廃訪少女 #14 鳥たちの消息
「今日も収穫は無さそうだね……」
『うん、そうだね……。一応、このあたりでも、シガリロの吸い殻が見つかっているから、実際に長距離探索班の皆さんが居たのは、間違い無いと思うけど……』
「そうなるとやっぱり、最初の拠点であるここと、例の《最後の映像記録》を撮影した場所との間のどこかに、何かがあると考えるのが自然かなあ」
『そうだね。この辺の調査は切り上げて、明日からは、最後の記録が撮影された場所がある方角を進んでみよっか』
「意義なし! ところでさ……シガリロって、そんなに美味しいのかな? 探索拠点のキャンプなんて、シガリロの吸い殻で足の踏み場が無いくらいでしたし……」
『どうなんだろう……ビーンズティーのような、香りを楽しむというのとも、なんだか違う感じだよね。あと、なんかこう、荒々しい感じというか……』
「そう言えば、今回の物資支援リストによると、シガリロが結構積載されてるみたいだよ」
『…………』
「…………」
『いやいやいや! わたしはやらないからね! シガリロなんて、苦いし、煙たいし、なんか怖いし!』
「そ、そうだよね。そのシガリロもα-8ちゃんたちのためのアレだしっ」
その後、ふたりは足早に現場を立ち去った。
補足:
その1時間後、拠点キャンプにて、シガリロを喫煙しているふたりの姿が記録されていたが、委員会への上申は不要と判断した。
illustration by Stable Diffusion
License : CreativeML Open RAIL-M
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