🔴いつも大安吉日127　〜いつものその日暮らし〜

【いつものその日暮らし】

この春にそうげんのチャリはおっきくなった
いままではタマと同じサイズだったのに

この違いはかなりおおきい

少しばかり道が下り坂ならまったく漕がなくても「スーッ」と行ってしまう
対してタマは、タイヤが小さくて切り替えのギアーもないから、「グルグルグル」っと必死にペダルを漕ぎつづける
それでも全然追いつかない

そうげんは早く行きたいのに物足りない
タマは本気の本気なのに距離は開く一方

いつものようにそうげんに「ゆっくり行ってあげてくれよ」って言おうと思った
でもこれは「遅いタマから目線だよな」と、思いとどまった
これじゃそうげんはつまらない

こういう時期がきたんだな

「そうげん体がしっかりしてきたね」
つい最近ともだちにそう言われて、改めてそうげんの体つきを見てみた
たしかにしっかりしてきてた
ちょっと「ゴツッ」としてきてた

そうげんは「男」になってきたんだな
タマはまだまだ「おとこの子」だ

追いつけないそうげんの背中を必死に追って
タマもひとつ乗り越えるタイミングなんだな

「男」になるタイミングなのかな

軽トラでふたりを追いかける朝
「大人の男のすごさ」も見せつけてやろうと、ぼくはときどきアクセルを踏み込む
「どーだ軽トラははえーだろー」と

🔴草取りひと段落

またぼくはそこから畑に向かった

手をかけてる野菜たちはゆっくりだ
手をかけない草たちはものすごい勢いだ
野生のチカラはやはりすごいな
野草を学んで食ったほうがいいのかな

登園前のこどもたちと、勝手に実をつけてくれる「すぐり」をつまみながら、野生のすばらしさを味わっていた
野生は甘みもあるし酸味もある

とはいえ、野菜のうまみはもう知っている
もちろんそこも味わっていきたい
結局ぼくは種を蒔いて、今日も草を刈る

手でひとつずつ株元の草を鎌を使い刈る
草刈り機で条間の草を一気に刈る
何日間草刈りしたかな
とりあえず畑はひと通りきれいになった
はじめに刈った草はもう伸びはじめているだろうけど、ここで一段落させよう

定植したばかりのきゅうりの支柱や、大きくなりはじめたトマトの支柱を作る
草刈り優先だったから、こっちは伸びた分だけ支柱と支柱の間の横方向に竹を結んでいく
その場しのぎの連続だ

支柱の竹にも枝を残して、横方向の竹にも枝を残して、その枝同士を「ぐりぐり」とからませておくのがぼくのやりかた

早くこの支柱がみどりに覆われた収穫のときになってほしいな

石のゴロゴロしている畑だけど、過去やってきた畑はこんなもんじゃなかった
いくら取ってもいくらでもあった
石が育ってるような錯覚に陥ったこともある
それに比べればここは期待できる

ちょこちょこ畑の様子も見ながら、ここからは田んぼの草取りを一気に進めて一気に終わらせる作戦でいこう

田んぼで泥んこになりたい人はどうぞ
四つん這いになってローラー作戦いくからね

🔴その日暮らしの真骨頂

ちょうど区切りがよく昼になった
一服しながらスマホをチェックしていると、草刈りに飽きたぼくにはうれしい「思いがけず」が目にとまった

「急募　誰かいまから手伝って」ときた
お礼に野菜までもらえるって話しだ
種も蒔かずに草取りもせずに、仲間が作った野菜をその場で採っていただける
ぼくはすぐ連絡をしてそこに向かったよ

前に干すのを少しだけ手伝った、カモミールの粉砕と袋詰めの作業
梅雨の晴れ間にハウスのビニールが風で飛んで、急遽雨が降る前に終わらせることになったらしい
ぼくの畑作業のタイミングと、野菜欲しいタイミングともバッチリだったんだ

そこにいるだけでいい香りが広がっている
マシンで砕くとさらに香る
途中すてきなゲストもやってきて、作業はたのしくはかどった
夕方ポツポツと雨が降ってきた頃には、作業はかなり終わりに近づいていた

足元にはちっさいかわいいカモミールが芝生みたいにわさわさ生えていた
刈り取った株には、またカモミールの花がかわいく咲いてきていた

この二番目のカモミールは使わないんだって
かわいい花でいい香りなんだよ
「蒸留するしかないでしょ」

紙袋いっぱいのカモミールと、採れたて無農薬のズッキーニたくさん、季節の野菜もいっぱいもらっちゃったよ
前の日の夜に、「ズッキーニのソテー」の取り合いでケンカしてた小僧たちの口にギュウギュウに詰め込んでやるんだ

いやいやほんとにありがたいな
これだからその日暮らしはやめられないよ

🔴物々交換、労働力の貸し借り、奉仕

「ちょっと手伝ってほしい」
「今日中にどうしても」
「雨が降るまでになんとかしないと」

そんなときにすぐに動ける人はそうはいない
でもそれを求めてる人はいる

群馬時代もそんな動きをよくしてたら、ニーズが増えてひとりじゃ回せなくなった
まわりにいる同じようなスタイルで暮らす仲間に、その頼まれごとを振るようになった
いっそ派遣会社でもやろうかと思った

長野に来てからもそんなことはたまにある
基本は自分の暮らしが中心だけど、一日とか半日とか数時間とかならいつでもいける
数時間でバイトは頼めないからね

いままでの経験からいくと、そこにはいつもあたらしい出会いやあたらしい世界がある
暮らしの中のうねりになることがある

毎日はもちろんやらないけどね
たまにそんな日があるとたのしいんだ

ぼくの労働力と何かを交換しませんか？
あなたの作った野菜はうれしい
あなたの労働力をぼくに使ってくれてもいい
もちろんお金でもすごくうれしい

すごく楽しそうならただただやります
もちろん交換も何もいらない

何かあれば声かけてね
ぼくの心が「ピクッ」と反応すればやるよ
タイミングあえばうれしいな

今日は朝から降ってるね
カモミールの蒸留しよう
映画館でジブリも観たいな

ではみなさんすてきないちにちを

五穀豊穣　子孫繁栄　
大安吉日や　さかいひろし
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