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「稜線に立つ」

「稜線に立つ」

岩だらけの坂を
ひとつずつ
胸の音を聞きながら登る

誰の為でもない
人の尊さと偽りを知り、自分の何たるかを知り、
長い道のりを来た

小さく開く高山の花
露から流れる一滴のしずく
空に細く糸のように延びる稜線
果てなく、色を変え、また色を変える空

無関係なものは何一つもなく
全てを受け入れて
時に大きく拒絶さえする

孤高の山々は連なり
その姿は信念に満ちて
比べられない時間を蓄えている

その大きさに怯み、屈するわけには、いかない
ほんの些細な私的な物語でも
遥かに大きくて越えることのできない存在に
押しつぶされ、かき消されはしない

抱かれるという言葉では言い切れない
踏みしめて繋がる岩の道に
自分で踏む稜線の道がある
引き返すわけにはいかない
自分で踏んできた道がある

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