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三味線をデザインするために、三味線を習い始めた話。

みなさんは三味線を弾いたことがありますか?

普段の生活では見かけることも少なくなりましたが、誰もが三味線を手にしていたという時代も日本にはありました。例えば、カラオケのない時代では伴奏は三味線というのがお決まりで、日常的によく見かけるものでした。

ただ時代と共に、三味線を習う人は減りつつあります。同時に三味線を作る職人さんも、どんどん減りつつあるというのが現状です


自分も今までは三味線とは関わりが無かったのですが、縁あって何年も前から東京三味線職人さんと仕事をするようになり、興味を持つようになりました。

今では三味線の技術を使った商品や三味線自体をデザインしたり、実際に三味線を弾いてたりします。まずは三味線職人さんについて、ぜひ知ってほしいのでそこから紹介していきます。

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(参照元:https://tokyoteshigoto.tokyo/studio/sangenshikikuoka/)

三絃司きくおか
三味線に関する木材や皮をインド、東南アジア、中国、台湾より直接輸入している数少ない三味線専門工房です。そして、それらの材料は熟練した職人が一つひとつ丹念に仕上げを行っております。

いつもお世話になっている三味線職人、三絃司きくおかの河野さんです。実際にお会いすると気さくな方で、三味線について色々教えてくれます。

河野さんは、世襲の多いこの伝統工芸の業界でゼロからのスタートされました。本格DIY三味線の発案・製作や、諸外国の外交官へのワークショップ開催など色々なことにチャレンジされています。


三味線職人は木の達人


あまり知られていませんが、三味線職人を簡単に説明すると、一本の荒木から全て手作りの工程で三味線を作り上げる技術をもっており、木と言う素材・加工を知り尽くしている職人だと言えます。

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(参照元:https://tokyoteshigoto.tokyo/studio/sangenshikikuoka/)

今までは自分のプロダクトデザイナーのスキルと経験を活かして、その製作技術を用いた新しい商品を作ってきました。

例えば、三味線の天神を模した、楽器のような「けん玉」

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美しい日本の花をモチーフにした「ダンベル」

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これらの商品はデザインアワードや公募展で入賞させて頂くほど、良い評価を頂きました。どちらも個別販売しており、今後一般販売に向けて準備をしています。

そして、ここから本題です。

三味線製作技術を活かした商品だけでなく、本業の三味線もデザインして欲しい話を相談されました。(どういう商品をデザインするかは、発表前なのでまた別の機会にご紹介します。)

まず考えたのが、三味線をデザインするなら三味線をもっと理解したいということです。そのためには三味線を弾けるようになるのが一番だと考えました。

そこから職人さんに教えてもらったり、独学で練習するようになりました。


三味線は初心者にも優しい

三味線をデザインするために、理解するために始めたのですが、楽しんで弾いています。始めて半年ぐらいなので、そんなに上手くないですが。

ぜひ色々な方にも広めていきたいのですが、三味線は初心者には難しい、三味線を買うのは高いかもという印象を持っている方が多いかと思います。

三味線の良いところは、初心者でも一時間あれば、簡単な曲な弾けてしまうところです。もちろん上達したり、難しい曲を弾くのには練習が必要ですが、三味線の譜面も読みやすく、ハマる人にはハマると思います。


三味線は高い?

職人さんが一から作った本格的な三味線は確かに高いですが、1万円ほどで買えるお手軽な三味線もあります。

いま弾いている「小じゃみチントン」という三味線がそうです。河野さんが三味線をもっと多く人に知ってもらい、身近に感じてもらうために、入門者用の三味線を作りました。

木材には多摩地区の間伐材である檜を使用し、三味線の「面」の部分に動物の皮の代替素材としてユポ紙を用いております。それにより安価で、本格的な音が鳴る三味線を実現しました。

「小じゃみチントン」の新しいデザインにも、自分が一部関わっていたりします。今現在のものは、こちらからも購入できます。


三味線は初心者にも優しく、入門者用の三味線もあるということを知ってもらえたかと思います。ぜひ興味を持った方は新しい趣味として、三味線を始めてみるのはいかがでしょうか?

今後、三味線の理解をさらに深めて、職人さんと一緒に開発する商品が完成しましたら、またお話しできればと思います。

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