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伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法④ 企業とコラボする。

今までに3つの手法について話してきましたが、今回は企業とコラボして、伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法をご紹介します。

伝統工芸を現代の暮らしに取り入れる方法
① 伝統工芸の技術を転用する。
② 伝統技術と最新技術を組み合わせる。
③ アニメとコラボする。
④ 企業とコラボする。

企業と伝統工芸がコラボすると聞くと、ノベルティとして伝統工芸を用いることがまず浮かびますが、その場合はただ既製品に名前を入れただけというパターンが非常に多く、コラボとは言えません。

両方の強みを生かし、現代の生活に溶け込んでこそコラボする意味が生まれます。その実例を紹介していきます。


①スターバックス

「JIMOTO made series」
JIMOTO made seriesとは、日本各地にあるその地元の産業、素材を取り入れた商品開発を行い、その地元の店舗のみで販売するシリーズです。その土地、その土地の産業、その土地にいる人のことを大切にしたいという思いをはぐぐむために、このシリーズは生まれました。地元の職人の方が、一つ一つ思いを込めて仕上げた地元に根づく商品に出会うために、地元に行ってみませんか?

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(引用元:https://www.starbucks.co.jp/jimoto/)


シアトル発のコーヒーチェーンショップ「スターバックス」。地域とのつながりを強くするために、地場産業とコラボを行っています。具体的には、その地元の技術や素材を活かした商品開発を行い、地元の店舗でのみ販売しています。

基本的には、コーヒーやティーと関わりがあるカップを中心に、地場産業の技術を活かして、商品開発を行っております。種類としては陶磁器・硝子・木のコーヒーカップやコースター、ブランケットなどもあります。

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(引用元:https://product.starbucks.co.jp/goods/mug/4524785339903/

この地場産業には、墨田の江戸切子、石川の九谷焼、愛媛の砥部焼、熊本の小代焼など日本全国の工芸が関わっています。これの多くが既製品ではなく、オリジナルの商品開発を行っています・

質の高い工芸をもちいることで、コーヒーがより一層美味しくなり、地場産業にも注目が集まり、相乗効果が生まれます。ここがきっかけになり、もっと工芸にも売れるような仕組みになっていくと嬉しいですね。


②星野リゾート

和やおもてなしを大事にしている旅館と伝統工芸は元々結びつきが強く、深くかかわってきました。その中でも、より伝統工芸や地場産業とのコラボに特化している星野リゾートさんを紹介します。

星野リゾートは温泉旅館ブランド「界」を展開しており、全国16か所それぞれの地域を活かして旅館づくりをしています。そして、旅館全体だけでなく、地域文化を存分に感じられる「ご当地部屋」もあります。

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(引用元:https://kai-ryokan.jp/rooms/#detail-4)

界 加賀(石川県・山代温泉)では、寝室に加賀水引や加賀友禅などの伝統工芸が用いられており、加賀伝統工芸に包まれて過ごすことができます。


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(引用元:https://kai-ryokan.jp/rooms/#detail-4)

界 箱根(神奈川県・箱根湯本温泉)では、箱根寄木細工の伝統を守る「露木木工所」が手掛ける「箱根寄木の間」があり、寄木細工の多種多様な模様を楽しむことができます。


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(引用元:https://kai-ryokan.jp/rooms/#detail-4)

界 川治(栃木県・川治温泉)では、栃木県鹿沼地方で栽培されている野州麻を活かした、「野州麻紙の間」があります。伝統的な麻を使った新しい工芸作品を手掛ける麻紙職人が手掛けており、稲穂が印象的です。


③CASIO

時計メーカーと伝統工芸がコラボすることも多く、今回は江戸切子とコラボした時計メーカーCASIOさんを紹介します。

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引用元:https://oceanus.casio.jp/collection/manta/OCW-S5000D.html

江戸切子サファイアガラスベゼル
伝統工芸士・堀口徹氏とともに、江戸切子の手法を取り入れたベゼルを開発。通常、江戸切子はクリスタルガラスのような硬度の低い素材を使用しますが、今回のモデルではダイヤモンドに次ぐ硬度のサファイアガラスに、ハンドメイドで一つひとつ時間をかけて加工。

この腕時計では、ベゼルと呼ばれる時計のガラス周りにある円形部分に江戸切子を用いております。今回では、枠の金と青い部分を指します。腕時計に江戸切子を用いることで、伝統的で革新的なデザインになり、自然に現代の生活に溶け込むことができます。


④SEIKO

セイコーウオッチ(SEIKO)のグランドセイコーというブランドにて発売された、耐久性・耐光性に優れた希少な純国産の漆を使用した腕時計。

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(引用元:https://www.fashion-press.net/news/46846

岩手県の北部に位置する浄法寺町の漆を使用しており、文字盤に国産漆を用いた漆塗りと高蒔絵を採用しています。

漆工の「透漆(すきうるし)」という技法によって、背景の模様が透けて見え、漆の産地・岩手山の山肌をイメージさせます。さらに他のモデルでは文字盤に黒漆を全面に塗り、高級感を演出しています。

またブランドロゴ、インデックスには、漆と金粉で立体的に仕上げる「高蒔絵」を採用しています。


③ポーラ

化粧品メーカーであるポーラ「B.A ザ クリーム 江戸切子」の江戸切子容器。伝統工芸士の堀口徹氏がデザイン・監修した一品。ポーラはポーラ伝統文化振興財団を設立し、伝統工芸を活かし、広める活動をしています。

ポーラ創業80周年を記念して作られ、地域の伝統文化と化粧品容器に求められる基準を満たす精巧さの融合されています。容器としての密閉性を可能としたことで江戸切子の新しい活用法も提示しました。


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(引用元:https://incubation.tokyo/u-studio/poc/noyer/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%88%87%E5%AD%90%E8%81%B7%E4%BA%BA%E3%80%80%E4%B8%89%E6%BE%A4%E4%B8%96%E5%A5%88%E3%80%80-%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%88%87%E5%AD%90vol-1/


いかがでしたでしょうか?企業とコラボすることで、商業的になる一面、新しい活用法や販路が広がり、今までにないアイデアが生まれたりします。それにより、より多くの人に知ってもらい、伝統工芸が現代の暮らしの溶け込みやすくなります。




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