては存在しないことと同じです。だから採用ブランディングは、自社で情報発信していくことで、求職者の「知らない」「知っている」に変え、就職先の選択肢の一つに加えてもらう……というのが、採用ブランディングの基本的な考えかたです。

ところが、

求職者は興味がないことは知りたいとは思いません。興味がないことの押しつけには拒否反応を起こします。

きれいなオフィス紹介や若い女の子社員のダンス動画は、興味が湧くので閲覧されます。僕だって見ます。しかし、若手社員のサクセスストーリーとか、知らない社長のインタビューは閲覧しません。興味がないからです。僕だって読みませんよ、そんなもん。

人間は、自分にとってメリットのありそうな情報には耳を傾けますが、メリットがなさそうな情報は拒絶します。

つまり、

採用ブランドとは、「求職者(特にターゲット)にとってメリットのある約束事であることが大前提になる」ってわけです。

「約束事」をどう設定するかは、採用上の競合(同じターゲット人材を狙っている採用上のライバル企業)と、ターゲット人材の志向性(どんな価値観を持っているか)を鑑みる必要があります。なぜかというと、ターゲット人材にとって他社よりも「アリ!」と思ってもらうために、アタマ一つ抜けている状態を印象付けなければならないからです。

このあたり(↑)が、僕が「採用ブランディングは素人には難しいよ」と言っている部分です。

で、

約束事が決まったら、今度はそれを伝えていかなければなりません。そこで登場するのが、採用広報コンテンツです。自社発信していく情報ですね。これは、ある程度の弾数が必要になります。

例えば、「日本で一番社員に優しい会社」という採用ブランドを打ち立てたとしましょう。

ところが、それを会社がストレートに発信しても、求職者は信用しません。求職者は企業発信の情報は「自分たちにとって都合のいいことしか言わない」と思っているからです。じゃあ、どうすればいいのか。ここで、社員インタビュー記事を使います。

社員インタビュー記事を使って、採用ブランドである「日本で一番社員に優しい会社」を発信していくのです。インタビューのメインテーマが採用ブランドである必要はありません。社員の成功体験でも、今参加しているプロジェクト紹介でもいいのです。その中に、「日本で一番社員に優しい会社」で働いていることで受けている恩恵について触れていくのです。

そのような社員インタビュー記事が10本出来上がったとしましょう。その10本の記事を読むと、「日本で一番社員に優しい会社」とその恩恵を受けての仕事について、さまざまな角度の情報が出てきているはずです。

そしてトップインタビュー。経営者が夢見る未来と、経営方針、事業計画といった話には、「日本で一番社員に優しい会社」にするという理由や思いが入っているはずです。これも伝えていきましょう。

このように、「日本で一番社員に優しい会社」をアンカーにして採用広報コンテンツを作っていくことで、「日本で一番社員に優しい会社」という情報の具体性と根拠性が高まります。そして、読者に「この会社は本当に日本で一番社員に優しい会社なんだ」と思わせる空気が生まれてきます。

採用ブランディングとは、こんな感じで運用していけばよいのです。

ところが、まだ終わりません。この活動を社外と社内に対して続けていきます。その理由はここでは書きませんので、採用ブランディングをどこまで続ければいいのかということと一緒にご自身で考えてみてください。
 

さいごに

今回は採用ブランドと採用ブランディングについて話してみました。

この記事が、採用広報のお役に立てれば幸いです。御社の採用活動が上手くいくことを願っております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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