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川島 太一
2024年7月6日 13:44
「これ、なに?」 週末に帰省していた私は実家のリビングにぶら下がっているものを見て尋ねた。 それは青い網でできており、籠のようで三層のそれぞれの面には何やら不格好な黄色いものが並べられていた。「それ? ああ、お父さんが作っとる干し芋やがね。好きなの食べやあ」 新聞を読んできた母は顔を上げて、さも当たり前のことのように答えた。 定年退職するまで父が台所に立つ姿をあまり見たことがなかった。
2020年5月3日 23:14
川島 太一「お花、出してね。ハサミも忘れずにね」 車から出る際に母が父に声をかける。暑い日差しの中、私たちは父の生家近くに墓参りに来ていた。ちょうど去年のお盆の時期だった。 私の両親はマメに墓参りをする。お盆やお彼岸はもちろん、年末や何か行事がある際は必ず来ているらしい。実家から離れて暮らしている私は、帰省するお盆の時期に一緒に行くことが多かった。 両親が住んでいる家から30分程離