僕と俺。(1) [一話完結]
「あれって、桜かな?」
「違うくね、色、濃すぎんか?」
「桜の従兄弟みたいなやつなんじゃないの」
「それは桜なん?従兄弟は桜に含まれるん?」
「含まれるよ。だって、家族じゃん。」
「ま、どっちでもいいけどな。」
「良くないよ、真面目に考えてよ。」
「めんど。」
「ちゃんとしてよ。桜なのか、そうじゃないかで、テンション変わるでしょ。ニュースでも、数ある花の中から「桜の開花」のニュースは毎年してるじゃん。それだけ皆気にしてるんだよ。」
「知らん知らん、いや、知らん知らん。」
「お花見とか行かないの?」
「昔は家族に連れられてた気がする。」
「じゃあ、一緒にしようよ。」
「は?行かんて。」
「何でよ、絶対楽しいよ。」
「じゃあ聴くけどさ、お花見って花を楽しんでるの?弁当を楽しんでるんじゃないの?」
「もう、そういう事言うんだから。どっちも楽しんでるよ。」
「桜をちゃんと見てやれよ。1年でたったの10日間くらいしか咲かないのに可哀そうだろ」
「君、桜好きじゃんか。」
「うるせ。」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?