旅の目的地はカフェ。魅力的な海外カフェ10選
一風変わっているかもしれないが、僕は旅先のカフェに訪れるのを目的として旅行することが多い。
カフェ文化について深く考察された飯田美樹さんの本、「カフェから時代は創られる」によると、カフェは古くよりヨーロッパの芸術家たちが集う場として、コミュニティとしての役割を果たしてきたという。
本の中ではあくまで日常生活の中におけるカフェとして、良いカフェの条件についても言及されているが、コーヒーの味はさほど重要ではなく、居心地が良いかどうかのほうが大事との見解だ。
しかしコーヒー好きかつ、旅行としてカフェに訪れることの多い僕としてはこの考えには一部否定派で、やはり旅先で訪れるカフェにおいてはコーヒーも楽しみたいと思っている。
美味しいコーヒーを飲みながらユニークな空間を楽しみ、その対価としてきちんと然るべき金額を支払いたいし、現代ではそれがサステナブルなあり方だと思う。
実際、特に最近のヨーロッパにおいて人が集まるカフェでは、どのカフェもコーヒーの質は極めて高いレベルにある。そして多くのカフェ空間ではサードプレイス的な空気感が形成されており、いつまでも居たくなるような居心地の良さがある。これは、ヨーロッパの人々にとってコーヒーとカフェ文化が日常生活において非常に重要な位置づけのものだからこそ、進化してきたのだろう。
近年ではそのようなムーブメントが波及し、アジアや日本でも魅力的なカフェが増えてきているのが非常に嬉しい。
当記事では、カフェ文化が伝統的に強く根付いているヨーロッパや、日本から比較的近い海外旅行先を中心に、自身の価値観を広げてくれた魅力的な10のカフェを紹介しようと思う。
海外旅行で訪れたい魅力的なカフェ10選
Coffee Collective
一つ目のカフェは、デンマークのコペンハーゲンにあるカフェ「Coffee Collective」。
最近は日本でも知名度が上がっているカフェで、コペンハーゲンで数店舗展開されている。古い建物に赤いエントランスがとても印象的な佇まいだ。
初めて訪れたときは、洗練されたインテリアにとても衝撃を受けた。
広い空間にシンプルでクラシックな家具が配置されており、植物がやりすぎない程度に飾られている。
デンマークはデザイン先進国のため、何気なく飲食店に入ってもインテリアのセンスの良さに驚くことがよくあるが、Coffee Collectiveも例に漏れず美しい。
空間が生み出す豊かさを、身をもって知ることができた貴重な経験だった。
そんな空間で飲むコーヒーも非常に美味しい。
様々な産地の豆を選ぶことができ、各豆の生産者について詳しく紹介されている。
そのため、コーヒー豆の生産背景についてインプットした上で興味のあるコーヒーを飲むことができるのが嬉しい。
Coffee Collectiveはヨーロッパの中でも豆の買付に注力しているカフェなので、どの豆を選んでも満足ができると思う。
北欧らしいデザインの居心地の良い空間と、美味しいコーヒーを飲むことができる非常に素晴らしいカフェだ。
Atelier September
二つ目のカフェは、同じくコペンハーゲンのAtelier September。
デンマークに訪れた際は必ず行ってほしい、心からおすすめしたいカフェだ。
個人的にはAtelier Septemberこそ、ヨーロッパのカフェならではのコミュニティ感を存分に感じられるカフェだと思う。
友人たちとテーブルを囲み食事と会話を楽しむ地元民の姿や、店員と常連客がコミュニケーションを交わす姿を見ると、ヒュッゲ文化を大切にするデンマークにいることを実感する。
Atelier Septemberのアボカドマッドを初めて食べたときは、そのシンプルな美味しさに衝撃を受けた。
今でこそヨーロッパのいろんなカフェで楽しむことができるメニューだが、
Atelier Septemberを訪れたら必ず注文したい。
店内のアートや植物、インテリアなどからもインスピレーションをもらえる。
古き良き物や素材を利用しつつ、新しい道具も取り入れたスタイルだ。クラシックな要素とモダンな要素がバランスよくミックスされ、非常に居心地が良い。
もしデンマークを訪れた際は、日本のカフェではなかなか感じることができないユニークな空気感を感じてほしい。
Un. Common
三つ目のカフェは、オランダのアムステルダムにあるUn.Common。
アムステルダムもコーヒーカルチャーが進んでおり、美味しいコーヒーを楽しめるカフェが多い。
