【シップナース】こんな所にも医療者が！そもそも船上看護師って？

皆さんこんにちは
人道支援家のtaichirosatoです。

昨日から【シップナース】についての航海日記の連載を始めましたが、そもそもそんな所に医療者がいるの？何してるの？船上看護師って？
色んな疑問が多いと思います。そこで、まずはシップナースについてのジェネラルな部分を紹介したいと思います。

・クルーズ船って、でかい。
写真にあるようなクルーズ船。船にもよりますが、乗客は3000-4000人。船を動かすクルーメンバーは1000人ほど居ます。
船旅程、ルートは？
主には数日間から1週間かけてひとつのクルーズをします。日本で例えるなら、横浜を出発し、沖縄に着き、九州、四国、関西、の港を経由して横浜に帰ってくる。こんな感じです。
これが世界中の海でクルーズ船が航海していて、自分は、アメリカシアトルから、アラスカ往復の船に乗ったり、サンディエゴやバンクーバーからハワイに行ったりと、色々なところに行きました。私が乗っていたユーロダム号という船は当時の季節は、アメリカ西海岸クルーズで、乗客はアメリカ人かカナダ人で、日本人はその船に自分一人だけ、という状況でした。

・船のメディカルセンター
上記した約4000人の乗員乗客の割合に対して、一般的には医師2人、看護師4人の6人チームを編成します。
診療所をイメージしてる方もいるかもしれませんが、私の乗っていたクルーズ船には、集中治療ができる部屋が1部屋、入院できる部屋が2-3部屋、処置室が1部屋、薬局、検査室、レントゲン、一通り全てが揃っています。なぜなら、航海にでてしまって次の港まで3-4日かかるケースだと、船でかなりのことが出来ないと緊急のケースで命が救えないからです。

薬や血液検査、レントゲンなど、病院であればそれぞれの専門家がいますが、船ではいないため、メディカルチームメンバーが自分たちで全てのことをこなします。

普通の病院と違うところは、船は揺れるので、全ての物が揺れに対応できるように固定されている所でしょうか。海が荒れるとみな船酔いするのでメディカルセンターは忙しくなります。もちろん私たちも船酔いしますが、忙しいので気持ち悪がっている暇は、あまりないですね笑

・どんな患者が多いのか
酸素を吸っていたり、足が悪く電動車椅子の方（アメリカでは超肥満が多いので電動車椅子の方がものすごく多いと船に乗っていて感じました）は飛行機での移動が難しいので、旅行の手段として船を選ぶことが多いようです。従って、医療へのニーズは高く、普段からいろいろな薬を飲まれている方や酸素を吸わなければいけない方などが体調を崩した際に我々の出番となることが多いです。
あとは、突発的に起こる心臓や脳の病気や、転倒したりして怪我をした際の処置、インフルエンザやノロウイルスなど、船という閉鎖的な環境で感染症をまんえいさせないための感染対策などが大切になり、それらを中心に業務をしています。
2020年に横浜港で起こったダイアモンドプリンセス号の新型コロナウィルスのアウトブレイクなどは、船での感染症対策の難しさを象徴している事例になったと言えます。
我々メディカルを含めて4-8ヶ月ほどクルーメンバーは船に乗りっぱなしなので、彼らの健康管理や予防接種なんかもシップナースの役割となります。

・なぜ船に乗ったのか
人道支援家として、活動しようとずっと思っていましたが、思うように人道支援家への道を開けずにいました。そんな時に元職場の方から、「英語喋れるなら、あたしだったら船乗るねー、はっはっはー」の一言をもらいハッ！とします。
国際船という完全英語環境、閉鎖的な空間での限られた資源、多国籍の医療メンバーの中で働く経験は、人道支援という過酷な限られた人や物で多くの人を救うという大きな目標を達成するために必要な個人スキルにいい影響を与えてくれると確信したからです。
某アメリカの船会社に募集もしていないのに履歴書を送り、面接や試験などをたくさん通過し合格することが出来、シップナースとしてのキャリアをスタートさせました。
その頃はこのあと、まさか自分があのダイアモンドプリンセス号に緊急招集されることになるともしらずに、、です。

今回の投稿で、皆さんのシップナース（船上看護師）の活動のイメージが湧くようであれば嬉しいです。

※投稿内容は全て個人の見解です。
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Tai