見出し画像

アパレルと小売の未来_09

これまで「アパレルと小売の未来」ということで書いてきましたが、書いてある内容は小売やアパレルの書籍やWEB記事で情報を得て、自分の経験と混ぜて考えてきたことです。書籍やWEB記事で紹介されていたブランド・ショップ・サービスで私が参考になったものを今回はご紹介したいと思います。ぜひ一度、店舗に足を運ばれて体験されると良いと思います。

・b8ta(ベータ)
昨年の夏に新宿と有楽町の2店舗がオープンしました。一昨年にアメリカで人気があるショップというのをウェブ記事で読みましたが、アメリカ以外の初海外出店が日本でした。この店舗は基本的にはサンプルショップになります。体験型の店舗として最先端だと思います。詳しくはこちらをご参照ください。

ファクトリエ
アパレル工場が企画作成した質の良いアパレル商品を工場直結のため安価に提供できるサービスです。銀座、熊本、名古屋の3ヶ所にリアル店舗を持っています。リアル店舗は完全サンプルのみです。日本の会社で若い社長が志を持って設立した会社です。少し古いですが、テレビ東京の「カンブリア宮殿」で取り上げられたのがこちらです。

・ルルレモン
カナダ発のヨガウェアブランドです。都内ではいくつか店舗がありますが、六本木と原宿の店舗はヨガスタジオが併設されており、体験や価値観を提供する店舗として参考になります。詳細はこちらをご確認ください。

・ EVERLANE(エバーレーン)
アメリカで大人気の「D2C」ブランドです。日本にはリアル店舗はありませんが、アメリカにはいくつか展開しています。このブランドは原価を完全に公にしています。下図のように、販売価格がどのような構成になっているのか全ての商品で表示されています。また、全商品が生産工場の表示もされています。この徹底した透明性がこのブランドの価値を上げています。エバーレーンは「品質の高さ」、「手頃な価格設定」、「エシカルな生産過程」でミレニアム世代に人気を誇っています。

画像1

・Allbirds(オールバーズ)
私も愛用している、シューズの「D2C」ブランドです。昨年2月に原宿に日本1号店ができました。また今年の6月上旬に丸の内に2号店が出店されました。このブランドはサステナビリティの取り組みが先進的です。シューズの素材はソールを含め全て天然素材です。アパレル製品も全て土に還る素材を使用しています。また、最近は「カーボンフットプリント」という二酸化排出量を商品ごとに計測して表示しています。「価格だけではなく、CO2排出量も気にしてね」ということです。レオナルド・ディカプリオもお気に入りで出資している要注目ブランドです。

・GU STYLE STUDIO
ファーストリテイリングの「GU」ブランドの店舗ですが、他のGU店舗とは全く違うショップ形態です。商品の半分以上が店舗では購入できず、商品にはQRコードが付いており、EC購入になります。いわゆる「サンプルショップ」です。通常のGUやユニクロのように平積みされた商品が無く、全てハンギングされています。商品はかなり低価格ですが、店舗の雰囲気は百貨店やファッションビルに入っているブランドショップに近く、高級感があります。初めて訪れた時に、「GUにこんなことをやられたら、多数のブランドが太刀打ちできないだろうな」と感じました。

・StyleHint原宿(UNIQLO)
ファーストリテイリングは売上高もすごいですが、新しい試みを多数実行しており、「すごいな」といつも感じます。上記の「GU STYLE STUDIO」と同じく、原宿駅前に昨年出店したユニクロ店舗も新しい試みを行なっています。「StyleHint」というアプリを活用した店舗を展開しています。このアプリでは自分のコーディネイトを登録できますが、アプリで登録されたコーディネイトが壁一面の多数のディスプレイに表示されています。気に入ったコーディネイトがあれば、その服が店舗のどこにあるのかをチェックすることができます。この店舗自体は高い売上を上げることは難しいと思いますが、新しい体験を提供する点では、面白い試みだと感じました。

・Insect Collection
最近、香川照之さんがプロデュースしたブランド「インセクトコレクション」を特集していたTV番組を視聴しました。ブランドコンセプトとしてサステナブルを重要視していたり、店舗では面白い仕掛けや体験ができるようになっていて、番組を見ながら「うまいなぁ」と感心させられました。まだ店舗を訪れたことがないので、近々行ってみたいと思っています。

以上です。上記で紹介したほとんどが「D2C」ブランドです。現在はD2Cがブームになっていますが、全国に店舗展開している既存のアパレル会社でも「D2C」を目指そうとしているところがあります。しかし、そのような会社がD2Cに変わるのは難しいと私は思います。上記のような「D2C」ブランドは、ECやオンラインを中心に事業を始めており、その一環として「リアル店舗」を出店しているわけです。既存のアパレル会社は「リアル店舗」を中心とした事業を展開していますので、現在人気のあるD2Cブランドを真似しようとしてもコンセプトが全く違うので失敗する可能性が高いと思います。

今回ご紹介したものは都内の店舗が多く、地方の方々は店舗を訪れるのが難しいとは思いますが、実際に自分で見ないと感じられないものがあるので、ぜひ機会を作って見ていただきたいです。

また都内に住んでいるのに、新しい店舗やショッピングセンターができても、見に行かれない方も結構多いです。それは本当にもったいないと思います。まずは都内に新しい物・事が作られることが多いのですから、せっかく行ける距離にいても実際に行かなければ都内に住むメリットを活かしていないと思います。書籍等で情報を得ることも大事ですが、小売や店舗は「現場」が重要です。それは実際に体験してみないと分からないことが多いからです。ぜひ、アパレル販売員の皆さんには様々な新しい店舗に行って、雰囲気などを感じてもらいたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?