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鮮魚受発注マーケットプレイスの価値を再定義しました

こんにちは。ウーオ CPOの土谷(@taihaku0415)です 🐟 久しぶりのnoteです 🙌

先日、水産系の業界紙複数紙にUUUOに出品される商品アップデートに関して取り上げていただきました。

6/30の水産経済新聞さんに乗せていただいた「卸売市場商品追加」の記事
https://www.suikei.co.jp/?p=91257

簡潔に言うと、UUUOが取扱う商品が増えました、のシンプルなメッセージです。このメッセージは、「今後、産直品だけではなく消費地市場/産地市場の卸売り業者・仲卸業者も参画してもらい、彼らの扱う商品もUUUO上で流通させます」と言う方向性を表現しています。

一見、商品SKUが増えたんだねと簡単に解釈されそうな内容ですが、自身が産地仲買であり産直品取扱業者であったウーオにとって、事業を前に進める意思決定である一方、また出品してくださる荷主さんやUUUOで仕入れるユーザにとってもUUUOに対して小さくない印象の変化が発生します。

今回のnoteでは、"どういうマーケットプレイスなのか?"に答えるための価値の再定義の背景と社内での共通認識をとるプロセスを紹介し、中期のマーケットプレイスがどう言う方向性を目指しているのかを言語化しようと思います。

市場商品出品の背景

初期の産地仲買からの出品

産地仲買から、市場やスーパーへの出荷

昨年より、UUUOのプロダクトには産地仲買さんや漁協の販売部の方に参画していただいており、月次で出品してくださる出品者さんの数も伸びています。

マーケットプレイスの立ち上げ初期では、出品してくださる方が産地仲買のみということもあり、利用していただいているユーザからは「産直品が仕入れられる鮮魚マーケットプレイスアプリ」と認知していただいていました。

産地仲買自身が買い付け可能な目の前の港に水揚げされた魚(以下、前浜の魚)を出品してもらうことで、買い手のユーザは各産地の魚をその産地の人から仕入れることができていました。

購入可能な商品SKUを増やすことが急務に

UUUOマーケットプレイスのGrowthモデル
フェーズが変わってきて、顧客層が増えたことにより荷主(売り手)の数と種類とSKUの確保が急務

立ち上げ初期の買い手のユーザの属性はスーパーマーケットのバイヤーがメインでしたが、今年に入り、有り難いことにユーザの属性が多岐に渡ってきています。例えば、消費地市場の荷受け・仲卸・街の魚屋・飲食店などです。

属性が多様化した結果、ご利用いただくユーザから、特に多くフィードバックが寄せられたものとして下記がありました。

マーケットプレイスの商品ラインナップの課題
a.「UUUOの商品は市場のものより(ちょっと)高い」 😓
b.「(天候の影響や時化に左右され)品揃えが少ない」😓

ユーザの声

ユーザにとって、自分が購入可能な商品が並び続けないマーケットプレイスには価値を感じませんし、次第に仕入れをする頻度は下がっていってしまいます。そのため、出品者も産地の仲買や漁協に制限せず商品ラインナップを提供できるプレイヤーに参画してもらうことにしました。

一直線の流通から、多面的な流通へ

before(産地の仲買)

産地仲買が、UUUOに出品する直線的な流れ


基本的には産地の仲買ユーザは前浜の魚をUUUOに出品し、豊洲、名古屋、大阪等の大都市圏へ魚を出荷していく一直線的な流通が主体でした。

出品される魚の量も、少〜中量がメインなため利益を確保する必要があるため相対的に高くなり(課題a)、自分たちの産地が時化や天候不良で水揚げ量が少ない時は出品ができない(課題b)という問題も発生していました。

after(産地の仲買+市場関係者)


