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秋の夜長に子どもと眺める焚き火の炎

 もうすぐ「秋分」。2022年の秋分の日は9月22日です。この日を境に昼より夜の時間が長くなっていき、秋の始まりを感じる時季となります。また、秋には敬老の日、秋分の日など伝統的な行事た催事、旬を迎えるおいしい食べ物がたくさんあります。こうしたことは親としても子どもたちにしっかりと伝えていきたいものです。

 落ち葉焚き、焼き芋、秋キャンプ等、火に触れる機会が増えるのも秋から冬の季節です。そこで今回の記事では、“焚き火”の炎を眺めることについて取り上げます。焚き火の揺らめく炎を眺めているだけでも心休まりますが、親子での焚き火体験にはどのような効用があるのでしょうか。

共に視る体験

 皆さんは、普段の生活の中で、子どもと一緒に何かを見つめて同じ時間を過ごした経験(テレビ鑑賞等以外)はありますか。筆者も改めて考えてみましたが、親子でこうして過ごす経験はあるようでないものだなぁ、と思いました。

 こうした関係について面白い考察があります。北山修氏は浮世絵の観察と分析から日本古来の親子像に「共に眺めること」あるいは「共視」という関係性を見出しました。大人と子どもの間にもう一つの事象が加わり、共に視て感じる横並びの関係が出来る上がることで

「身体的交流、非言語的交流、情緒的交流も盛んにおこなわれ、情緒的な『絆』」

北山修編、「共視論」、講談社選書エチメ、2005年

が形成されるということです。

 国立青少年教育振興機構の調査結果では、子どもの頃の体験の重要性は、その多寡だけではなく質、また保護者を始めとした身近な大人との信頼関係・絆の深さがその後の成長と正の関係性が見られています。

 野外での活動には、焚き火や星空や植物観察、昆虫採集など、親子の「共視」の関係性の芽生えの種があります。忙しい現代社会におかれた私たちはなかなか子どもと同じ空間で同じ体験を共有することができませんが、秋の夜長に子どもと“焚き火”時間を過ごして「共視」的関係性を体験してみませんか。

文責:ようざん
(東京都体験の風をおこそう実行委員会事務局)

参考

北山修編、「共視論」、講談社選書エチメ、2005年
国立青少年教育振興機構、「子どもの頃の体験がはぐくむ力とその成果に関する調査研究」、2018年
「CAMPING 191 2020/冬」(論考「(特集)親子キャンプ・ファミリーキャンプの今と可能性」:公益社団法人日本キャンプ協会,2020年,p.p.2-3)


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