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【読書記録#12】オレンジの悪魔は教えずに育てる

すごいパフォーマンスを発見しました。

アメリカ・カリフォルニア州で行われた、
ローズパレード(カレッジフットボール決勝戦)にて
行進する京都橘高校吹奏楽部。

これは世界最高峰のマーチングイベントで、
約9㎞を2時間半かけて行進し、
沿道は何十万人の観客で埋め尽くされます。

そんなに長い時間、
笑顔で、踊ったり、跳ねたり、ステップを踏んだりする
生徒たちには世界中から絶賛の嵐です。

※テレビは見ないので本書で活躍を初めて知りました。本書にはQRコード
 があるので紹介動画を観ながら読み進めることができました!

なぜ、これほどの活躍ができるのか。それは、
【①教えない②弱い者が弱い者に教える】
指導法にありました。

②において、補足説明すると、
学校の部活動において強い者は、
すなわち顧問や監督(コーチ)です。
弱い者は生徒。
弱弱指導は生徒が生徒に教えることを指しています。

教えない。
生徒が生徒に教える。

大きな指導軸はこの2点ですが、
これ以上にもっと大切なことがあったように思います。

それが
田中先生のプロディース力。

「京都橘だけにしかできない経験を与える」

ことをずっと念頭においていたそうです。

京都橘だけしかできない経験とは全国金賞よりも大切なもの。

生徒の心を動かすのは言葉ではなく経験であり、
リーダーは経験の舞台を用意する役割がある。

人は体験を通して成長するからです。

まさにそうだと感じます。

僕たち指導者は、
自分たちが経験したことを言葉に転換して生徒や選手に届けます。

ですが、それだけでは選手や生徒が指導者以上に
大きく育つことは難しいことを感じました。

教えることは控えて経験できる舞台を用意する。
その舞台があることでチームは自律していきます。

大きな舞台になればなるほど、
生徒は目の色を変えてなんとかしようと努めて、成長していきます。

また、
生徒から生徒へ教える弱弱指導法では、
キャプテンや学年リーダーといった会社でいう
総務の役割である生徒とコミュニケーションを多くとります。

これがハブとしての機能を担うそうです。

その総務の子たちから、
部員にまつわるエピソードなどを聞いて
部員一人ひとりの情報を集めます。

心がけていたことは部員と公平に接すること。
そして観察すること。

普段は伝えない(直接全員に話さない)指導者であっても、
一人ひとりに対する理解と、
成長や頑張りに気付くことが大切だと分かります。


他にも、本書では生徒が京都橘でよかったと思えるための
田中先生の心がけがたくさん散りばめられています。
誰が読んでも人が育つヒントを得られる本だと思います。


以下、本書から得たヒントを箇条書きでメモします。


・「自分が楽しまないことには、人を楽しませられない」

全国大会に進出するよりももっと大切な目的は、
 その経験を通して生徒を成長させること。

・「音のない言葉」は「話す言葉」と違い、
 相手に反発されることなく、スルッと心に入り込む力がある。

・言葉も相手に影響を与えすぎてはいけない。

・大会の成績というのは真面目にやっていれば褒美としてついてくる。

上級生は下級生より上であっていい。
 ただしそれは、上級生が「成長したらこうなるのだ」
 という姿を見せて、下級生に成長を促すため。
 翻って言えば、個人の成長につながらない上下関係は意味がない。


・嫌われても正しいことをする者は、ヒーローでありヒロインである。

・波風立てず、もめ事がないのがいい集団ではない。
 もめ事が起きたときに解決できる力のある集団かどうかで、
 集団の質が決まる

経験ほど優れた指導者はいない

・保護者を巻き込んでこそ教育。
 精神面でも親子関係がうまくいってないと、練習に全力投球できない。

・「部員にこういう考えを持つよう、教えたい」ということを
 保護者会で伝えるようになった。
 そうすると各家庭で、その子のことを私よりもはるかによく知っている
 親御さんたちが、私よりずっと良い言い方で教えてくれる。

子どもたちがいかに音楽を楽しめるか、いかに格好よく、
 活躍できるかを考えて、環境を整えてきました。


・1000人にものぼるオレンジの悪魔たち。
 「悪魔使いの魔術師」は終わっても、今までも、今も、これからも、
 私はオレンジの悪魔の永遠の応援団長です。

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