その中でもUn.Commonは空間としての居心地の良さが抜群に良く、コーヒーを飲みながらいつまでも居たくなるような場所だ。
シンプルな家具と内装ながらどこかコージーな雰囲気で、皆が自然体で居られるような貴重な空間。
店員は気取らずホスピタリティーに溢れており、親しみやすくて良い気分にさせてくれる接客だった。
丁寧に入れられたハンドドリップコーヒーはもちろん美味しいが、Un.Commonのシナモンロールは本当に絶品。
朝に訪れれば最高の一日を過ごすことができるような気持ちになる、そんなカフェだ。
SEVEN
四つ目のカフェは、ベルギーのブリュッセルにあるSEVEN。
観光地から離れた郊外にあるカフェなのだが、このカフェに来るためだけに中心部から電車に揺られる価値はあると思う。
デザイナーでもあるオーナーの一人が手掛けた空間は、ミニマルでシンプルな引き算的なデザイン。インテリアのお手本にしたくなるようなセンスの良さだ。
ピンポイントで淡いグリーンの家具を配置しているが、これはカフェのコンセプトカラー。個人的には以前はモノトーンが好みだったが、SEVENに来たことで色の持つ良さのようなものに改めて気づくことができた気がする。
クロワッサンとココナッツミルクラテは朝食に最高の組み合わせ。
日本ではココナッツミルクのラテを飲めるお店がなかなかないが、滑らかな口当たりと程よい甘さ、ココナッツの風味がエスプレッソの味を引き立て、非常に美味しかった。
ちなみにマグカップも淡いグリーンでとても可愛いカラーリング。
グレープフルーツブリュレも注文した。
ブリュレされたグレープフルーツとヨーグルトクリーム、ミントのコラボレーションは抜群の相性だ。
ちなみに、SEVENからはあまりにも強いインスピレーションを受けすぎて、グレープフルーツブリュレやココナッツミルクラテは、帰国後自宅でも作ってみたりした。
価値観を広げてくれるカフェなので、ぜひ訪れてみてほしい。
Les Deux Magot
五つ目のカフェは、フランスのパリのLes Deux Magot(レドゥマゴ)。
かつては名だたる芸術家たちが集った場所として、19世紀から続くあまりにも権威のあるパリの老舗カフェだ。
テラス席こそパリのカフェの魅力ということで、やはりドゥマゴではテラス席に座りたい。
あまりにも有名になりすぎて若干観光地化してしまっているカフェではあるが、プロ意識の高いギャルソンたちが最高のサービスをしてくれる。
白と黒の制服を来た彼らを見ると、古き良きパリにタイムスリップしたような感覚になる。
クラシックなエスプレッソは飲みやすく、昼下がりの眠気覚ましに最高に良い。スペシャリティコーヒー的な美味しさというよりも、昔ながらの美味しいコーヒーという感じの味だ。
ロゴの入ったカップやカトラリーが可愛く、お土産に持って帰りたいほどだった。
トーストはバターのみを塗って食べるシンプルなもの。
やはりフランスはバターの質が良く、これだけで何枚もパンを食べられそうな美味しさだ。
19世紀の芸術家たちに思いを馳せながら、ゆっくりと時間を過ごすのに最適なカフェなので、旅行でパリを訪れた際にはぜひ立ち寄りたい。
Telescope
六つ目のカフェは、パリにあるTelescope。
Les Deux Magotとは異なるスタイルのお店で、スペシャリティコーヒーを提供するニューウェーブ的なカフェだ。
店内はさほど広くなく、親しみやすい空間。ヨーロッパのカフェに共通することだが、建物自体が持つヴァイブが何とも言えない良さを醸し出している。
コーヒーはスウェーデンのロースターであるKoppiから仕入れた豆をメインで使っている。
フィルターコーヒーの場合はハンドドリップではなくエアロプレスで抽出してくれるという、少し珍しいカフェだ。
パリのカフェに来たならば、可能な限り店の前でテラス気分を味わいたい。外の空気を感じながら飲むコーヒーは最高だ。
Telescopeのエアロプレスは、非常にクオリティの高いクリアなコーヒーで、何杯もゴクゴク飲むことができそうだった。
アクセスしやすい街の中心部にあるので、観光がてら気軽に立ち寄ってみるのをおすすめする。
Nomad Coffee
七つ目のカフェは、バルセロナのNomad Coffee。
個人的にはバルセロナで最も美味しいコーヒーを飲むことができるカフェだと思うが、それだけではなく店自体の佇まいが何とも最高だ。
広くて長いカウンターには、コーヒーファンならばテンションが間違いなく上がる最高の器具が揃っている。
ハンドドリップやエスプレッソの抽出、ラテアートなどの作業を間近で見ることができるのも、カフェを最大限楽しむことができるポイントだ。
