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40超えたおっさんが、フリーランスになってから見えた5つのこと。


あの、シュノケリングってやったことありますか?

自分も何度か経験あるんだけど、ダイビングスポットの海で水中メガネかけて海の中のぞいたら、鳥肌立つくらいきれいなんだよね。

地上からエメラルド色の海面を見るだけでも「きれい〜」ってなるけれど、その内側(海の中)を見たら「きれい〜」どころではない。

熱帯魚と海草たちがリトルマーメイドのアンダーザシーを合唱している。そしてニモをファインディングできるかもしれない。


えっと、何が言いたいのかっていうと、この世界は中をのぞいてみないとわからないことだらけってことだ。「フリーランス」という働き方もその一つ。実際にフリーランスの立場になってみないとわからないこと、見えないことって結構ある。


私もかつては組織の一員だった。

で、実際に、フリーランス(個人事業主)になってみたら、会社員時代に見えなかったことがたくさん見えた。

「嬉しかったこと」や「辛かったこと」だけじゃなくて。そのまま会社員やってたら気付けなかった視点的なこともある。

この記事では、今年でフリーランス6年目を迎えた私が「フリーランスになって良かったかもなあ」と思えたことを紹介する。これからフリーランスになる人、なるかどうか迷っている人の、ほんの1ミリくらいでも参考になればと思う次第である。



(1)モーニングプレッシャーがなくなった

いや、全くなくなったわけではない。通勤していない立場であっても、朝9時からのオンライン打ち合わせはたまにある、うん。っていうか「モーニングルーティン」っぽいカッコつけた言い方すな。

フリーランスになる前は、朝が億劫だった。

明日会社なのに布団に入ってもなかなか寝付けず、「やばい、はよ寝なきゃ」と思えば思うほど目が冴えてヒツジのカウントが延々と続く“ヒツジ無限地獄”

もし目覚ましが何かの手違いで鳴らなかったらどうしよう、とスマホのアラームを1分刻みの10連にする“アラーム行列地獄”

そんな毎朝のプレッシャー、会社員なら誰もが経験あるはずだ。

朝は、時間がない中、身だしなみを整えなくてはならない。最低限の清潔感をキープだ。デオドラント的な何とかみたいな、そういうやつ。

日曜日の夕方には、よく言われることだけど、憂鬱になる。23時25分くらいからの「ガキの使い」が終わったら愉快な週末は完全終了である。

雇われるということは、誤解を恐れまくりながら言うと、毎日何かから追いかけられているような落ち着かない日々になるということ。

就業開始時間に会社の自分のデスクに座っていなくてはならない。これ、日本の会社ではごく当たり前のことだ。みんなやってる。えらい。朝活とかやってる人はもっとえらい。とんかつはうまい。

でもね、そんなに急ぎでやる作業ないのに。打ち合わせは午後からなのに。午前9時に自分がデスクに座ってなきゃいけない理由って何だ。

会社にかかってくる電話をとる人がいないから? 社内にいないと仕事のちょっとしたことで声をかけにくいから? それが組織のルールだから? 社会の常識だから?

最近では時差出勤やリモートワークを導入する企業も増えてきた。会社員をしながらフリーランスみたいな生活をしてる人も結構いるようだ。守られながらの自由はずるい。あ、本音言っちゃった。へへへ。

とにかく、フリーランスになれば、毎朝のプレッシャーがなくなるのである。自分の場合、プレッシャーがないと逆に早起きできるという境地に達した。そんな朝はなんだか得したさわやかな気分になる。



(2)たくさんの人たちと再会できた

ちょっと寂しいことを言うけれど、人生は「またいつか会おうね」と別れ際に言い合って一生再会しない人たちの方が圧倒的に多い。

高校時代の先生とか、昔付き合っていた恋人とか、新卒で入った会社の先輩とか、自分がアクションを起こさない限りもう会うことはない。

関係ないけど、ある番組で紳助さんは「親友は誰ですか」と聞かれて、さんまさんと答えた。でも二人が最後に一緒にご飯を食べに行ったのは20年近く前だと言ってて。

人と人の絆っていうのは、会う頻度で計れないんだよね。そういう意味で、自分の人生で本当に大切・必要な人(心の友)ならば、もう一度会う時がくるはずだ。(ジャイアンか!)

ここで私の話になるんだけど、Facebookで独立宣言した後、新卒時代にお世話になって以来長く会っていなかった先輩(プロデューサー)から連絡がきて、20年ぶりに一緒に仕事した。

その先輩がいる会社は業界で超有名な制作会社。新卒時代の自分からちょっとは成長した自分の姿を見せられて、すごく喜んでくれた。

「俺ね、うれしかったんよ」
「何がですか?」
「ピンチだった仕事をうまくやってくれて。しかも、それが身内やもん」
「あ、ありがとうございます」

お世辞を言わない先輩の言葉だったから嬉しかった。20年経っても、違う場所にいても、やっぱり先輩と後輩のままなのである。

それ以外でも、再会はいろいろあった。自分が転職した時、もう一緒に仕事することはないやろうなと思ってたデザイン事務所時代の先輩や同僚。お互いが違う立場になって再び一緒に仕事する。独立してなければきっとそういう機会はなかったと思う。



