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政府のIT予算支出先ベンダーのランキング Top 20

政府では、早ければ2021年9月に設立するデジタル庁の制度設計が大詰めを迎えています。組織や人事の面を従来の霞が関の官庁とは違った柔軟なものとするということで、前例や既存の法律との一貫性が極めて重視される法案作成という作業に携わっている方々の多大なご苦労が推察されます。

さて、デジタル庁が設立されると、政府の情報システム調達の在り方が大きく変わり、これまで受注してきた各ベンダーのビジネスにも影響することが予想されます。その前提として、政府の情報システム予算が現在どのように使われているかを知っておくことは有用だと思います。

この点に関連し、世の中にどこまで広く知られているかは分かりませんが、内閣官房IT総合戦略室が、ITダッシュボード”というサイトを運営しています。このサイトには、まさにそのような情報がオープンデータとして公開されています。

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画像:内閣官房IT総合戦略室“ITダッシュボード”Webサイトより

この“ITダッシュボード”では、政府の情報システム関連事業予算(運用等経費が10億円以上)の支出先ランキングを年度ごとに見ることができます。2020年12月13日現在では平成30年度予算についてのものが最新で、Top 20は次のとおりとなっています。

政府の情報システム関連事業予算(H30)の支出先別支出金額

支出金額のシェアで見ると、NTTデータ、富士通、日本電気(NEC)、日立の4社で約6割を占めています。

政府の情報システム関連事業予算(H30)の支出金額シェア

よく知られていることですが、1位のNTTデータは1967年に電電公社(現NTT)内に設立されたデータ通信本部を源流としており、2位の富士通・3位のNEC・4位の日立(+12位の沖電気)は電電公社から提示された通信機器の仕様を基に、その設計・製造を行う“電電ファミリー”として発展してきました。

ちなみに、このような日本を代表する(してきた?)ICT企業も、設立の経緯には外資が大きく関係しています。例えば、NECは1889年に日本で最初の外資系企業として設立されました。当時日本の電話交換機は米国のウェスタン・エレクトリック社のものを使っており、その保守などを行うため、同社とその代理人を務めていた岩垂邦彦氏が出資して設立したのがNECです。また、富士通は1933年に富士通信機製造として設立されましたが、その源流は1923年に古河電気工業とドイツのジーメンス社の資本・技術提携により設立された富士電機製造(現富士電機)にあり、古川の「ふ」とジーメンスの「ジ」が社名の由来です。

少し脱線してしまいましたが、Top 20の各社がどのような情報システム関連事業に参加しているのかを表したものが次の表です。基本的に金額ベースで最大の事業を記載していますが、NTTデータについては主立った事業が分散していますので、100億円以上のものを全て記載しています。

各支出先の主な参加事業と支出金額

最後に、“ITダッシュボード”から興味深いデータを紹介しておきます。政府が情報システムにどれだけクラウドを使っているのかについて、少し古いのですが2017年度の数字が出ています。

政府の情報システムの種類

8割以上がオンプレミスということで、デジタル庁の設立でこの数字がどのように変化していくのかは要注目でしょう。


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