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【高校生必読】入学してから後悔しない大学の探し方


 私は高校生のとき、行きたい大学を探すことに、かなり力を入れました。

 もちろん、ほとんどの人が進路選択には本気で取り組むと思いますが、自分ほど多くの情報収集をして、考えに考え抜いて大学を選んだ人は、かなり少ないと思います。

 その結果、私は今「大学で学ぶことが楽しい」と感じる大学生活を送っています。しかし、「あまりよく考えずに大学を選んだから、大学の勉強がつまらない」という声はよく聞こえてきます。

 そんなことにならないよう、私が大学探しを通して見えてきたこと、考え方やノウハウを大公開しようとこの文章を書いています。

 これから進路を決める人にとって、きっと役立つ内容になっていると思うので、ぜひ一度ご覧ください。

学問分野の全体像を知る

 大学選びの最初のステップとして、大学で実際に学ぶ内容である「学問分野」について知ることから始めるといいでしょう。

 いきなりネームバリューから大学探しを始める人もいますが、私はあまりオススメしません。せっかくレベルの高い大学に入学しても、そこで学ぶ内容に興味がなければ、大学生活がいっきにつまらなくなってしまうからです。

 そこでまず、大学で学べる分野の全体像を見てみましょう。

 上の図から分かるように、大学での学びは大きく3つに分かれています。いちばん上にある円は人文科学といって、文学や歴史学など、人間の歩みについて学ぶものです。左下の円は社会科学といって、政治学や経営学など、社会のしくみを学ぶものです。そして右下の円は自然科学といって、主に理系科目になります。また、真ん中の部分は融合分野といって、文系理系の壁や学問分野の壁を越えて学ぶ学問です。

 図を見てみると、興味のある分野がなんとなく見えてくるかもしれませんが、最初のうちは、分野を絞り込まず、幅広い視野でさまざまな分野に触れてみることをオススメします。文系理系や学部名、分野名にあまりこだわりすぎないほうがいいでしょう。

 例えば、大学でビジネスを学びたいと思った場合、経営学部が真っ先に思い付くかもしれません。しかし、経済学部や商学部でもビジネスについて扱っていることを知っておいたほうがいいでしょう。さらには上の図で真ん中の部分にあたる、分離融合の総合系学部でビジネスを取り扱っているところもあります。なので、ビジネスを学びたいからといってひとえに「経営」と名の付く学部しか見ないのではなく、意外な方向性からの出会いも大切にしておくといいでしょう。これは、文系理系関係なく、他の分野においても同じです。


分野を探す注意点

 大学で学ぶ分野を探すときには、いくつか注意するポイントがあります。私は、大学の分野を探すとき、好きな分野ならなんでもOKだとは思いません。一見すると自分の興味がある分野に思えても、実際進学すると、大学で勉強する必要を感じなくなってしまうこともあるのです。

①好きな分野から探す?

 自分の好きなことや、興味関心から大学探しを始めることは、悪いことではありません。むしろ、とてもいいと思います。しかし、気をつけてほしいのは、好きな分野でも、大学で学ぶのには向いていない場合があるのです。例えば、ゲームが好きだからといってゲームデザインの科目がある大学を選択したとしても、実際にはゲームをプレイすることが好きなだけで、デザインにあまり興味がなければ、学ぶことがつまらなくなってしまいます。

②役に立ちそうな分野から探す?

 将来のことを考えて、就職に役立ちそうだからこの分野を選ぶ。また、親にこの進路を選べば将来安泰だと言われたから、この分野を選ぶ。こういった進路選択をしている人も少なからずいるでしょう。将来のことを見据えて進路を考えるのは立派なことですが、注意点もあります。それは、他人の声を気にしすぎて、自分のほんとうに望んでいる心の声を無視してしまう可能性があるからです。

③取りたい資格から探す?

