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『SKY RE-BIRTH』


    空を染める灰色は雲ではない。大量のドローンだ。

    極小モスキート型、乗用型、貨物輸送型、オフィス型、住居型などその種類は多岐にわたる。中でも一番大きいのは傘型。新宿区の空をすっぽり覆うほどのサイズで、異常気象による水害を防ぐ目的で開発された。


    ここは薄暗い路地の奥にある一室。LEDに照らされた窓のない空間で私たち夫婦は慎ましく暮らしている。

「なあボヴァ。そろそろ俺たちも空に引っ越さないか」
「ジャックあなたもしつこいわね、私は地上じゃなきゃ嫌よ」
「超高層建築が濫立するこの地上に光は届かない。わかってるんだろ。ここじゃボヴァが望む生活は無理だよ」
「空じゃ地に足がついた生活はできないわ」
「うまいこと言ったつもりか」
「光があっても緑がなきゃ無意味。ドローン上の庭園なんて神への冒涜ね」


    私の夢は、草原に家を建てて陽光を浴び土と共に暮らすことだった。


「そんなこと言ったって」

    被せるように私は言った。

「全てはHAYAのせいよ。400年前彼があのアニメーション映画を作らなければ。今の世界は彼の描いた空想が創り出した未来なのよ」


    その時、ラジオの自動電源が立ち上がり、ニュース速報が流れてきた。

『Pi Pi・・・・・・臨時ニュースです。観測史上最強の台風が猛烈な速度で日本に接近中です。中心付近の最大風速は295m/s。2時間後には潮岬に上陸する見込です。Pi Pi・・・・・・早急に地下シェルターへの避難準備を始めてください。既に南太平洋の島々がドローンと共に海に沈んだという報告も入っています。Pi Pi・・・・・・合衆国のスペード大統領によれば、この人類の危機にどう立ち向か・・・・・・』

    突然のニュースにジャックの顔が青ざめている。

「やばいなこりゃ。空のドローンが雨のように墜ちてくるぞ」
「これでいいのよ」
「えっ」
「生まれ変わる時が来たのよ、この惑星が」

(続く)


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