産地仲買に加え、荷受ユーザが全国から仕入れた魚種を出品する多面的流通へ


継続的に産地からの出品を促すと同時に、上記課題a・課題bを解決してくれるような商品の調達力のある荷受け・市場関係者のユーザに参画してもらえることに。

荷受け・市場関係者のユーザは、各中央市場(と、その都市圏)で魚を安定的に流通させるため(≒マーケットメイクするため)、1つの魚種を産地から大量に仕入れたり、各産地から様々な魚種を仕入れています。

今では、こういった各市場のマーケットメイカー的ユーザに出品をしてもらい、前浜の魚のみならず、彼らが全国産地から独自に仕入れた魚もUUUO上で流通することができるようになっています。

サービス価値の再定義と実装

さて、ここからは上記の一直線の流通から、多面的な流通に移行していくため、どういうプロセスを踏んでいったか、の紹介をします。

今年の春にアップデートした新CI。「すべての町を、美味しい港町に。」

UUUOで流通する商品への再解釈

まず、マーケットプレイスという場を提供する自分たち自身の、流通する商品への解釈や理解を再定義しました。なぜなら、「ウーオはどういう商品を扱いたいか?」はその商品を取り扱うことで関わるユーザにどうなってもらいたいか、にインパクトを与える大事な問いと考えているからです。

ここで、主に争点になったのは、「鮮度がいい(というイメージのある)産直品vs市場出荷品が混在することで、既存・未来のユーザへのどういうマーケットプレイスなのかの価値訴求がブレる」というところでした。

そもそも、社内において、鮮度というのは当然それを構成する要素はあれど、限りなく主観的な指標であるという理解が出てきました。これは、元々の産地仲買のプレイヤーとしての経験や、鮮魚の流通させて得た知見からもメンバーの中でこの共通認識を醸成できていました。

水産に馴染みのない方にとっても、YouTube等で魚の締め方や血抜きの技術の動画が広まっていることもあり、釣りが好きな方や魚を家で捌く方達にはイメージしやすいかもしれません。所謂、釣ってすぐ食べるのではなく、冷蔵庫で寝かせて旨みを増大させる熟成させるというアレです。つまり、魚によっては数日たった方が美味しいと感じる魚もありますし、そう感じる人もいます。

そして、水産業の現場では、下記は多くの関係者でも認識している事象です。
※鮮度の良し悪しを言いたいわけではなく、あくまでも鮮度が違う、という事実を表現しています。

- (山陰等の)大型の底曳船は何日も航海して漁を操業して港に帰って来る。そのため、同じ水揚げ日でも、航海1日目に取れたものと航海4日目に取れたものは鮮度は違う
- 同じ水揚げ日でも、船のスペックによって(ex. 二艘引きと一艘引き)で鮮度は違う
- 同じ水揚げ日でも、水揚げ時の扱われ方等によって鮮度が違う

これらは、ほんの一部です。客観的とも言える事象ではありますが、単に水揚げ日一つでは測れない奥の深さがあります。

また、より主観的なものとして

- その日のものじゃないとだめな人もいれば、2日経っても全く問題ないという人もいる
- 特定の魚種に対して、仕立て方によって鮮度への感じ方が異なる(水氷vs下氷)

といったものも。その魚を仕入れるユーザ自身や、ユーザが販売する先のお客様がどういう調理をするか、や販売をするか次第で求める鮮度というのは多岐にわたります。

まとめると、多様なユーザ属性とマーケットプレイスの流通が変容していく中で、一生活者としてイメージする「水揚げ後すぐだからお刺身で食べられるor焼かないとだめ」みたいな1つの鮮度の軸での捉え方ではなく、複数の軸で捉えていく必要性を全メンバー認識しています。