 大学には、資格取得のための単位というものが存在します。例えば、実務経験なしですぐに建築士の試験を受けるためには、建築関連の科目が学べる大学に進学して単位要件を満たす必要があります。実際私は建築に興味があったので、学生のうちに建築を学んで建築士試験を受けられる要件を満たしておきたいと思っていました。しかし、その資格は本当に必要なのか。資格がなくても、建築に携わる仕事はできるではないかと考えると、私の資格への執着は次第に薄れていきました。資格は重要かもしれませんが、資格がすべてではありません。資格がなくても、別の形でその仕事に関わることができるのではないかと一度考えてみると、いっきに視野が広がり、よりよい選択ができるでしょう。
※マナビジョンというサイトで取りたい資格から大学が探せます

④研究してみたい分野から探すのは◎

 大学の分野探しで、最もオススメしたい探し方は、研究したい分野を探すことです。大学の先生は高校までの先生と違い、学生に教えることが本業ではありません。研究をすることが本業なのです。そして大学は教育機関というよりも研究機関。大学は研究ありきで回っているのです。となると、自分がその大学に入ったとして、自分が選んだ分野は「もっと掘り下げて研究したい!」と思える分野なのか。自分で本を買ってまで、学んでみたいと思う分野なのか。これにイエスと答えられる分野であれば、その分野はあなたにジャストフィットでしょう。

国公立大学と私立大学

 国公立大学と私立大学の違いで最も分かりやすいのは、学費の違いだと思います。たしかに、国公立大学は私立大学より学費が安いことがほとんどなので、はじめから国公立大学一本に絞って大学探しを始める人もいるでしょう。

 しかし、私立大学ならではのメリットも知っておくといいでしょう。私立大学は独自性が強く、国公立大学に比べて個性的な大学が多いのが特徴です。国公立大学にはない革新的な取り組みをしていたり、社会と関連した実践的な学びを提供していることが多くあります。

 一方で国公立大学は政府や自治体の援助を受けて大規模な研究プロジェクトを進めることも多いので、早めに絞り込まず、じっくり検討することをオススメします。

パンフレットはこう見よう

 大学の情報を得たいとき、最も手軽な方法は大学や学部のホームページを見ることでしょう。しかし私は、ホームページよりもパンフレットをオススメします。理由はいくつかあります。まず、パンフレットは一冊の中に必要な情報がすべてまとまっていて、最初のページから順番に見ていけば情報の取りこぼしがないからです。また、パンフレットはどの情報をどんな大きさで書くかを決めて作成するため、その大学が何に力を入れているかが分かりやすいというメリットもあります。

 大学パンフレットはテレメールというサイトを使えばほとんどオンラインで見ることができます。

 ですので、まずはマナビジョンのような検索サイトで自分が学びたい分野がある大学を調べて、気になる大学があれば、テレメールで大学のデジタルパンフレットを見て、さらに気になる学部があれば、学部パンフレットをGoogleで検索してみるといいでしょう。

 大学のパンフレットを見ると、学部のことも含め、その大学の全体像を知ることができます。ですが、気になる学部がある場合は、ぜひ学部パンフレットまで見ることをオススメします。学部パンフレットは、学部自体が発行しているものなので、学ぶ内容や学部の雰囲気が自分に合っているかどうかを知るのに非常に役立ちます。

 パンフレットを見る方法は主に3つです。オンラインで見るか、自宅に取り寄せて見るか、実際に学校に行って入手するかです。私立大学には、無料でパンフレットを自宅に送ってくれる大学も多いので、有効に活用しましょう。

講義は面白いか【超重要】

 何を基準に行きたい大学を絞り込むのかということは悩みどころかもしれません。私は、講義の面白さで絞り込むのが一番だと思います。

 実際に、大学の講義一覧を見てみて「あ、この授業面白そう!」「え、この内容、めちゃくちゃ気になる!」「これ、勉強したいと思っていた!」という講義がいくつもあるのであれば、その大学・学部はあなたに合っている可能性が高いです。

 留学制度が充実しているかや、魅力的なサークルがあるかなど、授業以外の視点を重視して大学を探すことは、あまりオススメしないので、参考程度に考えておくといいでしょう。なぜなら、やはり大学生にとって、大学で最も多くの時間を割くものは、授業・講義にほかならないからです。留学やサークルなどは、大学以外の場所で行われている活動に参加することもできますが、授業は基本的に、その大学のものしか受けることができません。