店内には常時たくさんの豆が何種類も揃えられており、もちろん豆を購入することもできる。
基本的に品質の高い豆ばかりを揃えているので、どれを注文しても美味しいと思うし、店員に聞けばおすすめなどを優しく教えてくれるのが嬉しい。
ホスピタリティに溢れている店員は話しかけやすいため、コミュニケーションも楽しめるカフェだ。
可愛いカップで飲むコーヒーは間違いない美味しさ。
コーヒーに慣れていない人でも、それぞれの豆において明らかに特徴的なフレーバーを感じることができると思うので、体験として楽しいと思う。
歴史的な建物の中でバルセロナの最高峰のコーヒーカルチャーを体験したいときは、Nomad Coffeeへ行くのがおすすめだと思う。
La Cala Barcelona
八つ目のカフェは、バルセロナのバルセロネータ地区にあるLa Cala Barcelona。
ビーチの近くにあるため、バルセロナのカフェの中でも特にハッピーなヴァイブスに溢れている場所だ。
非常に人気のカフェで、海でひと泳ぎした後の休憩がてら訪れるお客さんが多い。
また青を貴重としたアートやオブジェが多く、海を連想するような穏やかな気分にさせてくれる気がする。
浜辺を散歩して乾いた喉は、アイスカフェラテが満たしてくれる。
同じくバルセロナのNomad Coffeeの豆を使ったエスプレッソとミルクの相性は最高すぎる。
アサイーボウルやトーストのようなフードメニューも充実しており、どれも魅力的。
実際、注文したアサイーボウルは適度な甘さで非常に美味しい。南部ヨーロッパらしいフレッシュなフルーツが、やりすぎない程度に適度に盛られていたのが良かった。
ゆったりとした自由な時間が流れる最高な空間の一つだと思うので、あまり予定を詰め込みすぎずに訪れたい。
Cafe Comfort
日本から気軽に行くことができる韓国や台湾のカフェも、一つずつ紹介しようと思う。
九つ目のカフェは、韓国のソウルにあるCafe Comfort。
眺めの良すぎる絶好のロケーションは、実はカフェの屋上。ソウルの街並みを見下ろしながら気持ちいい時間を過ごすことができるカフェだ。
ビルの2階がカフェになっており、もちろんカフェ内で楽しむこともできるが、テイクアウトしてルーフトップのベンチに腰掛けながらチルアウトすることもできる。
ソウルは混雑しているカフェが多い印象だが、屋上であれば開放感に溢れている。僕が訪れた際はたまたま誰もいなかったので、贅沢にも街の眺めを独り占めすることができた。
その名の通りComfortableなカフェなので、天気や気温が快適な日にはいつまでも時間を過ごせそうだ。
美味しいコーヒーを飲みながら、天気の良い日に日向ぼっこをしながら長居をしたい。
電車でのアクセスはあまり良くないが、散歩ついでに訪れるのがおすすめなカフェだ。
山洞珈琲
十つ目のカフェは、台湾の台南にある山洞珈琲。
程よく光が差し込む店内は、奥に長い特殊な間取り。
窓際の席は明るいので誰かと団らんするために適しており、奥の席は暗めの照明なので一人でゆっくりするのに向いている。
コーヒーの抽出方法は、ハンドドリップとサイフォンのどちらかを選択することができる。
僕はハンドドリップで注文したが、カリタのウェーブドリッパーで丁寧に抽出されたボリビア産のコーヒーは驚くほどクリアで美味しかった。
またスイーツも名物で、こだわりのレシピで作っている。
抹茶のバスクチーズケーキは滑らかで、お茶本来の味をしっかりと感じることができる絶品だった。隠し味としてクリームには赤ワインを仕込んでいるらしい。
インテリアは、オーナー夫妻の審美眼によって選びぬかれたクラシックなものばかり。
カウンターにあるイサムノグチのランプが印象的だが、その他にもセンスの良いオブジェや家具が心地良い空間を作り上げている。
洗練されているものの過度な緊張感はなく、手作り感を感じられるどこか温かい雰囲気でもあるので、街歩きや観光に疲れた際の癒やしの空間として訪れたい。
まとめ
そんな感じで、僕の価値観を広げてくれた海外のおすすめカフェを紹介した。
コーヒーカルチャーやカフェカルチャーは、海外旅行の際の大きな楽しみになり得ると思う。
日常的な生活における食や空間づくりなどにおいても、カフェから受けたインスピレーションを元に新しい視点を取り入れるようになるし、それによって人生の楽しみが広がると感じる。
これからも旅の目的の一つをカフェとして、旅行をしていきたいと思う。
▼海外カフェについてまとめた過去の記事
ではまた。