高橋ワタル / Wataru Takahashi

週刊少年マガジン原作大賞 奨励賞 / シナリオと音楽とゲームを作ります。 / Liz-…

高橋ワタル / Wataru Takahashi

週刊少年マガジン原作大賞 奨励賞 / シナリオと音楽とゲームを作ります。 / Liz-Arts代表。 ゲーム:Memory's Dogma/リゼットの処方箋 サウンド:リーメベルタ/彼女と彼女と私の七日 [BOOTH] https://sohmatoa.booth.pm/

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  • Memory's Dogma 制作関連 記事まとめ

    ノベル版、およびゲーム版「Memory's Dogma」に関する情報や告知などはこちらから。

  • 廃訪少女

    いつかの未来のどこか、文明が灰と化し、悠久の時が流れた後の世界。〈生活圏〉で生活し、領域外を調査する"アーキタイプ"と呼ばれる少女たちの、少し不思議な生活の記録。

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「ユノトミア」第1話

1.いにしえからの呼び声  ふたつの吐息が雪原にこだましていた。  ふたりの少女が雪の上を走っている。雪の上、というのは比喩ではない。まるで草原を駆けているかのように、彼女たちの両足は雪を深く踏み抜くことなく、厚く降り積もった雪の表面を蹴っては前へと進み続けていた。  さらに言えば、彼女たちの走る速度も尋常では無かった。ふたりの両足には、複雑に入り組んだ機械のようなものが装着されており、通常の人間では決して到達することの出来ないほどの高速で、雪の上を平行に移動している。

    • 「Memory's Dogma CODE:05(最終巻)」ノベル版表紙イラストのご紹介

      【死者の記憶と会話可能な2030年の日本を舞台にしたビジュアルノベル】 こんにちは、高橋ワタルです。 少し油断しているうちに数か月経ちましたが、ついにCODE:05(最終巻)のイラストもいただいておりますので、ご紹介させてください。 表紙イラスト、挿絵は引き続きぴこぴこぐらむさんが描いてくださいました。ここまで本当にありがとうございました。 ここまで来ると、あとは無事に世に出るのを祈るばかりです。頼む…! また、Sekai Projectさんからは、CODE:01の電子

      • 「ユノトミア」第3話

        3.価値あるもの  ユノは肩で息をしながら、残骸となった石像を見下ろした。  手を伸ばし石像の表面に触れる。それは石というよりはむしろゴムのような質感で、その内側には硬く冷たい金属が複雑に絡み合っている構造が見えた。 「こういう騙し方もあるんだ。完全に罠だったな~」ミアはそう言いながらユノの近くでしゃがみ込み、石像の表面を指先でつついた。 「私たち、もしかすると」ユノが腕を組みながら不安げに言った。「長年この聖堂を守ってくれてたシステムを壊しちゃったのかも」 「あー」ミ

        • 「ユノトミア」第2話

          2.守護者  都市部の中心にそびえる巨大な聖堂。  ふたりはその入り口と思しき大きな扉の前に立っていた。 「分かってたことだけど、この聖堂、やっぱとんでもない大きさだね」ミアは右の手の平を額に直角に当て、太陽の光を抑えながら天を仰いで言った。  それを横目で見つつ、ユノも内心では感嘆していた。巨大な建築物それ自体が放つ迫力感もさることながら、それを構成する柱や壁のひとつひとつに、細かい装飾が施されている所に、ユノは驚愕した。これを作り上げるまでに、いったいどれほどの人が

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        「ユノトミア」第1話

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        • Memory's Dogma 制作関連 記事まとめ
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        • 廃訪少女
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          ノベル「Memory's Dogma CODE:04」の表紙イラストのご紹介

          【死者の記憶と会話可能な2030年の日本を舞台にしたビジュアルノベル】 こんにちは、高橋ワタルです。 CODE:04のイラストが届いておりますので、ご紹介いたします。 今回ももちろん、表紙イラストや挿絵はぴこぴこぐらむさんが描いてくださいました。ありがとうございます。 右上の人はいったい誰なのでしょうか…? その答えはぜひ、ノベル版を読んでご確認いただければと思います。 現在は英語版のepubデータを用意している段階とのことなので、まだいつKickStarter支援者の

          ノベル「Memory's Dogma CODE:04」の表紙イラストのご紹介

          ノベル版「Memory's Dogma」 のCODE:04 および CODE:05の進捗について

          こんにちは、2024年もあっという間に2月末ですね。 前回の記事から1ヶ月以上あいてしまいまして、音沙汰が無いのもよくないかなと思いまして、ノベル版Memory's Dogmaの進捗のご連絡です。 CODE:04については、日本語版の校正が全て完了しております。CODE:02〜04の中でCODE:04がいちばん長いお話で、校正作業もなかなか手ごわいものでしたが、ノベル版としてしっかりしたものに出来たと感じております。今の時点では何かお見せできるスクリーンショットなどは無いの

          ノベル版「Memory's Dogma」 のCODE:04 および CODE:05の進捗について

          週刊少年マガジン原作大賞で奨励賞を頂きました / ノベル「Memory's Dogma CODE:03」の校正終わりました。

          【死者の記憶と会話可能な2030年の日本を舞台にしたビジュアルノベル】 こんにちは。高橋ワタルです。 Xではもう告知済みだったので、こちらにももう書いたものと思っていたのですが、まだだったようなので、改めてとなりますが、ノベル版の「Memory's Dogma CODE:03 」の校正が終わりました。 今回も表紙イラストや挿絵はぴこぴこぐらむさんです。ありがとうございます。 表紙はこちら。 例によってKickstarter支援者の方にはもうお届け済みかと思いますので、ぜひ