 高校では1限から6限まで取ることのできる科目がかなり決まっていて、好きな科目もあれば、苦手な科目もあると思います。しかし、大学のいいところは、授業を自分の好きなように組み合わせられることです。究極を言ってしまえば、1限から6限まで、ずっと自分の好きな科目・得意科目で埋めることもできるのです。このメリットを最大限に活かすためには、やはり学びたい講義の多い大学に進学することです。

 4年間の学びに直接関わってくることはなにか?と考えながら、大学生活のイメージをふくらませてみましょう。やはり、最も直接関わってくるのは、講義内容だと思います。あと個人的には、大学の立地も大学での学び方に大きく影響を与えるのではないかと思っています。

 では、講義内容の面白さは、どうやって調べればいいのか。この先で解説していきます。

カリキュラム

 カリキュラムという言葉に、馴染みはあるでしょうか。カリキュラムとは、学習の順番や講義科目の組み合わせ方を示した、4年間の学びの骨組みのようなものです

 大学では好きな科目を自由に組み合わせることができますが、大きな骨組みのようなものが存在して、その流れに沿って講義を選びます。これを示すものが、カリキュラムです。

 カリキュラムを知っていれば、実際に自分が大学に進学したときに、何を、どのような順番で学ぶことができるかが分かります。これを理解していると、大学の学びをよりハッキリとイメージすることができるので、自分の興味がある学部のカリキュラムは、ぜひ理解しておきまよう。

 カリキュラムを理解するのに重要な考え方として、教養科目と専門科目という2つの科目があります。言い方は大学によって多少違うかもしれませんが、科目がこの2つに分かれている大学がほとんどです。

 教養科目は学部によってそれほど違いはないと言えるでしょう。自分の専門分野と直接関係はないかもしれないけれど、学びの基礎になる哲学や歴史、心理学や数学などを学びます。人によっては、高校の勉強の延長線上という見方をする人もいます。

 専門科目は、学部の特色が最も表れる科目です。その学部ならではの、専門的で応用的な知識を学びます。

 これを理解していれば、「1年生は、教養科目を中心に取りながら、専門的な学びの基礎になる入門科目(専門科目の入門編)を取るんだな~。それで、2年生からは次第に専門的な応用科目が増えてきて、2年生の後期で自分の専門にする分野を1つ選んで、その分野のゼミに入るんだな~。」ということが分かってきます。大学生も顔負けです(笑)

シラバス

 シラバスという言葉を知っている高校生は、おそらくかなり少ないでしょう。シラバスとは「この講義ではこんなことを学ぶよ!」ということを教員が学生に示すために作られるものです。つまり、講義内容の詳細がのっています。

 大学生は自分で好きな講義を選んで組み合わせることができます。つまり講義を選ぶとき、まだ受けたこともなければ、先生に合ったこともない講義を選ばなければならないのです。

 そんなときに使うのが、シラバスです。この科目では、何を学ぶのか。何ができるようになるのか。講義はどう進められるのか。どうやって成績が評価されるのか。必要な情報は、すべてこれに載っています。先生が直接書いているものなので、その先生の性格がにじみ出ている資料と考えると、これは大学にどのような先生がいるのかを知るための良い情報になります。

 多くの大学はオンラインシラバスになっており、誰でも回覧できる場合が多いので、気になる学部の科目を調べてみたり、パンフレットなどで見つけた気になる科目を検索してみたりして、使ってみましょう。

履修ガイド

 ここまでくると、かなりマニアックです。行きたい大学・学部がかなり絞れてきたのであれば、一度履修ガイドを見てみるのもいいでしょう。

 履修ガイドとは、実際に大学生が授業を組み立てるときに、必ず熟読するものです。卒業までの必要単位や、科目の組み合わせに関する注意事項などが、詳しく書いてあります。

 その学部に入学したら、どの科目をどう組み合わせることができるのか詳しく知りたいと思ったら、見てみるといいでしょう。場合によっては、単位制限があって好きな科目が十分に取れないことがあるかもしれません。

