息子から貰ったシアワセ【随想】
前回の記事で時間に追われる己のことを書いたが、同情や称賛を得たい訳ではなく、ただ現状を知って欲しい気持ちから書いたものであった。
知的障害のある息子がいることで得た「幸福」も沢山あるので、今日はそれについて書きたい。(現状の不満ばかりを訴えるのは息子に対してもフェアではないから・・。)
前回の記事はこちら。
息子は知的障害、それもやや重度にあたる。自閉傾向はなく大人しいタイプである。夫が小柄であるため体格的には我が家で一番大きく、持病も特にない。発語もあり、言われたことはほぼ理解しているようだが、知能的には4、5歳の子どもくらいであろうか。
しかし、彼は大変心優しく、欲がなく繊細なところがあるのだ。
お菓子をもらうと、自分一人では食べず必ず私に「はい」と半分持ってくる。お友達が泣いていると、ことのほか心配する。バスに乗っていて見知らぬ子どもが咳き込んだ時に、自分のハンカチを差し出したこともあった。
(知恵がないといえばそれまでだが)人の悪口とか騙すようなことは絶対に言わない。いつもゆったりして穏やか。私は秘かに仏様のようだとさえ思っている。
時間に追われ忙しく働いていた時は、彼のゆっくりペースにしょっちゅうイライラしていた。仕事を辞め時間に余裕ができてからは、彼の良い所がだんだんと見えてきた。そのゆったりと穏やかなところに、私自身もずいぶん精神的に救われた。私を「真人間」に戻してくれたのは彼だったのではないかとさえ思っている。
もちろん時間は惜しい。しかし時間が限られるからこそ、アイデアもわき、良いものができることもある。
そして最近では、息子がショートステイを利用することがあるので、その時ばかりは思い切り自由時間を満喫する。そんな気分の「メリハリ」をつけることができるのも、また彼のおかげなのである。
将来的には何らかの形で独立させないといけないけれど、あと何年間か、息子のいる生活を思い切り楽しみたいと思っている。
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