          週刊少年マガジン原作大賞で奨励賞を頂きました / ノベル「Memory's Dogma CODE:03」の校正終わりました。

          対戦ボードゲーム「ルディガ(Ludiger)」のPC版リリースのお知らせ

          ▼ゲームはDiscordサーバーからフリーでダウンロード可能です https://discord.gg/VYJ5eE66Y7 (※↑以前貼っていた招待リンクは有効期限付きだったみたいなので、11/2に無期限のリンクに差し替えました) ということで、かつて2017年にiOS/Android向けにリリースしていたデジタルボードゲーム「ルディガ」を、このたびPC上で遊べるようにしてv1.2として本日リリースしました。フリーゲームです。(いまのところWindowsのみでプレイ可能

          対戦ボードゲーム「ルディガ(Ludiger)」のPC版リリースのお知らせ

          Liz-Arts関連グッズ登場のお知らせ

          かねてよりBOOTHの方では音楽アルバムのDL頒布をしていまして。 ありがたいことに、BOOTHでアルバムを結構買ってくださる方がいるので、もっとバリエーションがある方が楽しんでもらえるかなーと思いまして、関連サービスのpixivFACTORYという、グッズを作成できるサービスを利用して、うちでもいくつかグッズをご用意してみました。 アクリルキーホルダー こちらは、アルバムジャケットを活用したアクリルキーホルダー。Nintendo64のソフトパッケージデザインのキーホル

          Liz-Arts関連グッズ登場のお知らせ

          二代目Xアカウントを作りました。

          やっぱりゲームとか作り始めると、告知はXでやった方がいいなあと思い作りました。よろしくね。次は凍結しないでほしい。

          二代目Xアカウントを作りました。

          廃訪少女 #18 凪

          illustration by Stable Diffusion License : CreativeML Open RAIL-M 【死者の記憶と会話可能な2030年の日本を舞台にしたビジュアルノベル】 【少女リゼットと冒険する2Dポイント&クリック型ファンタジーADV】 【動画などにも利用可能なサウンドアルバム - BOOTHにて頒布中】

          廃訪少女 #17 黒点

          〈北部調査班のα-8遺伝子型による報告書〉 調査班が出発してから22日目、〈生活圏〉から北へ42kmの地点の山岳部に存在する洞窟内部にて、生活の痕跡を発見。調査により、数名が1週間程度滞在していたものと考えられ、事前に通達されていた情報から、脱走したλ-11遺伝子型2名のものと推測される。 発見された物品は下記の通りである: ・シガリロの吸い殻:23本 ・未開封のビーンズティーの袋300g:2点 ・開封済みのビーンズティーの袋300g:10点 ・点火用器具:1点 ・集めら

          廃訪少女 #16 彼女たちのさえずり

          「それにしても最近、肩身狭い気がしない? あたしたち」 『まあ、ふたりも《脱走者》が出ちゃったから』 「あたし、主犯格とされてるあの子と、何度か探索行動したことあるんだけど、大人しくて真面目で、そんなことをするようにはとても思えなかったけどなあ」 『内面は誰にも分からないってことだね』 「……あ! でも、居なくなる少し前に、北の方に興味があるっぽいこと言ってたなあ。〈生活圏〉の"禁区"で古い機械からデータをどうのこうのとか……もうちょっと詳しく聞いておけば良かったなあ

          廃訪少女 #16 彼女たちのさえずり

          Sohmatoa、閉じるってさ。

          sohmatoaのドメイン契約の期限が10/3に切れるというメールが来ました。 ▼sohmatoa(私のむかしの個人ページ) かれこれ10年以上、なんとなく消すのが忍びなくてドメインの契約を継続しつづけていたこのサイトですが、さすがに時代に合っていないかなと思いまして、これを機に閉鎖しようかなと思っています。上記のように、noteにリンク掲載してもサムネも出ないし。「なんかここにサイトの説明」ってなんだ? 初心者が制作中のホームページかな? そもそも音楽はすでにCDの時

          Sohmatoa、閉じるってさ。

          廃訪少女 #15 追跡

          「生活圏脱走者のふたりを、我々〈武力制圧版〉が捜索行動することになったというのは、本当ですか?」 『ああ、そうだ』 「我々は同胞を脅威から守るための盾では無かったのですか? 脱走者とは言え、同胞の遺伝子型を追跡する作戦行動など、前代未聞ですよ!」 『あのふたりは我々の脅威になりうる。第三枢機はそう判断したんだろう』 「そんな……何を根拠に!」 『それを考えるのは我々の役目では無い。もし本当に脅威の種となりうるのなら、早急に排除する必要があるだけだ。不服ならこの作戦か

          廃訪少女 #14 鳥たちの消息

          「今日も収穫は無さそうだね……」 『うん、そうだね……。一応、このあたりでも、シガリロの吸い殻が見つかっているから、実際に長距離探索班の皆さんが居たのは、間違い無いと思うけど……』 「そうなるとやっぱり、最初の拠点であるここと、例の《最後の映像記録》を撮影した場所との間のどこかに、何かがあると考えるのが自然かなあ」 『そうだね。この辺の調査は切り上げて、明日からは、最後の記録が撮影された場所がある方角を進んでみよっか』 「意義なし! ところでさ……シガリロって、そんな

          廃訪少女 #14 鳥たちの消息