(3)営業職の人の大変さがわかった

その当たり前すぎる事実を、受け身で待っているだけだったアイツはようやく理解した。仕事や売上は自然発生しないという事実だ。

「もっと予算があって、もっとスタッフのモチベーションが上がるような案件を持ってきておくれ」という社内からのプレッシャーと日々戦う営業職の人たちの気持ち、今はすごーくわかる。

当時感謝を伝えらなかった営業の人たちへ。ありがとう。

フリーランスは自分で案件を獲得しないと食べていけない。当事者になってみて、その大変さを身にしみて強く感じる。ああ、こんなに大変だったんだ。慣れていない領域で頭を使うとめちゃんこ疲れるんだよね、これがまた。

こんな記事も書いているのでもしよろしければ。

独立するということは、営業、制作、交渉、請求、経理など、ぜんぶ自分の責任でやるってことになる。

例えばクリエイターであれば、強制的に、一人営業部、一人制作部、一人経理部ができあがる。同時に経営者になるってことでもある(法人じゃなくてもそういう感じの立ち位置)。

大変だけど、わからんことだらけだけど、いろいろな立場を経験できるので、飛躍的に視野が広がる。社会の仕組みが少し紐解けたような気がするのである。



(4)自分の価値を確認できた

自分の市場価値ってどんなもんなのか。知りたくないけど知りたい気もする。金銭的な価値の話じゃない。もちろんそれもあるけれど、会社の外に出てみて自分のどんな部分が評価されるのか。

会社はあくまで小さな社会。今いる会社からの評価が、他社で同じとは限らない。フリーランスになるってことは、この世の中にある全ての会社からの評価にさらされるってことだ。

アルビダ海賊団で船員やってても、白ひげ海賊団のことも、グランドラインのことも、わからないままだ。ひとつなぎの大秘宝を手にするためには、自分自身が悪魔の実を食べてキャプテンになって仲間を集めなくてはならない。

これまでやっていたのは、会社の看板で受けていた仕事。自分の名前で受けていたんじゃない。会社にきた仕事が各スタッフ(あるいはそのタイミングで手が空いてそうな人)に割り振られていただけであって、つまり自分じゃなくても回るってことだ。そんな中、「◎◎さんにお願いしたい」と、会社にいながらも指名で受注できる人はきっと優秀だ。リスペクト。

私の場合、独立してから、制作会社時代には到底できなかったであろう仕事をやるようになった。そのまま組織の一員だったら絶対に出会えない人や企業ともつながりがもてた。

「◎◎社の誰か」ではなく「TAGOさん」に依頼がくる。ありがたいし、うれしいし、楽しい。TAGOさんにぜひお願いしたくて・・・なんて言われた日には、私のような単純なおっさんの場合、責任感とモチベーションのギアが2つくらい上がる。

で、そのうち、自分が何を求められているのかの傾向がわかってくる。少しずつクライアントに提供できる自分の商売道具(強み・特長)が見えてくる。

もちろん、自分の価値(スキル)を誰も求めてくれない時期もある。自分には依頼される価値がないのかもしれないと精神的に疲弊することもある。そのへんはまた次の記事で書こうと思う。


(5)人間関係のストレスが減った

人の悩みの8割は人間関係とよく言われる。

「フリーランスになれば、好きな人(気の合う人)だけを選んで仕事できる」っていう話よく聞くんだけど、それって誇張しすぎじゃないかと思う。「フリーランスは会社員の3倍稼がないとあかん」っていう話と同じくらい大袈裟。どれくらい誇張されているかというと、ザコシの古畑任三郎モノマネレベルである。

とはいえ、会社員と比べたら、フリーランスは少なくとも人間関係が強制されることはない。組織の中にいると「合う合わない」が必ず出てくるが、フリーランスの場合は「会う会わない」だと思う。合わない人には会わなければいい。自分の心が削り取られるような人に当たってしまったら、自分を守ために静かに離れていく。

そもそも、耐えられないほど無理な人って世の中にそんなにいないし、人と人の関係って基本的に合う部分も合わない部分もお互い飲み込みながら成立している。

フリーランスとして自分の責任と覚悟と決断で仕事を受けるなら、一緒に仕事をする人がどんな人であってもどこか納得できる部分がある。誰かに強制されているわけじゃないから。

私のようなアホなおっさんになると、急に人恋しくなったり、誰かに叱られたいと思ったり、そういう発作がまれに起こる。あ、誤解しないでくれ、そういう意味じゃない。

フリーランスは上司も同僚もいない。クオリティが低ければ、取り返しのつかないミスをすれば、信頼関係が崩れれば、叱られるのではなく黙ってバイバイされる。厳しい。泣いちゃう。

もし何かトラブルがあったら、組織や上司という名の防御壁などなく、飛んでくる矢を自分一人の体で受け止めなくてはらない。フリーランスになったら、みんな「矢面マン」なのである。鋼のメンタルと打たれ強い体がほしい。


フリーランスに関する記事は今後も増やしていく予定!以下は「ツラかった編」もどうぞ。



#フリーランス #個人事業主 #独立

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