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これからの神社の役割

神社の歴史的役割

神社とは、人間ではなく神様が住まう空間。日本人は、清浄な山や岩、木や滝といった自然物に神様が宿ると信じていました。その神宿る空間をしめ縄で囲い、聖なる空間としたわけです。

祭りの日には、聖なる空間に地域の人々が集います。春には豊作を、夏には風雨の害が少ないことを祈り、秋には収穫を感謝するなど、地域をあげて行われます。つまり、神社とは個人ではなく、地域共同体、集団が集い、祈りを捧げる空間というのが本質的な機能であると考えられます。

全国8万社以上ある神社がそれぞれ地域のハブとして役割を担ってきたのです。

一つの地域社会の構成員は一つの神社の氏子としての帰属意識を持ち、先祖代々の付き合いをするものとされてきました。

共同体としての集うことで、先祖と地域のつながりに感謝しながら、そこに意味を見出してきた。そして、神社がその中心となっていたのでしょう。

つまり、神社では集団が集い、その縦(先祖)と横(地域間)のつながりに幸福感を感じていたと思われます。

共同体から個人へ

戦後、西洋化や近代化によって、社会的にも共同体から個人が重視されるようになり、さらに経済が発展することで、人々の生活が豊かになり、個人に選択肢が生まれました。

その自由な選択肢とインフラの発展が人の移動を促進し、神社も社会の変化に応じて、変化を示します。

例えば、男女の素敵なご縁がありますようにという願いに応じて、「縁結び」の神社。受験ブームの到来とともに「学問」の神社。

より「個人」の願いに寄り添えるよう、それぞれの神社が特色を示しながら、社会の変化に応じていきます。

さらにいま、「御朱印」や「花手水」といった一つの神社に縛られるのはなく、個人がそれぞれの神社を巡るような兆候が表れ、季節感を感じられるところから、色んな神社へ足を運ぶきっかけへと繋がっているようです。

個人から地域共同体のつながりへアップデートする

では、神社の本質的機能に立ち返ると、「地域の共同体、集団が集う空間」と言いました。

個人の要望に応えてきた「神社」ですが、次に「個人」から「集団、地域のつながり」を育むために、ブリッジをかける仕掛けが必要でないかと思っています。

つまり、神社が、SNSや口コミなど多様なきっかけで、神社に足を運んでくれる個々に対して、現代にアップデートされた形の地域や集団がつながる場へと変化していくことが求められていると感じます。

例えば、私が奉仕する服部天神宮。

足の神様としてご崇敬をいただいている神社です。

「足」の神様に想いを寄せる人々は多様で、マラソン、サッカー、野球などのスポーツに励む皆さまや足のリハビリテーションに励む皆さまがいらっしゃいます。

では、個人でお参りされる皆さまを、「個」から「集団のつながり」を育むには、きっかけとなるための場づくりが必要だと感じます。

マラソンであれば、「走る」ことを通じて、ご縁が結ばれていく。だから、神社をポイントとして、「走る」×「祈る」をわかりやすい形でつなぐ。

例えば、夜の神社を貸し切り、祈りを捧げた後に、全員で服部緑地公園まで走り、そして神社で一日を無事終えられたことに感謝する。

そういった、個人と神社の関係性をうまくコミュニティとして昇華させること。そうすることで、地域のつながりが薄くなっている現代社会においても、人々のこころの距離が近づいていくと想像できます。

時代が変わっても、神社の本質的機能は変わらず、つながりを育む方法をアップデートすることが、これからの神社の役割になっていく、そのために行動していこうと思います。

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