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【短歌連作】完全な抜け殻

今年の夏ジブリはナウシカなので、ナウシカのセリフを使った短歌を詠みました。ナウシカは自然と人の関係をテーマにした作品ですが、今回の短歌はまったく毛色の違うものになりました。

前回のラピュタのセリフを使った短歌はこちら。



旅に出る。静かになった部屋見つめ青き衣を身にまとい

大ババ「その者 青き衣をまといて 金色の野に降り立つべし」

横柄な態度の店を出て思うたぶんここもじき腐海に沈む

ユパ「ここもじき腐海に沈む」

完全な抜け殻なんて初めての体験空間 知人の夜逃げ

ナウシカ「完全な抜け殻なんて初めて」

督促状次々変わる紙ひこうき 午後の土砂降りに飛ばしていく

ナウシカ「ムシゴヤシが午後の胞子を飛ばしている」

ほら怖くない怖くない永遠の土砂降りの中知人のおつかい

ナウシカ「ほら怖くない 怖くない」

中古屋で「このコ私にくださいな」合言葉で買うリスの人形

ナウシカ「このコ私にくださいな」

人形の背中の中のメモ片は金色の野に降り立つべしと

大ババ「その者 青き衣をまといて 金色の野に降り立つべし」

駅中の永遠続くロッカーはまるで迷子のキツネリスのよう

ナウシカ「あなたは何をおびえているの?
まるで迷子のキツネリスのように」

ロッカーの中にひそんだ骨壺と一万円札長ぐついっぱい

アスベル「味はともかく長ぐついっぱい食べたいよ」

内側が爆発しちまう 抱え込むダークな秘密 ストーカー気配

ミト「姫様 ムチャだ!エンジンが爆発しちまう!!」

山道の大気が怒りに満ちておる 異常な静かさ 知人も我も

大ババ「大気が怒りに満ちておる」

遺骨らはススキ広がる夕暮れに 金色の野に降り立つべしと

大ババ「その者 青き衣をまといて 金色の野に降り立つべし」

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