マーケットプレイスの意思を言語化

結論から言うと、下記のようにプロダクトの目指す方向性アップデートし、言語化と可視化を通して社内の共通認識をつくっていきました。

これまで

産直の新鮮な魚が買えるマーケットプレイス
これから
自分に適した業者・魚と出会い、繋がり続けられるマーケットプレイス

EOGS(Emotional Oriented Goal Settings)※1を用いて、社内でも各ユーザへの提供価値を整理



ポイントとしては、買い手も売り手も魚の売買を通して、自分の取扱い商品、オペレーション、販売・仕入れスタイル等に適した業者と繋がり続けることが重要であるという認識のアップデートがありました。これまでメインで取り扱っていた産直品というのは、例えば買い手にとっては自分に合った、を構成する一つの大事な要素であるが、それが全てではないということです。

自分に合った商品が買いやすく、を支える実装

マーケットプレイスというサービスの特性上、買い手も売り手も将来的には多種多様な業者に参画してもらいたいと思っています。その際、単純に1つの指標に囚われ、例えば産直vs市場商品、とカテゴリー化するのは避けたいと思っています。

オフラインではないオンラインマーケットプレイスを提供する分、水揚げ日、や漁法、配送のリードタイム、といった鮮度に影響する要素はきちんと明示をしています。

これらの客観的な表示に加え、直近では「鮮度評価機能とユーザレビュー」という、直接商品を扱っている人だからこそわかる商品の評価とそれに対して買い手ユーザがレビューできる機能をリリースしました。

直接魚を扱う出品者が伝えられる鮮度評価

多種多様な業者に参画してもらう中で、この機能は、実際の商品の品質を適切に表現することで、より購入者に商品のイメージが事前に伝わり魚を購入しやすくすることが目的として開発しました。

「自分に適した業者・魚と出会い、繋がり続けられるマーケットプレイス」において、自分に合った業者からの提案が受けやすい、また自分の扱う商品に求めてくれる業者に販売しやすくなることを意図して設計されています。

日々集まるユーザからのレビュー

また、直接商品を見ることができない購入ユーザに取って、鮮度や商品のスペックに関して事前の期待値と実際に届いた商品に齟齬がない商品を仕入れられるようになることが最重要なのであって、その期待を形成する要素は人によって様々です。

高くてもとにかく鮮度がいい商品が欲しい人もいれば、(ex.切り身にするので)そこそこの鮮度でもいいが安くないと売れないので安いのが欲しい人もいる。

最終的に、買い手にとっても売り手にとっても、品質と価格の解像度が高い商品が流通し続け、魚を滞留させすぎず安定して売れる・期待値のブレ幅が低い魚を仕入れられるようになる。結果的に、UUUOを通せば今までより価格と鮮度を毀損しにくく流通させられる ため、UUUOに時間を投資し続けてくれる、ことを目指しています。

商品拡張で始まる、新しい流通

マーケットメイカーの価値が付与された商品の流通

市場出荷商品が開始して、結果的に下記の価値が提供できつつあります。

  • 小ロットしか扱ってこない分高値でしかその商品を買えなかった業者も、UUUO上の荷受け・市場ユーザを通して仕入れることで価格メリットがある状態で買える

  • 専門で取り扱うにはリスクが大きくUUUOで買えなかった商品も、荷受け・市場ユーザを通して取り扱いやすいSKUで買える

今後も、独自の提供価値をもったユーザに参画してもらうこと、またそのための役務を提供し続けることで、買い手売り手双方が自分に合った魚と人と繋がり続けられるマーケットプレイスの構築を共に目指していきたいと思います。

最後に

ウーオでは、水産業のマーケットプレイスを共につくっていく仲間を募集しています。特に、このマーケットプレイスをよりアップデートしていくためにも、ソフトウェアエンジニアをはじめとしたプロダクトチームにジョインいただける方を探しています。少しでもご関心ある方はぜひカジュアル面談・ご応募をお待ちしています!

募集職種


また、ウーオではプロダクト開発のマガジンもあるためこちらも良ければフォローして下さい 🐟

それでは、次回のnoteもご期待ください 🎣

注釈

※1 前職のクックパッド社内製のサービス企画フレームワークです。詳しくは https://techlife.cookpad.com/entry/2015/06/01/135804 のブログ等参照いただけるといいと思います。




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