不器用なんだよ。
むっちゃくちゃ辛くて、むっちゃくちゃ頑張ってもがいていた頃、ネガティブ発言を禁止にした。ただでさえネガティブなもので苦しめられてんだから。ひたすら明るい未来と目標だけ掲げること、と。
不思議なことに口に出すとさらに辛くなり、他人のネガティブさえも足を引っ張られる感覚がした。ため息の方がマシだと思って。
疲れた・辛い・眠い・悲しい・寒い・苦しい
もちろん言っていいのだ。
脈略のないのが、妙に刺さる。
今になって思うのは、自分自身が過敏になっていただけだった。前を向いていない人は切り捨てる勢いだ。自分本位、そりゃそうなの、辛いんだもの、抜け出したいんだもん。分子が摩擦して作用し合うのとそのまんま、人間関係だって上手くいかなくなったりする。
言葉にしなくても、語気の荒さや表情で伝わるものだ。結果論しかない今は、仕方なかったとしか言えない。またやり直しになる。新しい自分を見てもらうしかない。
言わない約束は今でも自分の中に強く残っている。自然と人が言うのは気にならなくなった。燃え尽き症候群だから、あの日々より頑張ることがあまり無いからなのか、辛いなんて言ったら勿体ない。
不器用なんです。私…
小さな古着屋で、バイト初日に私が店長に言うと、私のあだ名は高倉健のケンになった。
ケンさんと呼ばれてた(笑)
街でよくスカウトされるような綺麗な子が、同時期にバイトに入り狭い店の中ですぐ仲良くなった…こんなに深い付き合いになるとはこの時思いもしなかったな。
恋の相談はするけど、辛い話をしない。朝から晩まで遊びまくった。寝るってなに?オイシイの?って感じだ。
私がネガティブを言って、相手が困ったらどうしようって思うし、話は広がらないし。暗くなるし。それよりあなたはどうなの?今は楽しい話をしよう。愚痴なんてのはむしろ聞きたくて、負担にはならなかった。
閉じ込められるうちはまだ大丈夫なはず。(あくまでも私の場合。)体は正直で、嚢胞や胃腸炎、おできや肋間神経痛が教えてくれる(笑)
そんな彼女が一度だけ、うちに泊まりにきた時。寝付く前に真っ暗な部屋で過去の辛い話を聞かせてくれた…と思ったらすかさず「あとさ、彼氏がさ、フェラチオばっかりねだるんだよ、だるくね?」と。「は?そっち!?」と。
親友も同じような人間だから、この20年間お互いの弱音をほとんど聞いたことがない。
言う癖がついてない。というのが正解かもしれない。乗り越えた頃ガリガリにやつれていたりする。お互いをねぎらう、大変だったね。って。
「あんた、不器用なんだよ!」とわかった口をきく。それを彼女から言われると嬉しくて。「わかってんね〜。」と言う。
そんな彼女と久々に会う。話したいことが沢山ありすぎる。だからってSex and the cityの女性みたいにベラベラ喋らない。会うと、安心して落ち着いて、百貨店で服を撫でながらあーでもないこーでもない言い、映画見に行って10分で寝ちゃう。どーすんの、ホラー映画だよ!と肩を揺すっても起きない。そんな親友。私は彼女が好きだ。
美人を鼻にかけない、私と会う時は指の毛も剃らない。変なやつ。
もう20年経つのに、ケンさんって呼ばないでよ。
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