 ただ、この資料はインターネットで公開していないことも多く、確実に確認するためには、大学の学部窓口に相談にいく必要があるかもしれません。

オープンキャンパスはこう見よう

 受験する大学を一度も訪れたことがないまま、入試を受ける受験生がいます。しかし、もしかすると自分が進学し4年間を過ごすことになるかもしれない大学を一度も訪れないで受験をするのは、あまりオススメできません。

 志望校を訪問するとき、多くの人がオープンキャンパスに参加します。現地に足を運ぶことは素晴らしいと思いますが、普段と違う、お祭り騒ぎの大学を見て、イベント見学に満足して帰ってしまうのは、あまりにもったいないと私は思います。

 オープンキャンパスに参加する前に、これまでに伝えてきた方法を使って、大学の情報をチェックしておきましょう。自分の興味がある学部・学科を見つけたら、パンフレットや講義一覧を読み込んで、実際に自分がその大学に進学したらどんな講義を取るのかを想像しながら、疑問に思ったことや聞きたいことをたくさんリストアップしておきましょう。

 オープンキャンパスでは、大学生や大学の先生、大学の職員など、大学の学びについて詳しい人と関り、たくさん話をして普段の大学生活についての情報を手に入れることをオススメします。

 学部展示コーナーや相談コーナーなどがあると思うので、そこに行ってカリキュラムや授業についてなど、聞きたいことを全部聞いてみましょう。ですのでやはり、事前に聞きたいことを、たくさんリストアップして行くといいと思います。実際私も、大学生を質問攻めにしていました(笑)。

普通の平日に大学へ行ってみよう

 オープンキャンパスで大学を訪れることについてはすでに書きましたが、本当に行きたい大学・学部の場合は、特になんでもない、普通に授業をしている平日に大学を訪れてみることをオススメします。

 オープンキャンパスは、大学生にとっての非日常です。言ってしまえば、オープンキャンパスで大学が輝いて見えるのは当たり前です。そうではなく、普段の平日、特別なことがない、日常の大学はどのような雰囲気なのか。これを知ることで、自分が将来おくる大学生活をよりハッキリとイメージすることができるようになります。

 中には、高校生に普段の授業を公開する日をもうけている大学もあるので、積極的に活用して大学生の実態を探ってみましょう。

大学による宣伝の注意点

 チラシや看板、広告などで、大学は様々な宣伝をしています。しかし、この宣伝はあまり参考にしない方がいいでしょう。広告やチラシは、学校に良い印象を持ってもらうために広告会社などが考えて作っているので、いいことは言うのは当たり前です。

 グローバル化、最先端、革新的、イノベーション、実社会に役立つ、就職に有利。こういった言葉をカッコイイ背景とともに並べられると、いかにもワクワクします。しかし「それは、実態をともなっているか?」と疑問を持つことも大切です。

 自由だの最先端だの言っておきながら、実際には古いやり方にとらわれて、あまり自由ではないし、先生が一方的につまらない話をするだけで、実社会で役立つ感じが全くしないということもよくあるのです。

 例えば、全額補助の留学制度を宣伝している学校でも、審査基準が厳しく、ごく一部の既に英語ができる優秀な人でなければ採用されないようなこともあるようです。自分の目と耳で本物の情報を手に入れるようにしましょう。

絞り込む

 素晴らしい大学・学部がいくつあっても最後に選ぶ学校は1つです。最後の1つに絞り込むことが、大学選びで最も難しいことかもしれません。

 そんなときこそ、「この選択はワクワクするか?」という心のトキメキを思い出してみてください。

 1人のカリスマ的な先生や1つのゼミ、1つの科目で判断するのではなく、学部と4年間の学びを全体的に見て、どれほど充実していそうか、イメージしてみてください。

 どっちの方がワクワクするか。どっちの講義の方が、毎日が楽しいか。考えてみてください。

 この長い文章を最後まで読んでくださったあなたが、後悔のない、最高の大学選びができることを、心から願っています。

最後までお読みいただきありがとうございます!いただいたサポートでさらに学びに励もうと思います。「スキ」もぜひお願いいたします!