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ものづくりに関わる人たちにとって、一番の課題は現代の価値観

特に伝統工芸にかかわる人たちにとって、一番大きな課題は販路とか品質ではなく、現代の価値観だと言えます。

安いほうが良い、モノにこだわらない、モノを持たないというこの価値観がある前提でものづくりしないと、ただ良いものを作っても売れません。


物にこだわらない

これはライフスタイルの変化といっても良いかと思います。少子高齢化、戸建てからマンション住まい、晩婚化など、昔と比べて生活様式も大きく変化しました。

ライフスタイルが多様化したと言えば分かりやすいかも知れません。独身でお金を持っていて趣味にお金をかける人、家族を持ち子供にお金をかける人、家を持たずに点々と暮らす人など。

その中で様々な理由で、モノを持たないノマド的な人、ミニマリスト的な人も増えてきているのも事実です。以前に比べると、国産や本物でなくても、機能的で安いものであれば良いという人が多くなっています。


物を持つより、得られる体験

その中で今は物を持つより、得られる体験にお金をかけたい人が多いです。つまりこの価値観を変えるというより、体験を得られる物を作るとか、所有することでより価値の生まれるものが求められます。

まずは工房見学やワークショップなど工芸の技術などを実際に体験してもらうことで価値や文化を知ってもらい、それから体験を持ち帰るために工芸品を販売するなどの導線作りが必要になってきます。


なぜ中国産が売れるのか

中国産の工芸がなぜめっちゃ売れてしまっているのかというと、これも現代の価値観によるものだと思います。日本産の本物で高い工芸品より、中国産でも安い工芸品っぽい方が売れてしまうのが今です。

経済的な理由もあるかと思いますが、中国産でも機能的で安ければ良いという消費者が増えました。メーカー側もその市場に合わせて、売れるものを作り製造を行うところが増えたと言えます。


丁寧な暮らしとは

一方で、すこし前から流行っている「丁寧な暮らし」というものがあります。これも現代の価値観から生まれたライフスタイルだと思います。

現代の忙しい毎日でゆったりとした気持ちを取り戻すために、丁寧な暮らしを営むのが目的です。具体的には、食事に手間をかけたり、日用品にこだわったり、自然と触れ合う生活です。

このライフスタイルと、本物を作るものづくりの親和性は高いと言えます。


最後に

大量生産大量消費で物があふれている現代は、精神的に豊かであるとは思えません。一つ一つのものに対して、愛を持って作り、愛を持って使う。そのライフスタイルの方が、心が豊かだと感じるはず。

価値観も多様化していく中、社会全体の価値観を変えるのはかなり時間がかかるので、少しずつ我々も含めて意識を変えていくのが良いかと思います。

こちらでサポートして頂いたものは、日本の伝統工芸・モノづくりのために使わせて頂きます。