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アセスメント例「4歳女児 気管支喘息」

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今回は、具体的にアセスメント例をまとめています。


気管支喘息
アセスメントのまとめ


事例( 1 ), 年齢(  4歳    ), 性別( 女性 )

発達のまとめ

エリクソンの発達課題によると、4歳の患者Aは「幼児期」にあたり、積極性と罪責感の二面性を有している段階である。「遊び」を通して「自分の目標・目的をもつ」といった積極性を身につけ、人間的強さを形成する時期である。患者Aの場合、喘息発作により今後も入退院を繰り返すと、遊びが制限され、積極性の獲得が妨げられる可能性がある。真の積極性を達成できないと、自主性が阻害され、自分に対する罪責感、抑圧、無気力といった状態となり、正常な発達を遂げられない可能性がある。
痛みに対する理解においては、身体的な苦痛、不快をある程度言葉で表現できる年齢であるが、痛みの程度や種類を表現することは難しいと考えられる。患者Aは、発作が起きると、咳き込みながら「苦しい」と訴えることができていることから、痛みに対する反応に問題はないと考えられる。
幼児期の認知発達の特徴として、自己中心性があり、病気による入院や処置、治療に対して、「自分が悪いことをしたから、言うこと聞かなかったから」という罪や罰として捉えやすい。また一度注射をして痛みを体験すると、「注射は痛い」という自分の経験と直感を通して判断する。また痛みが伴わなくても、自分の身体に異物が入ってくる体験を非常に不安に感じ、強い反応を示すため、点滴や治療の際には患者Aの不安が軽減されるような看護援助をする必要性がある。


アセスメントのまとめ(スクリーニングアセスメントのまとめ、対象者の全体像)

患者A、4歳女児、身長102cm、体重16Kg の幼稚園児である。出産時は満期産で、体重3050g、その他特記すべき事項なく、正常に分娩されたと考えられる。2歳半の時に、初めて発作を起こし気管支喘息の診断を受ける。その後3歳1ヶ月に喘息発作で5日間入院、その後2回入院をし、今回で5回目の入院である。日常的にテオドール、オノンを服薬、フルタイド吸入を継続している。服薬については、母親が気をつけて飲ませるようにしているが、本人も自分から飲むといって定期的に服薬しており、喘鳴時などには自分から吸引をしようとすることから、患者Aは吸入に対して抵抗がなく、「息苦しい」という自覚症状を理解し、自分の主観を表現し、対処しようとしていると考えられる。
入院当日の未明より咳や喘鳴が見られ、自宅で吸入したが改善が見られず緊急入院となった。母親が患者Aの異変に気付き、自宅で吸入するなど対処をしたことより、適切に受診行動を起こしていると考えられる。
呼吸数40回/分、心拍数110回/分、体温37.5℃より、発作により気管支の収縮、気道の閉塞により、呼吸数、心拍数が増加、発汗などにより体温も上昇していることが考えられる。呼気性の喘鳴が聞かれ、鼻翼呼吸、頚部、季肋部の陥没呼吸、肩呼吸などの異常呼吸が見られていること、聴診では呼気性喘鳴が聴取され、SpO292%から喘息発作による苦痛が強い状態であると考えられる。このような喘息発作が続くと過度の呼吸運動による発汗、不感蒸泄の上昇から脱水のリスクを引き起こすと考えられる。また、未明からの発作により、疲労や睡眠不足も考えられる。
現在、喘息発作の改善のためソルメドロール静注1日4回、メプチン吸入1日3回、酸素30%投与が開始となり、喘息発作による脱水を予防するために、ソリタT3持続点滴輸液50ml/hrで補液している。
家族構成は、父36歳、会社員、母34歳、パート勤務、姉7歳の4人家族であり、ハムスターを2年前から飼育している。祖母が近くに住んでいるが、ネコを飼っているのであまり訪問していないとのことである。父母には喘息の既往はないが、姉は4歳から喘息であり、季節の変わり目など年に1~2回発作を起こすことがあるが、外来での受診で回復している。父は喫煙者であり、病気のことを母親から聞いていて、喘息と喫煙との関係の知識を持っており、部屋ではなるべく喫煙しないようにはしているが禁煙する様子はない。このことから、喘息発作の予防のための行動が積極的にとれていないことが考えられる。
母親はこれまでの入院時にも、家庭での様子や注意点などを説明されており、最近の退院時の説明にも「わかっている」という反応で早々に帰っていく様子があり、今回の入院直後にも「いろいろ気をつけている、言われたことはしている」と話しているが、入院中はベッド上に食べ物のカスが散乱し、寝具の乱れている状況が見受けられる。このことより、喘息発作の予防のための意識や意欲が低いことも考えられ、アレルゲンの対処がされていない状況であり、喘息発作の予防のための生活環境の改善ができていないと考えられる。さらに、何回も入退院繰り返し、思うようにコントロールできない発作に対して、母親は苛立ちやストレスになっていることが考えられる。
2年前からハムスターを飼育していること、日常的に間食にスナック菓子、キャンディなどを多く摂取し、1日にジュース、カルピスを500mlくらい飲んでいることから、ペットからのダニやフケ、食品添加物の過剰摂取は喘息発作の憎悪因子になることの認識の有無、喘息発作の予防、IgE反応に関する知識の状況を両親に確認する必要性がある。
患者Aの入院による家族・生活への影響として、繰り返す入院により、残された家族の生活、付き添う母の負担、きょうだいの生活へ支障をきたすことが挙げられる。姉は学校生活においてストレスを感じやすい生活を送っており、今回の妹の入院により、母親から離れて日常生活を送ることで、我慢を強いられる状況が多くなることが考えられる。その結果、感情を表出しにくくなり、ストレスを溜め込みやすい状況となることが考えられる。母親は、家庭での役割の遂行が困難となり、子どもに付きっきりの状態を強いられ、行動制限された病室において、疲労やストレスが蓄積しやすい状況になることが考えられる。父親はいつも夕方などに面会に訪れ、Bも父親が来たら甘える様子があり、患者Aに対して無関心でないことが考えられる。母親への情緒的サポート、姉の精神的フォローなど、家族全体での役割の調整をする必要性があると考えられる。
患者Aは4歳であることから、両親の協力を得ながら、生活習慣を確立する時期である。喘息はすぐには治らず長期的な管理が必要である。これまでも入退院を繰り返していることより、家族への精神的なフォローや支援も必要であると考える。これまでの入退院時における喘息に対する教育内容を確認するとともに、生活習慣、健康管理方法を家族とともに考え、家族が治療への参加が出来るような支援をする必要性があると考える。


予測される看護問題と看護目標のリストアップ

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